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2024年の30枚

だから僕がさよならを先に言おう
14年目、2024年の音楽。

レフトフィールドが主戦場。ポストクラシカル、アンビエントやドローンをよく聴きます。以下ダイジェスト。


Tusks - gold (One Little Independent Records)

ロンドンを拠点にするSSW、Tusksのサードアルバム。パンデミックやプライベートの出来事を経た自身の心の整理のために一人ロンドンを離れてイングランド南西部デヴォンへの旅で得たインスピレーションをもとに制作された内省的なエレクトロニック・ポップ。洗練されたサウンドデザインが秀逸。シンセとストリングスでアレンジされたEPもあり、こちらはヴォーカルをじっくり聴くことができる。
#SSW


Julie Dawson - Bottom of The Pool (Fair Youth)

アイルランドのオルタナロック・バンド NewDadのボーカルJulie Dawsonのソロデビューアルバム。ドリーミーな歌声とチルな伴奏が絶妙。
#SSW, #Chillwave


Viitasen Piia - Ihmisen aika

敬愛してやまないViitasen Piiaの新作アルバム。歌声が本当に好き。所属していたTexicalli Recordsを離れクラウドファンディングで制作。自主制作になってもサウンドの方向性が変わったり音がチープになったということは全くない。フィンランド取材の時期をもう少し後ろにずらしていれば現地でCDを買ったりライブに行けたりしたのだが。
#SSW, #Folk, #Pop


Olivia Belli - Intermundia (XXIM Records)

イタリアの実力派ピアニストOlivia Belli。物質に内包されている美しさを優しく掬い取ったピアノアルバム。今一推しのピアニストのひとり。前作も素晴らしかった。
#Classical, #Piano


corto.alto - 30/108 (New Soil)

英新進気鋭のトロンボーン奏者兼音楽プロデューサーLiam Shortallによるフューチャー・ジャズ・プロジェクトcorto.alto。アルバムタイトルは108曲のデモ曲から仕上げられた30曲に由来するようだ。2〜3分の短い曲を中心に惜しげもなくアイデアを注ぎ込んでいて脱帽。instagramに毎日投稿されていたブレイキングダウン動画も興味深い。
#Jazz


Kiasmos - II (Erased Tapes Records)

Ólafur ArnaldsとJanus RasmussenによるKiasmosの10年ぶりのフルアルバム。初の来日公演も実現し、LIQUIDROOMでライブを鑑賞。ライブでは1stの曲も交えて披露されたが、並べて聴くとIIの方がよりダンスミュージックとしての完成度が上がっているのを実感した。家のスピーカーやイヤホンで聴くのと違いバスドラムが音圧を伴うことでまるで別の楽器のようだった。
#Electronic


Spivak - Violences (Electroménager)

キプロスのSSW、Maria Spivakによる4曲EP。夢と覚醒の狭間。
#dream pop, #shoegaze


Ketil Bjørnstad - Jag etter vind / Chasing the Wind (Simax Classics)

ノルウェーのジャズピアニストの巨匠Ketil Bjørnstadによる自身の到達点とも言える宗教的で神々しい合唱曲集。CD2枚構成で1枚目はオーケストラと合唱、2枚目はKetil Bjørnstad本人によるピアノスケッチバージョンが収められている。雰囲気がガラリと変わるので比べながら聴くのも一興。なぜか配信サイトでは2枚目のピアノスケッチしか配信されていない。一枚目を聴きたい場合はBandcampへ。
#Jazz, #Classical, #Chorus


藤本陸斗 - Distant Landscapes (130701)

FatCat Recordsのサブレーベルでポストクラシカルを主に取り扱う130701より、藤本陸斗氏のデビューアルバム。冬の長い夜にとても合う静謐なピアノ。
#Classical, #Piano


Kali Malone - All Life Long (Ideologic Organ)

スウェーデンの孤高の作曲家Kali Maloneによるパイプオルガン、合唱、金管五重奏のためのアルバム。何世紀もの間使われてきたポリフォニックの実験的な再解釈と計算され尽くした持続音が瞑想の扉を開く。
#Classical, #Minimal, #Experimental, #Chorus


Romance & Not Waving - Infinite Light

毎回素晴らしいアンビエントを届けてくれるRomanceとNot Wavingのタッグ。ボッティチェリの名画『ヴィーナスの誕生』にインスパイアを受けた荘厳で優雅な世界。古典的な詠唱と室内弦、テープループ、シンセの持続音のテクスチャが世俗音楽と宗教音楽の境界を曖昧にしていく。
#Ambient


Keaton Henson - Somnambulant Cycles (Mercury Classics)

サッドコア名手としても名を馳せる多彩なKeaton Hensonのクラシカルサイドのアルバム。神経質で内省的なKeatonのピアノ、荘厳な伴奏にヴァイオリンやチェロが咽び泣く。
#Classical, #Electronic


Kelly Moran - Moves in the Field (Warp)

Kelly Moran本人の演奏とヤマハの自動演奏ピアノのデュエットによる人間とピアノの物理的限界を超える音楽表現を探求した意欲作。
#Classical


otay:onii - True Faith Ain't Blind 信​仰​看​見​了​我​看​見​了​它 (WV Sorcerer Productions)

