天神のこと、頭ん中ぜんぶ吐き出してみる。
去年の4月、最初の緊急事態宣言のとき、
天神からひとが消えた。
まだシャッターをあけることさえ、
後ろ指を指されるかどうか、みたいな時期。
そして、シャッターを半分だけあけた兄が、
あまりに変わり果てた天神を見てたら、
なんか涙が出て来るよね、と言う。
明確な理由がなくても無条件にそうなる感覚が、同じぐらいかは分からないけど、
少し分かってしまう。
実家があるまちよりも、
自分の真ん中みたいな場所。
天神の中にわたしが居るのではなく、
わたしの真ん中に天神が居るのだ。
望んでそうなったわけでも、
所有者意識みたいなものともまた少し違う、
天神が好きだという言葉もなんかしっくりこないし、街のそこかしこを歩く人と自分が何か関係してるわけでもなければ、この感覚と無縁だったらと思うこともある。
だけど中々どいてくれずに、
お腹ん中深いとこあたりに、ずしりと居る。
天神ビッグバンというセンセーショナルな言葉を聞くだけで、見るだけで、なんだかその深いとこがザワザワして、どうしてもニコニコとは出来ない。
例えて言うなら、
家族みたいな感覚に近いのかもしれない。
近づきすぎてもイライラしちゃうし、
かといって嫌いって訳でもないし、
切り離せるとかそういうのとも違って、
日常の中に当たり前にある一部みたいな存在。
それが、どうもわたしにとっての、
「天神」というものらしい。