ロシア・中欧旅行記#11~ハンガリー・トカイ~
いよいよ最後の街、ハンガリーのトカイです。
どうも、うすしおです。
3週間にわたるロシア・中欧旅行記もついに、最後の街です。
これまでのnoteは以下のリンクから。
2泊3日でハンガリーに滞在しています。
初日は博物館、街歩き、そしておいしいものを食べました。
2日目は貴腐ワインの名産地、トカイへ訪れました。
朝5時半起床。
2泊3日ですが、初日と2日目で宿を変えます。
10キロの荷物をもってトカイにはいけないので、次の宿に荷物を置き、駅へ向かう算段です。
さて、覚えていますか?
前回noteの、私の予言。
「もうね、明日起こるトラブルが想像つくんですよね。
言い当てましょう、明日入り口のドアが開かなくて、ピンポン押してもつながらなくて、だれか入れる人が来るまで建物の下で待ちぼうけ食らいます。
このトラブルは絶対に起こるんです。(断言)」
起こったんです。
相当早くに宿を出て、2日目に泊まる宿までは徒歩20分程度。
6時半にチェックアウト。
受付のお兄さんに「このスマホ画面見せれば電車に乗れるの?」と聞くと、
「うん♪だいじょーぶだよっ!楽しんで~~~!」と。大丈夫かなぁ…。
朝7時、宿の前に着く。
開かない。
扉が、開かない…。
予想していたからね。
待つよ、誰かが開けてくれるまで。
………来ない。なかなか人が来ない。焦る。
運よくお兄さんが出てきたので、入る。
もはや防犯とはという感じですが…。(-_-;)
レセプションで荷物を預かってもらえるか聞く。快諾。
「どこにおいておけばいい?」と聞くと、「 up to you」と。
おぉ、私にお任せ!か、責任は取らんぞということか!潔いな!
適当にレセプション近くに置いてきた。帰るまで荷物は残っているだろうか…?
7時ちょっとすぎには駅に着いた。早すぎた。
駅構内。8時くらいの電車なので、1時間ほど待ち。
おいしいおいしいクロワッサン。約80円。
外さっくさく、バターの香りが最高。幸せな朝ごはん。
8時少し前に電車に乗れた。
一応近くのおばさまにこの電車であっているか聞いたところ合っているというので、ひとまず安心。あとは国際学生証でちゃんと学割適用されて…。
どっちが進行方向なのかチケット取った時にはよくわからず、後ろ向きで進む羽目に。
ブダペスト-ハドヴァン線が再建工事中のため、ニーレジュハーザ乗換の別ルート。トカイ行く人が普通は使わないルートだろうので、ちょっと特別な気分です。
途中でまわってきた検札も、国際学生証を見せることで学割適用チケットちゃんと通過。完璧だ。
街を抜け
野を越え
川を越えて…
3時間半ほどしてついたぜ、ニーレジュハーザ!!
ちゃっかり7分ほどサイレント遅延して、トカイ行きの電車の発車時刻過ぎてるよ!
トカイ行きの電車発車時刻の時まだニーレジュハーザまで数駅ありましたからね。内心どっきどきながら、いい加減慣れてしまったのか「まぁ、なんとかなるっしょ。」と思っていた。
なんとかなった。
トカイ方面の電車はホームで待っていてくれた。
明らかにぼろい電車に乗り換え。11:38改め11:45過ぎに発車。
1部屋6席で扉閉められるようになっていたけど、ガラガラで貸し切り状態だった。
この電車でも検札があり、スマホでチケットを見せて国際学生証を見せた。
駅がだいたいこんな感じで、特に車内放送もなく停まって発車するので降りられるか不安になる。
Googleマップを見ているが、なぜかニーレジュハーザを出てから動いてくれない。
なんだかんだ景色を楽しむ。
あれ?!
気付いたらトカイの一つ手前の駅まで来ている?!?!
