FRBの利下げはチャンスとならない?!9月前に知っておくべき事実
皆さんこんにちは!アメリカ株式義塾です。
かつて、私たちは「FRBが利上げをいつやめるのか」に注目して生活していた時期がありましたね。
いつのことかって?
それほど遠い昔のことではありません。
おそらく1年ほど前でしょうか?
ところが、今では打って変わって皆がFRBが「利下げをいつするのか」に注目しています。「FRBが今年のいつ頃に利下げを宣言するのか?」に熱い視線が注がれています。
いつからか、FOMCは、開催されるたびに利率の据え置きという退屈な結果ばかり出ていますが、いつ利下げのカードを切るのかというのが現在、ほとんどの米国株投資家の最大の関心事です。
当然知っていることだ、なにを今更と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。2022年、2023年、そして2024年を通して、何かおかしな点に気づきませんか?
「利上げは米国株式市場にとって良くなく、利下げがあって初めて息がつける」という、過去2年間にわたって私たちが堅く信じてきた前提に従うなら、ナスダックとS&P 500指数は上のように動くはずです。少し単純化しすぎた感はありますが、とにかくこの前提に合った正しいチャートは上記のような形になります。
しかし、実際のところはどうでしょうか? 政策金利は依然として5.25%に留まっていますが、米国株式市場は2023年を通じてじわじわと上昇し、過去の高値を大きく超えた状態が続いています。もちろん、AIや半導体、そしてNVIDIA(NVDA)の多大な貢献がありましたが、それがここでの重要なポイントではありません。
すでに政策金利が5.25%で動かない状態、そしてFRBの利下げ時期の見通しがどんどん後ろにずれていくような環境でも、米国株式市場は早々に新高値を更新しています。
私が言いたいのは、こうした状況で「政策金利が高ければ米国株式市場は下落し、政策金利が低くなれば米国株式市場は上昇する」という命題をそのまま受け入れるのは難しいということです。すでに「政策金利が高ければ米国株式市場は下落する」という部分が間違っているのです。
それでは今日は、余計な説明は省いて、利下げが実際に実現した場合に一体何が起こるのか?という質問に対して、すっきりと答えを出してみたいと思います。果たして私たちの考え通りに、利下げは好材料となるのでしょうか?
米国株投資家が利下げを期待する理由
大きく分けて4つの理由があると考えられます。
さて、少し基本的なことを復習してみましょう。
以下の質問に自分で答えられるなら、現在のマクロ経済の状況をよく理解している、優れた米国株投資家、基本がしっかりしている米国株投資家だと言えるでしょう!
Q. FRBはなぜ2022年と2023年に政策金利を引き上げたのか?
FRBは高いインフレに対処し、物価を安定させるために政策金利を引き上げました。政策金利の引き上げの目的は、消費者や企業の支出や投資を減らして需要を抑えることです。政策金利が上がると、お金を借りて投資することへの負担が増すからです。その結果、2年間で0%から5.25%まで、複数回のFOMCを経て政策金利が継続的に引き上げられました。
Q. FRBが政策金利の引き下げをなかなか行わない理由は何か?
インフレがFRBの目標値までなかなか下がらないためです。インフレが完全に安定する前に政策金利を引き下げてしまうと、それまで行ってきた多くの努力が無駄になり、再び状況が元に戻ってしまう可能性があるからです。FRBの目標は「米国経済が副作用なくインフレから抜け出すこと」であるため、最大限慎重に状況を見極める必要があるのです。
ここまではよくご存じの内容ですよね?それでは、ここからはより重要な質問をします。
Q. アメリカ株式の投資家たちが政策金利の引き下げを待ち望む理由は何でしょうか?
大きく4つの理由が挙げられます。簡単にまとめると以下の通りです。
第一に、企業が資金を調達する際に負担する金利が再び低下し、この低下した金利によって利息費用(借入コスト)が削減され、企業が投資や拡張をより積極的に行えるようになります。アメリカの株式市場に上場している企業の規模や売上が拡大し、事業の収益が改善される可能性が高まるでしょう。
第二に、政策金利が引き下げられると、金利に連動する預金や貸付の金利も引き下げられます。預金や債券などの単純な投資手段の魅力が低下し、より良い収益を求める投資家が株式市場に誘導されることで、株式市場がより活発になると予想されます。
第三に、アメリカの市民の家計負担において、ローンの利息の割合が減少し、アメリカ人の生活に余裕が生まれ、消費者支出が増加して企業の売上や純利益が改善されるでしょう。
第四に、アメリカ株式市場全体で大きな割合を占めるREITs(不動産投資信託リート)、不動産建設、公益事業部門は、実質的に借金をして新たな資金を創出するビジネスモデル(借金をして建物を購入し、賃料を得るなど)で成り立っています。政策金利が低下すれば、これらの部門はより低コストで借入ができるため、確実な恩恵を受けることができます。
以上の4つの理由はすべてもっともらしいですが、「政策金利が引き下げられるとアメリカ株式市場が上昇する」という命題は、これらの理由によって市場参加者が期待する株式市場の上昇が実現したら正確な命題となります。そこで、過去に政策金利が変化した際、アメリカ株式市場がどのように影響を受けたかを調べてみましょう。
過去の政策金利の変化と株式市場の変動
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