【書籍感想】FIRE 最強の早期リタイア術
満足度:3.8(5段階)
投資家として、早期リタイヤは目指し続けたい目標の一つだ。
「FIRE(Financial Independent Retire Early)」は最近、米国の若者の間でも話題になっているということで、第一人者と言われる著者の本を少し前に読んでみた。
本書の結論は「支出項目をしっかり見極め、稼いだお金を可能な限り貯蓄に回し、インデックスファンドで投資しよう」に尽きると思う。もちろん他にも細かいテクニックや考え方もある。僕には全部は無理だけど・・・。
投資の話はさすがに出てくるだろうと思っていたので、想定内の話ではあった。著者は貧乏な家庭で育ったことからお金に執着しているとのことだが、とても共感した。お金持ちになるために、一生懸命働いてお金を稼ぎ、可能な限り貯蓄に回す。不要なもの買わないが、人生を豊かにするものには適度にお金を使う事も忘れない。実際に、ビリオネアの仲間入りした事もすごい事だと思う。ただ、収入はともかく彼女のように、支出を抑えることでの資産形成はなかなか真似が難しいと感じた。
夫婦二人で年間支出を4万ドル(440万円)で十分としているが、東京で実践するにはかなりギリギリではないかと感じている。また投資の部分で言うと、2008年のリーマンショック前に始めた投資だったので、ほぼ底値からの投資(ナンピンもあり)で上昇相場に乗れた事で資産を形成しやすいタイミングも良かったと言える。かなりポリシーを持った夫婦でなければビリオネアへの仲間入りは厳しいと言うのが現実だろう。
とはいえ、最後には平均的な米国の所得であっても60歳を前にリタイアできることを示しており(もちろん、想定どおりに投資リターンを出せればの話だが)、必ずしも早期リタイアを断念する必要はない。
と言うことで、やや具体的な倹約方法、アイデアを期待していたことはあったが、どちらかと言うと投資の要素が強かったように思う。投資をすでにしている方であれば、もっと言うと米国株投資がメインの方にとっては、すでに知っている知識ばかりであろう。基本はインデックス投資であるためだ。まだ投資をしたことがない方にとっては、これでアーリーリタイアへの道が開ける可能性を感じ取れるのは、良いことだと思う。投資の話としては物足りない部分は他の書籍で補足するのが良いと思う。
リタイア術まとめ
・「4%ルール」で資産を「増やしながら崩す」方法でアーリーリタイア
・年間支出が4万ドルなので必要な資産は100万ドル(4万ドルの25倍)
・旦那と二人合わせて、貯蓄率(税引き後収入から貯蓄・投資に回す率)を70%近くで維持し、年間80,000ドル貯蓄に回す(年収は80,000ドルを0.7で割るとわかるが、120,000ドル弱。二人合わせて)
・資産運用を行いながら9年で資産100万ドルに到達
・31歳の若さで会社を辞める。以後、海外旅行をしながら、自分が情熱を燃やせる執筆活動に従事
最後に
あまり内容が伝わらなかったかもしれないが・・・・
冒頭にJLコリンズさんが書いている通り、
あなたはそのすべてに同意するわけではないだろう。ただ、私が最も不快に思うのは自分の考え方に沿わないからと言って本の内容を批判する人々だ。
偉大な本とは、あなたの偏った見方を裏付けるものではなく、あなたの視野を広げてくれるものであるはずだ。本の中のアイデアというのは、その背後のロジックやいかにそのアイデアがいかにわかりやすく提示されているのかを基準に評価されるべきだ。自分自身の考え方と照らし合わせて評価すべきものではない。
僕も自分に合わないからと言って批判するつもりは全くない。が、やはり腑に落ちない点もいくつかあったので評価は辛めである。
筆者がお金に執着するようになった幼い頃の経験やルール、賃貸or持ち家の判断方法など細かいテクニックはぜひ本書をお読みください。kindle版もあり。