慌てて荷物をまとめて待機。
「TOKAJ」トカイ駅です。
6人くらいしか下車しない…。笑
駅を降りてもさっぱりどこが街なのかわからない。
とりあえず街っぽそうな方へ歩いていく。
すごく日本の地方と変わらないなという。
私の出身、長野県の中山間地域とそんなに変わらない気がします。笑
街のいたるところにこんな感じでワインにまつわるデザインが。
街全体として、ワインの町なんだなというブレなさと統一感を感じます。
おそらく街の中心広場。教会と、ワイナリーのお店です。
スタンダード4200フォリント(1600円くらい??)で6種類ワインテイスティング付きツアーもできます。
ワインセラー見学などもあると聞いていたのでお願いしてみると、ガイドしてくれるとのことで。
東ドイツから来たというご夫婦と3人でのセラーツアーです。
(案内は英語でしてくれました。)
ガイドしてくれるのは、普段は英語とロシア語の先生をしているというお姉さん。トカイ住みで実家がワイナリーなのでこうしてワイナリーでアルバイトをしているんだと。
暗くてひんやり。
まずは貴腐ワインのこと、造るときの道具を教えてもらいます。
この先しばらく、ワインに関心のある方以外は読み飛ばしていただいてもかまいません。笑
(※ここから先解説英語だったので意訳、多少の間違いはご了承ください。)
トカイは「神がハチミツを注いだ土地」と言われている、2つの川が合わさり平地と山がぶつかる貴腐ワイン造りに最高の土地環境。火山があるのもワイン造りに向いている土地環境だみたいな話もしていた。
極甘口の貴腐ワイン「Tokaji Aszu(トカイ・アスー)」は、霧の影響で葡萄が湿気を吸って身が割れる、そこに貴腐菌が付着し、甘みを残して水分だけが外へ出ていく(レーズン状)ことで造ることができる。このぶどうを収穫するときに使う樽が画像中央のもので、この樽いくつぶん貴腐葡萄を入れたかにより甘さが3プットニョシュ~6プットニョシュまで存在する。それ以上もそれ以下もなく、3~6。
一番甘い6プットニョシュのワインは甘すぎるのでそのまま飲むには向かず、デザートにかけたりソースに混ぜたりと調味料的な使い方をするんだとか。
最低3年以上の熟成が必要で、レーズン状の葡萄を自然の重みでゆっくりと絞っていくためとても時間も手間もかかる上に天に左右されるワイン。
気候条件によっては貴腐菌がつかないこともあるという。
トカイのワインはロシアのピョートル大帝やフランスのルイ14世にも献上されていた歴史がある。
土地の偉大さから、特に人の手は加えず自然なワインを造るスタンス。
このワイナリーでは2006年からずっとオーガニック。
神から与えられた偉大な土地でワインを造るというそれ自体に誇りをもっているのだろうなと、お姉さんの言葉から伝わってきた。
オーガニックだからいいとかそういうことではなくて、偉大な土地なのだから人間が何か手を加える必要などない、おこがましい、そういった土地に対する敬意のようなものを感じて、ハッとしました。
ワインだけでなく野菜などすべての生産物に対して言えることなのでしょうね。
そしてそうした想いから造られるトカイのワイン、トカイの風景、生活、すべてを考えながらトカイのワインを味わうと、感じることの奥行きが違いそうですよね。
いい視点を与えてもらったなあ。
見学の後畑を自由に見学していいといわれたので、実際に収穫2週間前の様子を見てきた。
これが数年後、トカイ・アスーになるのかー。
こちらは実際に使われていたこともあるという1911年にできた巨大な樽。
しかしこの樽は、ワインを作っていたという歴史よりもっと重要な歴史が。
第二次世界大戦のころ、この大きなワイン樽の中にユダヤ人を匿っていたという歴史があるそうで。近くにはシナゴークもあります。
この地下セラー自体はいつできたのかわからないほど歴史が古いとのこと。
晩餐会ができそうな巨大なスペース。
現在はテイスティングをここでやっているからテーブルと椅子を置いただけなのかもしれないけれど。
奥へ進むとアリの巣のように細い道が奥へ奥へ続く。
今は別のところにワイナリーがあるためすべて飾りだが、以前はこういう形で樽を並べていたそうな。
こんな感じだから今でも木樽かと思いきや、ステンレスタンクのほうが酸素が混ざらずそちらを使うこともあるよとのことで、時代への適応も感じた。
技術は進歩するし、伝統を守りつつもよりよいワイン造りを目指す姿ということなのでしょうね。
ちょっとした格子付きの部屋。
何かと尋ねると、ワインの保管庫だと。
このお店で購入したワインはほぼ永久的に、好きな時までここで保管しておいてくれる。
