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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE26)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第26回は「第二段階の罠」をテーマにした出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE26 【第1~3段階】

【問題】
UT-BASE学部〇×学科の進学選択の第二段階の志望者は学生A~Eであった。いずれも第1志望で登録していて、画像に示した情報が分かっている。このとき、情報から確実に正しいと言えるものはどれか、画像の選択肢から選びなさい。

スライド103

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ エ

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知識の確認

 今回は、第一段階と第二段階の違いについて考えよう。「第一段階より第二段階の方が底点は低いから、進振りは第二段階の底点を目指せばいいいや」と考えている人もいるかもしれないが、本当にそれでよいのだろうか?本記事では、第二段階の盲点を「第二段階の罠」と名付けて紹介する。

■第二段階の意義
 第二段階は第一段階の敗者復活戦的な位置づけである。CASE24で説明した通り、第一段階は専願であって、そこで定員の7割を募集する。そこで内定を得られなかった学生は第二段階へ進む。なお、第二段階で内定しなかった学生は第三段階に進むことになるが、第三段階は必ず行うものではないうえ、仮に第三段階の募集があっても、当該進学単位が自分の科類から進学できないことも考えられるので、第三段階はないものと考えておく方が身のためであろう。「第三段階の罠」ということができる。
 さて、第二段階に話を戻そう。第二段階は第一段階と異なり、志望登録は併願(志望順位の高い順に登録する)である。さらに、第一段階とは異なる募集の枠や平均点の計算方法が設定されていることがある。こうした違いが思わぬ結果を導く可能性を生む。具体的に検討してみよう。
<参考>
『履修の手引き』50~54ページ、『進学選択の手引き』

■第二段階の罠①
 一つ目の罠は、制度上の罠だ。上述の通り、第二段階は第一段階と異なるシステムで行われる。このシステムを理解していないと、次のような「罠」にはまってしまうことになる。

●定数を確認しよう
 初歩的ではあるが、そもそも第二段階で自分の科類から進学できるのかを確認しよう。特に、理系の進学単位(学部学科等)では、第二段階で文科生や理科二・三類生の受け入れがない場合がある。このような場合は第一段階で内定を勝ち取る必要がある。
 各進学単位の定数(案)は『履修の手引き』102ページ以降に掲載されている。実際の定数は、進振り直前に前期教養学部から発表される公式のアナウンスを確認されたい。
 また、文科三類生はいわゆる「文三規制」(CASE27)に注意。文三規制が発動すると第1段階で募集が打ち切られるという可能性がある。詳しくは次回の解説記事を参照。
<参考>
【進学選択】2021年度 第一段階進学定数について(2020/6/29現在), https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/secondyear/2020/0629100000.html

●進振り点の計算方法を確認しよう
 第二段階で用いられる進振り点の計算方法は、第一段階のそれと異なる場合が多い。したがって、これを知っていないと他の学生に点差をつけられてしまう恐れがある。
・後期教養学部の超域文化科学分科
第一段階は基本平均点を用いるが、第二段階では「超域文化科学分科第二段階・第三段階指定平均点」が使用される。

・工学部のシステム創成A~C(まとめて「シス創」)
第一段階では工学部指定平均点(CASE21, CASE22)が採用されているが、第二段階では「システム創成学科第二段階指定平均点」(cf. CASE23)が使用されている。

・農学部(全専修)
第一段階では「農学部第一段階・第三段階指定平均点」(CASE23)が使用されるが、第二段階に限り、基本平均点を用いる。

 また、平均点の算出方法だけでなく、指定重率や履修点(CASE)が第二段階で設けられている場合もある。指定重率は例えば、農学部の農業・資源経済学専修(「農経」)では、文科生の「経済Ⅰ・Ⅱ」の重率が第二段階に限り「2」になる。すると、これらの科目で悪い点を取っていると相当な不利になることが予想される。履修点で気を付けたいのは以下の進学単位だ。(詳しくは『履修の手引き』99ページを参照。)
・工学部航空宇宙学科
・理学部地球惑星環境学科

 それだけではない。第二段階では、第一段階では不要であった志望理由書の提出が求められたり、面接が課せられたりする場合がある。詳しくは『履修の手引き』の101ページを参照されたい。

<参考>
『履修の手引き』94~101ページ

〇受入保留アルゴリズムに注意しよう
 受入保留アルゴリズムについては前回のCASE25で解説したが、軽くおさらいすると、第二段階では「受入保留アルゴリズム」という特殊な内定者決定方法が採用されており、これを用いると、第1希望の人の内定が第2希望以下の人に奪われる、という事態が発生する。単純に得点勝負の殴り合いになるので注意しよう。特に、全科類枠では文科一類~理科三類までの全学生間での戦いになる、ということは意識しておくべきだろう。進振り点が低い人は要注意だ。

■第二段階の罠②
 そもそも、「第二段階の底点は第一段階の底点よりも低い」という命題は真なのだろうか?


