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西洋イラクサ
Brennnessel (Urtica)
春、軍手と丈夫な袋をポケットに忍ばせて散歩にでた。
西洋イラクサの若葉を摘みたかったからで、誤って葉が素肌に触れて痛い思いをする事は覚悟の上である。思った通りそこここを刺されながら集めた葉の一部を軽くゆがいてリゾットに入れたり、フェタチーズと蕁麻の葉をスパッゲティにあえて食べ、残った葉は乾燥させてお茶に仕上げた。
夏、よんどころなき怪我で痛む膝を引きずりながらも、蕁麻の種を収穫し、乾燥させて瓶に納めた。
もう少し集めたいと、後日見に行くと、今年はクジャクチョウの年らしく、真っ黒な毛虫が山ほど集っていた。去年はあちこち探しても見かけなかったのでなんとなく嬉しい。
今朝、散歩がてらもう一度確認すると一面に生える西洋イラクサが大分食い尽くされている。私は自分の収穫を諦めるしかなかった。
不思議なことにこのクジャクチョウの幼虫は西洋蕁麻しか食べない。
ミネラルが豊富なこの植物を食べて育つからこそ、あの美しい翅色が現れるのだろうか?
コヒオドシやヨーロッパアカタテハの幼虫も西洋蕁麻しか食べないというが、私が見渡す限りはクジャクチョウの幼虫の天下であった。
もし一斉に羽化する瞬間に出会えたらば美しい光景だろうと夢想する。
しかし、今迄にそんな場面に出会した事は無い。
二、三週間で羽化するということだから、毎日確認に出かけよう。
西洋蕁麻の種は使う前に軽く炒る。
白身魚や鶏肉にパン粉の様にまぶして揚げ焼くと香ばしく美味しいものだし、サラダにふりかけても良く、タンパク質、鉄、マグネシウムやビタミンを含むスーパーフードというわけで、痛い思いをしたり、毛虫に注意しながら収穫するのも仕方なく我慢する。
以前、西洋蕁麻を生で食べる大会というものがあるとテレビで紹介されていた。多分イギリスだったと思う。テープルの上に山とつまれた蕁麻を素手で掴んで葉をしごき、口の中に詰め込んでゆく人々の様子をみて呆れたが、今でもやっているのだろうか?
生食した方が良いのだと豪語する人々もあるようだが、多分、私の体には合わないので実行する事はないだろう。
まだまだ西洋蕁麻に関する話は色々あって興味深い植物だ。
そしてイラクサの爽やかな香りはとても好ましい。