激情的なヴォーカルとピアノだけで繰り広げられる破壊的な世界。
#Experimental, #Piano


Marjana Semkina - SIRIN

ロシアのチェンバーポップデュオIamthemorningのヴォーカルMarjana Semkinaのソロアルバム。故郷への想いと権力者への静かな怒りが美しい歌声に込められている。クラウドファンディングのページで母国ロシアから亡命したことを公表した。ただ支援したCDがまだ届いていない。ピアノのGleb Kolyadinも英国に渡ったようだ。Iamthemorningの新作アルバムも聴ける日が来たら嬉しい。
#Folk, #Chamber Pop, #Progressive


Erik K Skodvin - Afterwar (Miasmah)

Deaf Centerの片割れErik K Skodvinによる、紛争終結後のコソボを舞台にしたドキュメンタリーフィクションのサウンドトラック。繊細で重苦しいチェロと持続音の美しいレイヤー。
#Experimental


Otto A. Totland - Exin (LEITER)

Deaf Centerのもう一人、Otto A. Totland。Nils Frahmが運営するレーベルLEITERからミニマルで静謐なピアノ小曲集。随分前にライブで観た本人は凄い巨漢なのだが。
#Classical, #Piano


Andert Tysma - Hana (Apollo Records)

オランダの作曲家Andert Tysmaによる作品。アルバムタイトルにもなっているHanaは現代音楽へのリスペクトと新しいテクノロジーを融合させたミニマルミュージックの大作。
#Ambient, #Avant-garde, #Minimal


Joep Beving & Maarten Vos - vision of contentment (LEITER)

Nils Frahmが運営するレーベルLEITERより、Joep Bevingの消え入りそうなピアノとチェリストMaarten Vosの共演。
#Ambient, #Experimental, #Piano


Kessoncoda - Outerstate (Gondwana Records)

ドラマーのTom Sunneyとキーボード奏者Filip Sowaのデュオのデビューアルバム。シンプルな編成ながらエレガントで疾走感がある。GoGo PenguinやPortico Quartet、mouse on the keysのリスナーは是非。Gondwana RecordsレーベルメイトのSvaneborg Kardybも要注目。
#Jazz


Badbadnotgood - Mid Spiral (XL Recordings)

70年代、80年代のソウル、サイケデリック、ファンクへのリスペクトがふんだんに盛り込まれた作品。BadbadnotgoodどころかGoodgoodsogoodである。
#Jazz


Malcolm Pardon - The Abyss (Leaf)

死は決して恐れるものではなく生涯付き添っていくものだという独自の死生観を作品に昇華しているMalcolm Pardon。2021年のソロデビュー作『Hello Death』に続く新作。アルバム最後の曲が特に印象的で、終盤から流れてくるアルペジエイターがさながら今際の救済のようだ。
#Ambient, #Experimental, #Piano


Annelies Monseré - I Sigh, I Resign (Horn of Plenty <O)

歴史から忘れ去られたアーティスト達に捧げる囁くような声とピアノ。
#Folk, #Experimental, #Piano


Hélène Vogelsinger - Ethereal Dissolution (Microsmose)

モジュラーの魔術師、Hélène Vogelsingerの新作。廃墟に響くサイケデリックなミニマルミュージック。
#Experimental, #Minimal


Low End Activist - Airdrop

カルト的フューチャー・ダブ・レーベルPeak Oilを運営するLow End Activistのカルト的フューチャー・ハードコア・レイヴ。
#Rave, #Dnb, #Dub


Zazen Boys - らんど (Matsuri Studio)

約12年振りの新作でも変わらない口上に安心する。タイトに極まった演奏とエッジの立ったギターの音色が心地良い。フィンランド取材の準備をしてる時期によく聴いてたせいで今でも聴くたびに何だかそわそわする。
#Rock, #Alternative


星街すいせい - ビビデバ

もはや説明不要ではある。普段VTuberの歌モノは特に聴かないがこの曲はとても良かった。イントロから10秒以内に歌が始まってアウトロもあっさりという編曲もとても今風。
#Pop


坂本龍一 - Opus (commmons)

最後のスタジオライブ録音。1音1音噛み締めるかのように静かに熱の籠った演奏、本人の息遣い、ダンパーペダルの軋み。こんな坂本龍一は今まで聴いた事がない。本人が本当に最期だと覚悟して臨む姿をとても受け止められないので映画の方はまだ観れていない。
#Classical, #Piano


佐野元春 & THE COYOTE BAND - Youngbloods (New Recording 2024)

中期を代表する楽曲をコヨーテバンドで新録。2011年のHobo King Bandとのセルフカバーよりもソリッドで若返った感じがする。25年3月にこの曲を含むセルフカバーアルバムを発表することがアナウンスされた。
#Rock


STARDUST REVUE - スターダスト☆レビュー TOUR ブギウギ ワンダー☆レビュー 野外編 with んなアホなホーンズ @日比谷公園大音楽堂

ライブアルバムを毎年出してくれてありがたい。喉頭がん治療で休養中のVOH林氏を欠いた状態で演奏されたVOH氏作曲の『星になるまで』が印象的。プロのミュージシャンでも原曲キーで歌えないVOH氏の唯一無二のハイトーンが声帯切除により失われてしまったのは悲しいがステージに立つ姿をまた見たい。
#Rock, #Pop


過去のリスト


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