【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE24)
オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第24回は前回と打って変わって「第〇段階・定数・底点」についての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。
CASE24 【第1~3段階】
【問題】
理科二類の宇部(うべ)さんは情報系の学科に進学したいと思い、昨年度の第一段階での各学科の底点を調べ、「自分の点ならギリギリどこでも行ける」との結論に至った。画像の表を参考に、宇部さんの基本平均点の最低値を推測せよ。
【選択肢】
① 最低83点
② 最低85点
③ 最低86点
④ 最低87点
(Twitterでの出題はコチラ)
知識の確認
今回は、進学選択において重要となる「定数」と「底点」、そしてその前提となる第1~3段階に関する基礎基本を見ていく。文理関係なく、気付いてからでは遅い大切な分野なので、しっかりと読み込んでほしい。
■進学選択の概要と諸条件
進学選択には、第一段階、第二段階、第三段階というフローがあり、進学先が内定した人から順に、そのフローから離脱する。そして、第一~三段階は、それぞれ志望登録の形式、科類や文理に応じた指定科類枠、いかなる科類も志望可能な全科類枠の定員なども異なっている。
まずは、そもそも進学選択(進振り)に参加するための条件を、復習もかねて確認しよう。
〇「進学選択が可能となる条件」(『履修の手引き』8ページ、CASE02、 cf. CASE06)
2年次に実施される進学選択が可能となるためには、1S1タームから2S2タームまで在学したうえで、2S2ターム・2Sセメスター終了時までに、「進学選択が可能となる条件」を満たさなければならない。これが満たせないと即“降年”だ(『履修の手引き』44ページ)。
〇「前期課程修了要件」(『履修の手引き』9ページ、CASE03、 cf. CASE06)
進学選択が可能となる条件を満たしていても、前期課程修了に必要な単位を修得していない場合は、進学内定後の2A1・A2ターム、2Aセメスターで修得する必要がある。2A終了時までにこれを満たせなかった場合、内定が取り消され、留年となってしまう(『履修の手引き』44ページ)。
〇要求科目(『履修の手引き』28, 51, 87ページ、CASE19、cf. CASE20)
要求科目がある学科を志望する場合、その科目を2S2ターム・2Sセメスター終了時点で修得していなければならない。この条件は見落としがちなので注意。
■第一~三段階
進振りは、『履修の手引き』52ページに掲載されているフローチャートに則って行われる(2020年は新型コロナウイルスの影響でスケジュールに遅れが発生しています。教務課のお知らせを確認してください)。第一段階、敗者復活戦の第二段階、おこぼれを拾う第三段階、といった位置付けだ。各段階について、『履修の手引き』52~54ページを見ながら詳しく学んでみよう。
〇第一段階
受入予定数の7割前後が埋まる第一段階では、第一志望のみを単願登録する。指定科類枠や全科類枠の募集人数は、4月中旬に配布される「進学選択の手引き」で発表される。志望先の登録期間は、6月末の「進学志望登録」となっているが、8月中旬の「進学志望変更登録」で変更することが可能。この間に、志望者数やその中での自分の位置づけが発表され、「進学志望変更登録」時の参考になる。
なお、第一段階で内定した人は第二段階以降、進振りに参加することはできない。間違えないようにしよう。また、この時点で志望登録を行わないと、「不志望」と扱われる。
<参考>
教務課からのお知らせ 「2020年度第一段階進学選択志望集計表について」、https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/secondyear/2019/0704112001.html、アクセス日:2020/06/27
『進学選択の手引き』
〇第二段階
第一段階終了後に、その時点での第二段階の指定科類枠や全科類枠の募集人数が公表される。(第一段階で定数が余ったとき、第二段階にそれが繰り越される場合がある。)そして、第一段階とは異なり志望するすべての進学先を併願で登録することができる。したがって、第一段階でダメだった学科でも登録することができる。第二段階では、「受入保留アルゴリズム」(CASE25で解説する)により内定先が決定する。