・法学部
2013年文二三 第一:84.4点≒第二:84.0点
(第一段階は全科類枠)

・文学部 行動文科学科 心理学専修
2014年文三枠 第一:62.4点<第二:73.7点
2014年全科類 第一:72.4点<第二:75.2点

・理学部 地球惑星環境学科
2016年理科枠 第一:61.7点<第二:71.0点
2016年全科類 第一:60.7点<第二:67.8点

・薬学部
2011年理一三 第一:77.6点<第二:79.2点

<参考>
Utaisaku-Web  https://todai.info/shinfuri/
時代錯誤社「進学選択特設記事 新しい進学様式」 https://jidaisakugosha.net/shinfuri/top.html


 以上で見たように、第一段階と第二段階の底点がほとんど変わらない場合や、むしろ第二段階の方が、底点が高い場合もある。これらはレアケースではあるが、
 ・文科三類の主な進学先である
 ・第一段階で底割れしている人気の進学先である
 ・定数と志望者が少なく、底点の高低が志望者個人に大きく依存する
といった条件があると発生する。自分が進学したい進学単位の特徴は事前に把握しておこう。

問題の解説

 以上で見たように、第二段階の方が第一段階より「楽」であるという考えは常に妥当するものではないことがわかっただろう。学生諸君にはぜひ、第一段階での内定を目指して日々研鑽してほしい。それでは、問題の解説に入ろう。
【問題】

スライド103

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ エ

【解答】
① ア

【解説】
問題自体は単なるパズルゲームなので、聡明な皆さんなら瞬殺だと思われるが、一応解説しておこう。
 前提として、指定科類枠(今回は「文科」)がある場合は、そちらを優先し、指定科類枠から漏れたら全科類枠に回されることを確認しておく。それでは、条件をもとに、各学生の点数を考えてみよう。まず、上3つの条件から考えられる進振り点と学生の組み合わせは以下の通りである。

//凡例
//全:全科類内定者 文:文科枠内定者 理:理科生(CまたはE) 太字:全科類枠の底点であった学生
───────────────────────────
75 74 73 72 71
───────────────────────────
D全 A文 理全 B  理
D全 B文 理全 A  理
A文 D全 B全 理  理
B文 D全 A全 理  理
理全 D全 A文 理  B
理全 D全 B文 理  A
理全 A文 D全 B  理
理全 B文 D全 A  理
理全 理全 A文 D  B

 この中で、最後の条件の通り、全科類枠の底点が73点よりも高くなるものは、

───────────────────────────
75 74 73 72 71
───────────────────────────
理全 D全 A文 理  B /*…①*/
理全 D全 B文 理  A /*…②*/
理全 理全 A文 D  B /*…③*/

の3通りに限られる。これから分かることは、全科類枠の内定者は理科生に限られている(①~③)ことだ。文科枠の内定者はAであるパターン(①・③)とBであるパターン(②)があって特定できず、71点を取ったのはAかBのどちらかに限られる。学生Dは内定しない場合も存在する(③)。したがって答えは①になる。

 なお、この問題で注目したいのは、理科生にとっては第一段階よりも第二段階の方が、底点が高いということだ。第一段階では、理科生の底点は73点であったが、第二段階ではそれより1点高い74点であった。そのせいか、③のように、第一段階とほぼほぼ変わらない点数を取っている学生Dも、第二段階では〇×学科の内定をとれずに終わってしまう。これが「第二段階の罠」だ。

☕Coffee Break ~どうして第一段階よりも点の高い人が第二段階に??~
 本問において、75点をとったのは理系の学生であった。と、ここで「第一段階での理科生の底点は73点であったのに、どうしてそれより点数の高い人が第二段階で、さらには第一志望で〇×学科を志望しているのだろう」と思った人もいるかもしれない。しかしこれはよくあることだ。第一段階で、やや背伸びして自分が真に進みたい学科を志望登録したものの残念ながら内定を逃してしまった学生は、第二段階では志望学科を変える可能性がある。そのような場合、第一段階の底点よりも点数の高い人が第一志望で参戦してくる状況が発生する。第二段階はこのようなことも起こりうるので、不透明性が高いともいえる。

(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「文三規制」の問題を出題する。お楽しみに!

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