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米機関投資家のポートフォリオ公開基準、引き上げへ

まとめ

・現在、1億ドル(約107億円)以上の運用資産を持つ米機関投資家は、保有するポートフォリオ(ロングのみ、米国上場株のみ)を四半期ごとに公開する義務がある
・SEC(米証券取引委員会)は、報告を求める機関投資家の運用資産の基準を1億ドルから35億ドル(約3,745億円)へ引き上げする提案を行なった
・1978年以降、この資産額の基準は35億ドルのままだったが、それ以来で今回初めて基準が変わるかもしれない
・なお、SECは5年ごとにこの基準を見直すことも提案に入れている

ウォーレン・バフェット率いるバークシャ・ハサウェイを始めとるする機関投資家のポートフォリオ

米国の資本市場が進んでいるなと思う点の一つに情報公開がクリアであることが挙げられる。一定以上の資産を運用する機関投資家は保有株の情報公開が求められる。四半期に一度、四半期末時点から45日以内に、である。

よく日経新聞などで「ウォーレン・バフェットが○○の株を取得した」と報道されるのも、彼が会長を務めるバークシャー・ハサウェイがこのレポーティングの対象となっているからである。ウォーレン・バフェットは特に(米国株投資をしていなくても)日本人個人投資家に人気があるので、彼のポートフォリオを見て、投資先の参考にしている投資家は少なくないだろう。
もちろん、四半期末に保有する銘柄について、そこから45日以内での報告義務なので、公開されたときにはすでに売ってしまっているかもしれないのだが。

他にもイングランド銀行を負かした男として有名なジョージ・ソロスやアクティビストファンドを運営するカール・アイカーン、ダニエル・ローブなどのポートフォリオも公開されているし、世界最大のヘッジファンドと言われるブリッジウォーター・アソシエイツを率いるレイ・ダリオもポートフォリオを公開している。(ブリッジウォーター・アソシエイツはグローバルマクロ戦略なので、集中的な個別株投資はしておらず、ロングポジションをとる銘柄はETFを含め数百銘柄にのぼる)

90%以上が報告の対象外に

もしこの新しい基準が適用されれば、現在報告している機関投資家のうち90% 以上が報告の対象外になるという。35億ドルは米国でもそれなりの規模を持つ投資家になるので、多くはそれ以下に収まるということであろう。

もちろん、先にあげた著名投資家たちは兆を超える資産を持つので、引き続き報告を続けることになる。

著名投資家ポートフォリオをトラックするETF【GURU】

著名投資家たちのポートフォリオを真似たら儲かるのでは?と考える人も少なくないだろう。先に申し上げた通り、ウォーレン・バフェットによる保有がわかると株価が爆上げするケースも少なくない。

ただ、彼らが保有すれば長期的に全て上昇するわけではないし、異なる銘柄を保有しているので全てを追っていくのは難しいだろう。

そこで、著名投資家(売買が頻繁ではない5億ドル以上の資産を持つヘッジファンド)が持つ銘柄の中から、いくらかフィルタリングして銘柄を選定して投資するETF(上場投資信託)が存在する。

Global XのGlobal X Guru Index ETF (ティッカーシンボル:GURU)だ。「GURU」とは英語で「導師や指導者」を意味する。つまり、個人投資家の成功を導いてくれる個別銘柄を教えてくれる意味が込められている。

ただ、年初来のパフォーマンスだとS&P500に勝てていない。

(出所:yahoo!finance)

なお、直近で保有するトップ10銘柄はこちら↓↓

いずれにせよ、報告基準が変わることで、公開される情報の量が減ることになるため、GURUの銘柄選定基準も変わることになるだろう。

また、このgurufocusというサイトを使えば、無料で著名投資家の最新ポートフォリオ(四半期ごと)を見ることができる。ぜひ、一度目をご覧いただきたい。(一部、有料会員にならないと見られないページも存在する)

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<参考>**

SEC proposes boosting 13F reporting threshold to $3.5B
Is it game over for Guru Stock Picks investing services?
Global X website

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