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企業主催で、小さなオンライン芸術祭を開催する理由
こんばんは、臼井隆志です。過ごしやすい陽気が続き、いよいよ芸術の秋という感じになってきましたね。コロナに対する社会の認識も少しずつ変わり、「3年ぶりの開催!」と言われるようなお祭りも増えてきました。そんななか、全国各地で、秋会期の美術展や芸術祭が賑わいを見せ始めています。
ところで、ぼくは株式会社MIMIGURIという創業2期目のコンサルティングファームで働いています。この企業の、とある制度をつかって、小さなオンライン芸術祭を開催することになりました。それが「PARTISPOT」です。今日はその紹介をちょっとだけさせてください。
PARTISPOT 触発のお祭りへようこそ
アートフェスティバルPARTISPOTでは、複数のワークショップを2022年9月~11月の期間に開催します。気軽なパーティーに遊びにいくように集えるスペースで、演劇や造形、言葉をつくる活動を行います。主催者を含む参加者同士が触発しあいながら、わたしたちの無意識の層でわたしたちをかたちづくる「常識」をときほぐすための糸口をさぐっていきます。
期間:9/30(金)~11/3(金) 会場:オンライン
MIMIGURIのPLAYFUL FUNDとは?
MIMIGURIは「Cultivate the Creativity 創造性の土壌を耕す」をパーパスに掲げています。「こんなことをやってみたい、考えたい」といった多様な個人の衝動が発露する場をしつらえ、対話によって編み合わせ、組織の仕組みや事業としてかたちにしていくことを目指します。
この会社には「PLAYFUL FUND」という不思議な制度があります。PLAYFUL FUNDは、社内クラウドファンディングのような制度です。
これは、チームに分かれ、自分が行いたい遊び = 探索的な取り組みをプレゼンし、聞き手は応援したい取り組みに投げ銭を行う制度です。最近では、社内のマスコットキャラクターが動くおもちゃと物語をつくる活動をMaker Fairに出店したり、社内劇団の旗揚げ公演が行われたりしています。
お知らせグリ〜!9/3(土)と4(日)に東京ビッグサイトで開催される『Maker Faire Tokyo 2022』にMIMIGURIが出展することになったグリ。MIMIGURIのみんなが作ってくれた、グリグリとミミホーのぬいぐるみの展示もあるグリよ。要チェックグリ!#MFTokyo2022 pic.twitter.com/J0frWyBFHd
— グリグリとミミホー (@guriguri_mimiho) August 26, 2022
今日は社内劇団の公演!🎪
— 夏川 真里奈 (@marina_mimicry) September 22, 2022
組織人事部が「劇団やりたい!」と立ち上げ、社内ファンド制度でお金が集まり、脚本・演者・演出が揃いついに公演!
「会社何やってんの!?」よく聞かれますが…大人が真剣に遊べる会社だよって伝えてます!
会社で仕事してるのか遊んでるのかもうわからない😂#劇団不確実 pic.twitter.com/6veLjrCiXl
MIMIGURIは、こうした、一見なんのためにやるのかわからない活動を、それなりの時間とコストをかけて進める変な文化のある会社です。遊ぶことや遊び心をもって行う仕事こそ、創造的な事業と組織文化を豊かに耕すと信念をもっているとも言えます。
企業として美術館を作りたい
この活動をきっかけに、ぼくたちのチームでは、自社が美術館をつくることを目指して、美術館のプロトタイプのようなものを小さくつくってみよう、と考えました。それが今回のアートフェスティバル「PARTISPOT」です。
ぼくたちが考える美術館は、作品がただ置かれて並べられている静謐な空間ではなく、作品を囲って対話がなされたり、作品自体が作られるプロセスがオープンになっていたりする賑やかな美術館です。近年の美術館の考え方のなかでは「アートセンター」という呼び方に近いかもしれません。物理的な空間をつくる長い道のりに向かって、まずはオンラインでの芸術祭からはじめてみています。
美術館/芸術祭が知的資源を社会に開く
こうした美術館や芸術祭は、企業がもっている資源を社会に開く役割があると考えています。たとえば、資生堂がもっている「資生堂ギャラリー」は、資生堂が行なっている美への探究とそこで培われた知が社会に分かち合われる場です。
MIMIGURIでは、ファシリテーションに関する知を探究しています。それはたんなるミーティングやワークショップの司会進行術ではなく、苛まれるジレンマや人が囚われている常識を解きほぐし、創発を生み出し、アイデンティティが変容するような学びを支援していくような集団の運動態を生み出す活動です。
芸術祭の場は、たとえば「採用」や「人材育成」、「事業PR」といった明瞭な目的はもっていません。そうではなく、遊びの活動を通じて、ぼくたちが探究している「ファシリテーション」の知を開いてみることで、思わぬ別の知との出会いの可能性があると考えています。
たとえば、ファシリテーションなど関係ないと思っていた領域が、実はファシリテーションと繋がりの深いものだったことがわかったり、ファシリテーションの知を必要としていたがビジネスとしてつながる回路がなかった人たちにつながり、知が流れていったり、そういう出会いです。
「母」「VR」「"はんたい"の思考」「問い」といったキーワードで、多様なプログラムが開催されます。子どもといっしょに楽しめるものもあります。是非この小さなパーティにご参加ください。
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