受入保留アルゴリズムは、各学生の志望を最大限反映することで全学生と東大のマッチングを最大限に機能させるものである。そのため、履修の手引きにおいても
志望の登録に当たっては、「内定した場合に進学する意志のある進学単位全て」を「本当に進学したいと志望する順番」で登録すること
と強調されている。
〇第三段階
第二段階が終了した時に定員割れを起こした学部学科等では、第三段階を行うことがある。したがって、第三段階は必ず行われるわけではない。第二段階終了後に、第三段階を行う学部学科等の募集人数が公表され、対象学生(第二段階時点で内定していない学生)には個別で教務課から連絡が来る。
なお、第三段階までで志望する学科いずれにも内定しなかった学生は、2Aセメスター開始前の時点で自動的に”降年”し、1Aセメスターがスタートしてしまう。
■指定科類枠と全科類枠、定数と底点
ある進学単位(学部学科等)の「定数」とは、当該進学単位に進学可能な人数である。定数には大きく2つの枠が設けられていて、それぞれ「指定科類枠」と「全科類枠」と呼ぶ。各学科等の定数は『履修の手引き』102ページ以降や『進学選択の手引き』に記載されていて、これを見れば指定科類などもわかる。
〇指定科類枠
指定された科類の学生のみが対象となる枠のことで、自分が所属する科類の指定科類枠が存在するときはこの枠内で進振り競争が行われる。よく言われる「文一なら法」、「理三は医」といったことは、この指定科類枠の大きさ故に発生する。
指定科類枠の形態はさまざまであり、「文科一類」のように類まで指定してくるものもあれば、「文科二・三類」のように2科類をまとめるもの、「理科」のように全部まとめてしまうものがある。
指定科類枠があると自分が所属する科類と同じ科類の学生の中で戦うことになるが、これは、有利に進振りを進められることもあれば、逆に不利になることもある。(→CASE27)
〇全科類枠
すべての科類の人が対象となる枠のことを指す。指定科類枠と異なり、東大全学の学生との間での競争になる。
「指定科類枠」と「全科類枠」の両方が設定されている場合は、指定された科類の志望者は原則として「指定科類枠」の志望者として扱われる。そしてまず指定科類枠内で内定者を確定し、それで内定しなかった場合は自動的に全科類枠に回される。だから、指定科類枠のある科類の学生は、一つの段階内で最大2回のチャンスがあるといえる。
底点とは、「ある学科への進学に必要“だった”最低進振り点」のことである。進学振り分けとは、いわば、点が高い人から順番に座っていく椅子取りゲームである。最後の1席に座った者の点数こそが底点となる。したがって、底点は「足きり点」ではない。定数が1ならその一人の進振り点が底点になる。
先ほど説明した通り、進振りには「指定科類枠」と「全科類枠」という区分がある。したがって、底点もその区分ごとに存在する。受験のように数千人が同じ基準軸のもとで争うもの(…全科類枠)とは異なり、各自の「科類」という属性によって、各学科への進学に必要な点数が前後する(…指定科類枠)のが、進振りの難しさであり醍醐味でもある。
<参考>
『進学選択の手引き』
問題の解説
以上で学んだことの復習として、問題の解説をしよう。
【問題】
【選択肢】
① 最低83点
② 最低85点
③ 最低86点
④ 最低87点
【解答】
②
【解説】
宇部さんは理科二類なので、
①各学科で理科二類の指定科類枠があるか探す
↓
②各学科で理科の指定科類枠があるか探す
↓
③指定科類枠が無ければ、全科類枠を見る
の3ステップで見ればよい。
「自分の点ならギリギリどこでも行ける」ということは、①~③のいずれかで、その学科等に内定できる点数を取っているということだ。
各学科で理科二類に必要な点数を見ていこう。学際Bでは82点(理科枠)、電情では82点(理二三枠)、計数では81点(理二三枠)、機情では84点(全科類枠)、理情では85点(全科類枠)、生情では80点(理科枠)となる。よって、85点ならばいかなる学科にも内定可能となり、選択肢②(最低85点)が正解である。本問は最低値を聞いているので、③・④は不適である。
(終)
以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「受入保留アルゴリズム」の問題を出題する。お楽しみに!