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「AI・データセンター・鉄鋼、すべてが絡む天然ガス産業に注目せよ!」第二回

皆さんこんにちは!アメリカ株式義塾です。

鉄鉱特集の第二回です。
前回の内容を復習したい方はこちら。

鉄鋼産業は従来、製錬の過程で多くの二酸化炭素(CO₂)を排出してきましたが、排出量を減らさなくてはならなくなりました。そのための手段として製錬時に水素を活用しようとしましたが…水素の価格が高いことが問題だと学びましたね。

そこで、鉄鋼産業は、水素に完全に移行する前の優れた過渡的手段として天然ガスを使用しています。今後5〜10年間はこの傾向が続く可能性が非常に高いです。

ではなぜ水素の代替手段として天然ガスが選ばれたのでしょうか?


水素の代替手段、天然ガス

なぜなら、天然ガスは基本的に石油や石炭よりも二酸化炭素の排出が少ない燃料だからです。難しく考える必要はなく、鉄鋼を作る過程で天然ガスを使うと、従来の石炭を使う場合に比べて約75%程度、二酸化炭素の排出を減らせるということだけ理解していれば大丈夫です。そして先ほど述べたように、天然ガスは水素よりもコストがはるかに少ないです。

鉄鋼業界:「あれ?天然ガスを使ってみたら…みんな聞いて!天然ガスで製錬するシステムを導入すると、いずれそのシステム自体を水素専用に簡単に切り替えられそうだよ?」

 鉄鋼産業が将来水素を使うのであれば、今天然ガスを使用して製錬する設備を導入しておけば、いざ水素を導入する時に必要になる設備やプロセスの変更を最小限に抑えられるってことだよね?

その通りです。なぜそうなのかについても、簡単な技術的な説明をしてみましょう。


鉄鋼産業が当分の間天然ガスを使わなければならない理由

水素の代替材料として天然ガスが最も良く、しかも天然ガスから水素を取り出すこともできるからです。

まず、水素の代替材料として天然ガスが最も良い理由を簡単に説明すると、天然ガスと水素は化学的、物理的特性が非常に似ているためです。

天然ガスの主成分はメタン(CH₄)です。メタンは炭素と水素で構成されており、燃焼すると二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)を生成します。一方、水素(H₂)は燃焼時に水(H₂O)のみを生成し、二酸化炭素を排出しません。このような違いがあります。

International Iron Community

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