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天津での病院で

日本にずっと住んでいると、日本の病院システムが当然だと思って外国のことが分からない。私もそうであった。中国に来てからも病院に行くことはほとんどなく、その違いを意識したことはなかった。

今回の文章は中国が良いとか、日本が良いとかの比較を言うものではない。ただ、お隣の中国(天津)ではどのようなシステムになっているのかを紹介するものである。


1.日本(私が経験した)の病院

まず近くに小さい病院がないかネットで調べる。その後に口コミでどのような評価がなされているのかを調べる。内科の場合、風邪・インフルエンザ注射で行くことが多いのでそこまで問題にならない。


大病院になると診察までの時間がかかるのと、大学病院は紹介状があるので普段はいかない。小さい病院でも子どもからお年寄りまでいるので、待ち時間は15分ぐらいだろうか。初めての病院ならば問診票と合わせて保険証の提示(今では病院に行く頻度が多くないので毎回提示ぐらいになっているが)が必要である。それが終わると、病院オリジナルのカードが配られる(内科・耳鼻科・歯科それぞれ別の病院になると別のカードが、ということで、みんなカードホルダーになる)。


名前を呼ばれて中に入り、お医者との受け答え、喉のチェック、横になって痛みがないかなどを調べたのちに、病名を言い渡されて外に出る。そして、名前を呼ばれて清算し、処方せんを渡される。だいたい病院近くにある薬局に行き、薬を処方してもらう。その際に使い方などを説明され、それでめでたく病院の旅は終わりである。


2.中国(私が経験した天津)の病院

まず、複数の病院が加入している携帯のアプリをダウンロードする。もしくは、アリペイのサイトから予約することもできるが、対応する病院が異なるので必ずしも一致しない。天津の場合は、特別なアプリが必要になる。

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このアプリでまずは登録を行い、アカウントを作成する。そこから、ネットで予約することができる(事前診察予約)。その際に予約できる病院、科、先生などはどれでも良い。まさしく選び放題である。天津医科大学総合病院には多くの人が訪れ(それこそ、人、人)、予約を待っている。


だいたい30分おきに予約できる数が限られており、その中で選択して予約することになる。例えば30分に10人であれば、その30分のあいだに10人見るということを意味している。


そして診療を受ける30分前までに病院内に設置されている機械で、診察表を受け取る。問診票やカードを作る必要はなく、担当の方も、看護師もいない。

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「取号」を選んで診察表を受け取る。そして、そこに書かれている階へ行くことになる。先生などについては、アプリで予約する際に指定することもできるし、当直の先生(名前は不明)を選ぶこともできる。


診察にかかる時間はそれほど長くない。ただ、各種X線だったり、エコー検査をしたりする場合は別の場所に行って予約する必要がある。場所によっては当日検査することができず、日を改めて予約することもある。


その際に注意すべきなのは、先にお金を支払ってから検査をするということである。日本の場合はすべて検査してから支払うが、中国では支払った証明書をもって、他の検査に行き、そこで検査をしてもらう。これについては、薬でも同じことである。


全てが終わると、また機械に戻って「自助缴费」を選択して、電子マネーで支払えば並ぶ必要もない。もし、携帯がない人は窓口で支払うことも可能だが、ほとんどの人が機械操作をしている。


薬は病院の1階に専用窓口が設置されていて、そこに名前が書かれる仕組みだった。説明書などが別に用意されていることもなく、ただ薬をいくつか処方される(飲み方は箱に書かれている)。


3.妊婦さんの苦労(ネットで予約できる前)

中国(私が聞いた過去の話)でおなかの中の赤ん坊を検査してもらう際(私立は除く。私立はお金も高いがサービスも良い病院がある)、まず早朝に起きて行列に並ぶ。

例えば私の知り合いは、朝4時半に起きて病院に向かう。そして、6時半ごろから行列になり、7時半ごろから受付開始。住んでいる場所が病院に近ければ苦労しないが、それでも1時間前から並ぶ必要がある。そこから、うまくいけば午前中~お昼までに診察することができる。もし少し遅めに並んだとすれば、午前中には診察できず、病院で朝~夕方まで待つことになる。途中で病院の近くでお昼を取り、そして病院に戻ってまた椅子に座って待つことになる。


今のネット予約がどこまでこの状況を改善できているのかは分からない。また情報が得られたら、ここに書きたいと思う。

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