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え?わ!ダイアモンドより銅が貴重なの?①
皆さん、こんにちは!アメリカ株式義塾です。
「え?わ!ダイアモンドより銅が貴重なの?」第1回を始めましょう。
今日の話題は銅!
銅は、電気自動車とAIブームに乗り、すべての電子製品と半導体に欠かせない素材として注目され、連戦連勝(?)中なのですが、もう皆さんはご存じでしょうか?
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米中紛争の観点からも、
「上昇の可能性が開かれ、下落の可能性が閉ざされている素材である」
といえます。その理由を解説していきます。
銅って、だれ?
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人類初の工業用金属。
世界の景気判断の指標となる重要鉱物。
電気素材といえばコレ。
これらが何を表しているのかご存知でしょうか?
銅です。
最近、銅の価格が再び1トン当たり1万ドルを超え、国際的な重要鉱物市場から熱い視線を浴びています。
しかし銅に関して、色々と問題が出てきています。
銅の需要は増えているのに、供給が思うようにいかない。
銅を採掘するのが難しくなっている。
これらの問題について聞いたことはありましたか?果たしてこれらはどれほど正しいのでしょうか?
きっとこうした問題についてなんとなく知っていた方もいるかと思います!
素晴らしい\\\\٩( 'ω' )و ////
しかし、賢い<アメリカ株式義塾>の購読者の皆さんには、ただ銅が高くなったんだ、へぇ~とスルーするのではなく、本当にそうなのか、もう少し詳しく掘り下げて、現在の状況をもっと正確に知っていただきたいと思います。
そこでこの記事をご準備しました!
「銅の供給に本当に問題が起きているのか?」
今回のコンテンツでは、皆さんがこのコンテンツを完璧に理解するために知っておくべき基本的な背景知識から、銅の採掘と供給のすべての過程で生じた問題まで、このコンテンツで全て取り上げます!
アメリカ株式義塾ではこうして、一つのトピックに焦点を当てて解説する記事も提供しています。
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銅採掘のA to Z
まずは、どこで、どのように採掘するのか、早速チェックしていきましょう!
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銅がどこで取れるのかなんとなく覚えている方も多いでしょう。
銅は南米のチリやペルー、南アフリカのコンゴ民主共和国、そして、アメリカ、中国などその他様々な国で生産されています。 全ての国を押さえておく必要はないので、ざっくり代表的な国を選んでおけば大丈夫です。
さて、ここでちょっと、銅ではなく、他の金属原材料の採掘量の経年変化を見てみましょう。
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鉄鉱石(Iron ore)の採掘量を現したグラフです。 過去11~12年間を見ると、もちろん景気状況に応じて需要が変化して採掘量も少しずつ変わりますが、平均してこの期間中に50%近く増えました。
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続いてこれはニッケルです。
紫色の線がニッケルの年間供給量、青色の線がニッケルの年間需要ですが、電気自動車のバッテリーに使用される主要な素材として扱われるニッケルの場合には、2021年から2023年までの2年間で25%近くの採掘量が増えました。 グラフで見られるように、今は需要を供給がはるかに超えている状況なので、ニッケル価格の暴落現象が起こりました。
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それでは、本題です。
銅を見てみましょう。
銅鉱石(Copper Mine)の年間生産量自体は2020年以前はほとんど伸びがありませんでしたが、2021年から2023年にかけて約13%増加しました。
精銅(Refined Copper)の生産量については、 2021年から2023年までの期間の増加は約10%未満でした。
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赤カブ部長:え、待って、銅鉱石と精銅の違いは何ですか?
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良い質問!
すべての金属原料は鉱石の生産量と製品の生産量を別々に計算します。
・鉱石生産量:採掘量ともいう。文字通り地中から掘り出された銅鉱石に含まれている銅成分の量そのものを言う
・製品生産量:掘り出された鉱石を精製して製錬して、私たちが産業現場で使える製品をどれだけ作ったかを言う
こうして見てみると、銅の生産量は他の金属と比べると確かに少し成長が遅れているようです。いや、少なくとも「その傾向」があるとは言えます。
もう一つ、チェックすべき重要な事項があります。
採掘された銅の品質
チェックすべき重要な事項は「銅の品質が下がりつつある」ということです。
銅の品質って、何を持って判断するんだろう、もしかして、なにか専門用具がないと品質判定なんてできなくない?
そんなことない!実は、5分くらいあれば誰でもわかるんです。銅の品質が落ちつつあることをどこで確認できるか、その技を特別!にご紹介します。
世界最大の銅採掘会社といえばすぐにBHP Group(BHP)を思い浮かべる方が多いでしょう。
SEC(米国証券取引委員会)の10-K年次報告書では、常に、彼らが採掘した銅の品質を記録しています。
マッテ、10-K年次報告書ってなに?
無料で!
とってもわかりやすく!
なのにクォリティーもこんなに?!
10-Kについて解説した特集がございますので、一度読んでから以下にお進みくださいませ。
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まあまあ、わざわざ10-Kレポートを開かなくても、決算発表の際にも言及されることがあります。 10年前はどうだったのでしょうか?今は?
気になって眠れない…!ということで、ここに、2015年、2019年、2023年と、4年ごとのBHPの銅採掘報告書を持ってきて載せました。
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BHPが運営している銅鉱山の中で最大規模のものは、チリのアタカマ砂漠の近くにあるエスコンディーダ鉱山です。その隣にあるスペンス鉱山が次に大きな規模の鉱山です。この2つの場所に焦点を当てて見てみましょう。ちなみに%TCuという数字が出てきますが、これは銅含有率と呼ばれ、鉱石の銅含有率を表します。これには、硫化物および酸化物鉱物、ならびに天然銅など、存在しうる、あらゆる形態の銅が含まれます。
たとえば、銅鉱石の重量が1,000gで、この鉱石に含まれる純銅が10gの場合、%TCu = 1%と計算されます。簡単ですね!
この%TCuさえみれば、その銅鉱石がどれほど高品質なのかがわかります。
だからこの%TCuは「品位」と呼ばれます。 「品質」のようなものだと理解しておけば良いです。2015年、2019年、2023年にBHPが営業している銅鉱山から採掘された銅はどれほど品質が良かったでしょうか。
(1) 2015年、エスコンディーダ鉱山及びスペンス鉱山で採掘されている銅品位
・エスコンディーダ鉱山:0.64~0.74%TCu
・スペンス鉱山:0.47~0.89%TCu
Low-gradeを見る必要はありません。無駄な低品質の鉱石だからです。
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(2) 2019年、エスコンディーダ鉱山及びスペンス鉱山で採掘されている銅品位
・エスコンディーダ鉱山:0.55~0.67%TCu
・スペンス鉱山:0.45~0.68%TCu
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(3) 2023年、エスコンディーダ鉱山及びスペンス鉱山で採掘された銅品位
・エスコンディーダ鉱山:0.47~0.59%TCu
・スペンス鉱山:0.47~0.61%TCu
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赤カブ部長: あれ、2015年、2019年、2023年と最近になるほど、同じ鉱山から出てくる銅鉱石の品質が落ちていますね?
その通り。 エスコンディーダ鉱山とスペンス鉱山で採掘を懸命に行い続けた結果、今使えるものはすべて取り出してまだ残りを掘り続けていますが、どんどん低品質の銅だけが採掘されているのです。
今回はここまで。
他の金属と比べて、銅は、低品質のものばかりが採れるようになっているという現状をお分かりいただけたかと思います。
少し長くなってしまうのでここで分けて、次回は
なぜ低品質のものしか採れないのか
銅鉱山と環境問題
銅の未来
などについてお話します。