【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE16)
オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第16回は総合科目の1単位の追い出しについての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。
CASE16 【追い出しの発展】
【問題】
文科S類2年のTさんは、総合科目D~F系列で追い出しを行うべく総合科目D系列の「認知脳科学」を履修した。このときTさんは、「系別の単位取得条件」が満たされなくなるおそれに気が付いた。では、実際に追い出される単位は何か?
【選択肢】
① 認知脳科学2単位
② 社会環境論2単位
③ 現代生物学2単位
④ ①~③以外
(Twitterでの出題はコチラ)
知識の確認
前回(CASE15)、「英語中級」の1単位の追い出しについて出題したが、その話は「英語中級」に限った話ではなく、総合科目全般に当てはまることである。今回は、「英語中級」に限らず、総合科目A〜F系列について説明しよう。
■はみ出した1単位の追い出し
総合科目で、基本平均点での重率を1として計算する科目は、『履修の手引き』55ページと9ページの単位の枠組みによって定められている。重率1で計算する総合科目をまとめたのが以下の図である。
今まで説明してきたように、追い出しは上の画像に示した単位の枠組みの中で、「2系列以上にわたり」といった条件を満たしつつ行われる。
ここで、次の例を考えてみよう。すなわち、総合科目で6単位必要なところ7単位取得し、一番点数の低い科目が2単位であるという状況を考えてみよう。
総合科目には1単位の科目もあるから、このような状況は普通に発生しうる。このとき、一番点数の低い科目が、下にある画像のように「重率1の枠」と「重率0.1の枠」にまたがることになる。そのときは、2単位の内1単位を重率1、残りの1単位を重率0.1として計算する。
この状況は実は、前回CASE15で紹介した「英語中級」の1単位の追い出しと同様の状況であり、前回説明した通り、この処理方法は『履修の手引き』に明示されている。
『履修の手引き』56ページ履修の手引き』56ページ
総合科目について、重率「1」となる最終順位の科目が2単位科目で重率「1」の対象内外にまたがる場合は、2単位のうち1単位が重率「1」、1単位が重率「0.1」で「基本平均点」または「指定平均点」に算入される。
■系列の制約による1単位の追い出し
次に、追い出しの結果、「2系列以上にわたり」といった条件が満たされなくなる場合を考えてみよう。すなわち、最低必要単位数より多く履修をしたことで追い出しが生じ、その結果、重率1で計算される科目が1系列でしかなくなる、といった状況だ。次の画像を見てほしい。
このような場合は、下の画像のように、2単位を1単位分割して、1単位の限度で追い出しが行われる。そうすることで「2系列以上にわたり」といった条件を満たすようになる。
この処理方法は、『履修の手引き』からは必ずしも自明ではないが、実際の運用はこのように処理されている。この追い出し方法は知らない人が多く、また、本問のTさんように追い出しにより条件が満たされなくなるのではないか、あるいはまったく追い出しが行われないのではないかと心配する人も多いが、条件を満たすように自動的に追い出しがなされるので、安心してほしい。
☕Coffee Break
総合科目の2単位の科目が1単位ずつに分割される状況は、CASE15及び以上で紹介した通り、
ア)総合科目L系列でターム制の「英語中級」を「英語中級・上級」で追い出した場合
イ)総合科目A~F系列で1単位の総合科目を奇数個履修した場合
ウ)総合科目A~F(文科三類生はL・A~F)系列で、追い出しが発生することにより「〇系列以上にわたり」の条件が満たされなくなる場合
の3通りが考えられる。
これらのうち、「ア」と「イ」の処理方法については『履修の手引き』56ページの
④ 総合科目について、重率「1」となる最終順位の科目が2単位科目で重率「1」の対象内外にまたがる場合は、2単位のうち1単位が重率「1」、1単位が重率「0.1」で「基本平均点」または「指定平均点」に算入される。
から明らかである。
対して「ウ」の処理方法については、この文言からは必ずしも明らかではない。では、「ウ」の処理方法は『履修の手引き』には載っていないのかというと、明言こそはされていないが、文言解釈により導くことはできるだろう。
『履修の手引き』98ページ末尾には次のように記載されている。
※「成績上位〇単位」とある場合、「成績上位〇単位」の中に1単位科目を含み、〇単位目が2単位科目となる場合、2単位のうち1単位に重率をかけ、もう1単位には重率をかけない。
この注意書きは、「1単位科目を含み」とあるから、これは完全に上記の「イ」のような状況を念頭に置いたものだとわかる。もし
④ 総合科目について、重率「1」となる最終順位の科目が2単位科目で重率「1」の対象内外にまたがる場合は、2単位のうち1単位が重率「1」、1単位が重率「0.1」で「基本平均点」または「指定平均点」に算入される。
が「ア」と「イ」のみを想定した注意書きであるとすると、この注意書きも「1単位科目を含み」のような書き方になるはずである。しかし実際はそのような書き方はなされていない。ということは、この注意書きは「ウ」の状況も想定していると考えることができる。(あくまで私見ですが…)
問題の解説
【問題】
【選択肢】
① 認知脳科学2単位
② 社会環境論2単位
③ 現代生物学2単位
④ ①~③以外
【解答】
④
【解説】
Tさんの成績表によると、総合科目D系列の「認知脳科学」でE系列の「現代生物学」が追い出されそうであるが、もしそうしてしまうと、以下の画像の右上のように、重率1の枠が総合科目D系列で占領されてしまい、「2系列以上にわたり」という条件が満たされなくなってしまう。
そこで、「2系列以上にわたり」の条件を維持しながら追い出しをしようとするならば、順当に行けばD系列の「社会環境論」が追い出されそうである。しかし、それでは一番点の低いE系列の「現代生物学」が残ったままになり何とも悲しい感じになってしまう。
というわけで、実際はどのような処理がなされるかというと、「社会環境論」の2単位を1:1に分割し、「現代生物学」も同じく1:1に分割して、それぞれ1単位ずつ追い出す形にする。(画像の右下)このようにすることで、重率1の枠の中が2系列にわたることになり、条件を満たす。よって、答えは④になる。
(終)
以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「追い出しの失敗」の特殊な例を出題する。お楽しみに!