もしご興味あればどうぞとのことだったけれど、またトカイまで取りに帰らないといけないことを考えると、タイムカプセルより大変かもしれないなと。笑
この先ももともとワインセラー。
地面が砂利になってならしてあり、もし侵入者が入ってここを歩くと足跡が残ってしまう仕組み。
ちょっと古典的でくすっとしてしまう。
ワインとは直接関係ない雑談の話。
一緒に見学していた老夫婦は「東ドイツ」出身だと言っていた。
お姉さんがロシア語の教員であることを言うと、「ロシアにはいい思いがない。でもこの言葉だけは知っている。◯△※■」とロシア語で何かを言った。
お姉さんは「その言葉を知っているのはとても素晴らしいことね」と返していた。
私はロシア語が全然わからないので、今でもその素敵な言葉はなんだったんだろうなと気になる。
ヨーロッパの歴史における共通話題にも疎い。
西洋史がもっとわかっていたら、ワインを知るのももっと楽しいだろうなと思う。
実際にヨーロッパのワイン産地に足を運んだだけで、随分と気持ちや意識が変わるものだと思った。
セラー見学を終えて外へ。
トカイらしく?どんよりしてきたと思ったら、雨。
ひとまず近くのレストランで昼食をとる。
お馴染み、謎のパスタと豚のテンダーロインロースト。
やはり多い。そしておいしい。3000フォリントしないくらいだったから1200円くらい?お店で一番高いメニューだった。
ワイナリーのお姉さんがしきりに「なぜトカイワインは高いのか」という話をしていたが、普通に変えそうなものであるのはせいぜい16000フォリント、6500円くらい。相当いいものでも数万するようなことはない。
「甘口ワインに合わせるのは、ブルーチーズやドライフルーツがいいですね。フォアグラも合いますが、庶民には手が出せません。」というフォアグラは、前回記事で書いた通り。3切れほどにマッシュポテト、チェリーソースで2500円くらい。市場で丸ごと買えばキロ1500円くらい。
それこそ東ドイツ出身の老夫婦にとってトカイワインは高いものではなかったんじゃないのかなあ。
お昼食べて少しまったりしていると日が出てきたので外へ。
気温がちょうどお散歩日和。
お土産を買いつつ、せっかくなので葡萄畑を見に行くことにした。
街の外れ。
山一面葡萄畑。すごい景色。
また霧がかっているのもトカイらしくて幻想的。
ところどころバラが植わっているのもめちゃくちゃ綺麗。
庭園みたいで。
フルミントとミュスカデを育てていて、フルミントドライや、房ごと収穫する「自然のままに」の意味を持つサモロドニ、遅摘みのミュスカデを使ったものなどワインの種類は多様。
こんな間近で葡萄見られると思っていなくて、嬉しかった。
あっという間に夕方。ブダペストまでは4時間かかるので、帰りますよ。
綺麗な夕日。
そして電車は無言で来る。笑
どこ行きとか、よくわからないけどたぶんこれだし、扉に「ニーレジュハーザ」と書いてあたので、乗る。
来た道を戻る。
来た道を戻るのってこんなに苦痛なんですね。
すでに見ている景色だし、新鮮味がないし、おまけに夜で外の景色見られないし。
さすがに3時間半ネットもつながらず本も読めず景色も見えずで、歩き回った疲労もあり、自分でもまさかと思うのだけども寝ていましたね。笑笑
日本か!とツッコミたくなりますが、あまりに車内が穏やかで、まるで自分の地元かのような安心感をハンガリーに感じてしまって、ついうとうと。
何もなかったし、目の前の少年はずっとゲーム、周りの席の人もただスマホいじったり本読んだりしているだけで。
気分は中央本線、高尾~塩尻みたいな気持ち。(わかる人にはわかる…?笑)
うとうとしていると「もう21時だよ?!」みたいな声が聞こえてきて、まだ20時半だが…と思ったけど、時々あるなぜか知らないはずの言語が聞こえてしまう現象。不思議。ハンガリー語で数字だってわからないのに。
ちょいサイレント遅延して、21:45くらに駅に着いた。
22時台にひとりふらふら20分くらい歩いて宿へ帰る。
賑やかなので渋谷的怖さはあるのだけど、治安が悪いという感じはしなくて普通に宿まで歩いて帰ってしまった。
無事チェックインを済ませ、少しもたつきながら翌日朝、空港行きのシャトルバスの予約をしてもらう。
荷物は無事だった。
おそろしくにぎやかな宿で、1部屋に18人くらい泊まっていたんじゃなかろうか。
1000円くらいで泊まれてありがたかったけど、シャワー浴びに行くのすら面倒に感じる。
夜遅かったし、さっさと寝た。
明日で旅も終わり。
最後までなにかある、そんな旅。
最終回お楽しみに。