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【マリノスサポ向け】横浜FCについて知っておかなければならないいくつかのこと。

■FCを知っておかなければならない理由

 先日OJさんのキャスに参加した際に同じ席にいたmasa君に
「最近のFCを侮ってはいけないと思うんです。このままではいけないと危機意識を持っています」
といった内容を話していた。
 その時は「FCなんて認めない」的な論調を突き通したが、彼のその言葉がその後もどこか引っかかっていた。

 まずFCの事をその成立ちの経緯以外、敢えて知ろうともしていなかったので、知っている事が少なすぎるのではないかと思った。
 ここでは敢えて成立ちについては触れないが、現状について整理をして、なぜ彼があのような発言をしたのかという事を知る必要があると思った。
 FCの当事者ではないのでウェブなどの情報が中心になるので若干薄いもの内容になりそうだが、最低限の知識として我々が知っておきたい事を整理しておきたい。
 そしてもしかしたら本当に「このままではヤバいかも」という危機が迫っているかもしれないという事を知ってほしい。

■基本的なデータ

 FCは現在という社員食堂や学校、福祉施設などの食を提供するLEOCを中心とした外食事業を業わいとしている「ONODERA ホールディングス」の傘下にある。
 因みに銀座やニューヨークに高級鮨店を出店しており、最近では築地のマグロの初競りの際にあのすしざんまいを差し置いて最も高額で落札したのもこのグループである。
 グループの売上は1030億円(2022年3月期)、総従業員数は約22000人と規模は大きい。景気に左右されにくい業態からも見て比較的経営は安定しているとみられる。
 株式会社フリエスポーツクラブ(横浜FCの正式名称←フリエが入っている!)はこのONODERAホールディングスを形成する企業の一つであり代表取締役会長はグループ総帥の小野寺 裕司である。
 なんとなくFCといえば奥寺康彦の名前が浮かぶが、2022年1月末で会長およびSD(スポーツダイレクター)を退き、「シニアアドバイザー」に就任している。なお、一般社団法人横浜FCスポーツクラブの代表理事職は留任している。
 なお、株式会社フリエスポーツクラブと一般社団法人横浜FCスポーツクラブは別法人である。

■マリノスとFCの違い

 唐突だがネット通販を仕事としている者なら絶対に知っている公式がある。それは以下のようなものだ。

 売り上げを上げるためにどの点に重きを置くのかというのはその店が置かれている状況によって変わる。そしてそれぞれの戦略に従って売上の増大を図る。

 この公式をマリノスとFCに当てはめてみる。

 マリノスの場合、30年に渡る「名門」たる知名度、日産スタジアムという絶対的なキャパシティ、最近では「強豪」とも呼ばれる魅力的な超攻撃サッカー。その上に更に30年にわたる諸々の積み重ねによって上記の公式で言うところの「アクセス数(動員)」は安定している。
 そのためにクラブはダイナミックプライシングによるチケット価格の「適正化」、積極的なグッズ販売、会場でのスタグル、有料コンテンツの提供など「客単価」を上げようとしているように見える。
 「転換率(お金を落とす率あるいは金額)」に関してはサポーターが「クラブロイヤリティ(忠誠心)を強く持っているためにそんなに力を入れなくても高いレベルを維持できているのでないだろうか。俗に言う「マリサポほホイホイ」である。


 さて、横浜FCである。
 マリノスと比べて歴史も浅くおそらくマリノスほどロイヤリティも低いと考えられる事から、今は徹底的に上記の図でいう「アクセス数」を増やそうとしている。「動員」と「認知度」の拡大である。具体的な例を挙げていこう。

 例えばFCは以前からホームゲームには大量の招待券を配布し動員を図っており現在でも継続的に行われていると思われる。
 参考までに5月5日現在の15日開催のチケット販売状況を見ても明らかに不自然なエリアがいくつか見受けられる。
 下記はメイン中央指定と呼ばれるベンチ真裏のエリアの空き状況だ。おそらくは数列がまとめて招待に出されているのではないかと想像できる。

メイン中央エリア

 因みに私もかつて「招待券」で入場したものの招待券を配りすぎて「お金を払って見に来た人」が座れないという本末転倒な場面を目撃している。

(追記:上記のような空き席が不自然に空いているのは「招待券はばら撒きではなく、横浜FCチケットという独自販売ライン持ってるためにJチケに不自然なブロックがある」とのご指摘を受けました。ここに慎んで訂正をいたします。)

 ただ、最近は違う動きもみられる。
「地域の点から面の囲い込み」である。

たとえばサッカースクール。今FCは
・保土ヶ谷校
・東戸塚校
・慶應義塾下田校
・しんよこ校
・谷本公園校
・横浜ベイ磯子校
・海の公園校
・岩崎学園校
・sfida sports park横浜鴨井校
・AOBA SKY FiELD北新横浜校
以上11校のスクールを開講している。

 マリノスも11校でのスクールを開講している。幼児から中学、GKクラスまであるのでおそらく中身はやや厚いと思われるが、マリノス関係者は「意外に」FCのサッカースクールが多いと思うかもしれない。

 また、これ以外にもマリノスは港北区を中心とした学校単位でのスクールを展開しているが、そのほかの区でのFC主催の学校でのサッカー教室はもっと頻繁に行われれている。それは横浜市は言うに及ばず、最近では三浦市など本来ホームタウンでない場所でも行われているようだ。

 また、最近の新しい動きとしては点的な視点から始まるスポンサーとの利益共有を図った動きもみられる、
 港南区周辺のマリノスサポータなら知っているかと思うがFCのスポンサーの一社である株式会社エスオーという建設業者の看板は港南区を中心に28ヶ所に及び、設置場所のサイトまで存在する。

 更に同様にスポンサーである横浜建物(ヨコタテ)により戸塚区に於いて看板が出始めているのも見逃せない。

 また、地域商店街との連携や連動も想定以上に積極的に行われている。

このように
・スクール活動
・スポンサーとの連携による露出
・地域商店街との連携
などFCはかつてのバラマキ戦略から地域をひとつひとつ「点」をつぶすようにして、やがては「面」となるような行動を地道に行っているのだ。

■これから起こるかもしれない未來
先に述べたようにマリノスとFCは戦略は大きく異なる。しかも今のところFCは未だ「集客」には繋がっていないように見える。しかしそれはあくまでも「今のところ」の話だ。
 残念ながらまだJリーグはメジャーコンテンツとは言えない。下記の図を見てほしい。

2021/7/21 株式会社スパコロ 調査より

 上記の図にあるように「Jリーグを見た事がない」という人は7割もいるのだ。そこにターゲットを絞りFCは地道な活動を継続している。

 その上で考えると、Jに触れた事がない層から見ればFCの方が露出が多いという事がもしかしたら「現実」かもしれない。

 冒頭のEC売上の公式に話を戻すが、施策の効果が大きく反映しやすいのは「アクセス(客数)」である。転換率と単価は一定の値まで上げるのは時間と繰り返しの施策が必要だが、一定のレベルまで上がると下がり(悪化)しにくいという傾向を持つ。

 今のところFCはJ2であり「強豪」ではないし「魅力的な」サッカーをしているのか、正直筆者の知るところではない。

 ただ、FCが今行っている施策によって来場したJを知らない客層が「魅力的で見て楽しいサッカー」を目撃したらどういう事になるか。
 我々、マリノスサポーターは幾分かの「覚悟」と自覚を持っていかなければならないのかもしれない。

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