「わたしたちは抑圧された人々のために、そして女性の解放のために戦っている」 黒のミリタリーパンツを履き、クルドの土地で命と生命力を意味する緑色のスカーフを頭に巻いた色白のソザン・カリリは、砂糖のたっぷり入ったチャイを飲みながら言った。 イラン生まれのクルド人である21歳の彼女は、すでに5年間の従軍経験をもち、イスラム過激派組織ISとも戦った。今はトルコと国境を接するシリアの街で、17歳から23歳までの女の子たち10名の部隊を率いている。 「ISの連中は、女たちによって
※この記事は「月刊ジャーナリズム」2020年9月号に掲載された記事に加筆修正をしました。 前回の記事ではトルコにおけるクルド人の置かれた状況について書いたので、今回はトルコと北で国境を接するシリアに住むクルド人たちの今について書いてみようと思う。 シリアには元々そこまでクルド人は住んでいなかったが、第一次世界大戦後、トルコ政府のクルド人迫害から逃れてきた人々が多く住む。シリアでも市民権の剥奪などクルド人が体験してきた出来事は厳しいものがあるが、2011年以降のシリア戦
最近、しばしば埼玉県川口市や蕨市でクルド人が揉め事を起こしてニュースになり、そのたびにネット上では彼らに対する評判がどんどん悪くなっている。その度に僕は重いため息を吐く。犯罪行為や迷惑行為を行なってしまった一部のクルド人に対してもだが、事件に対する我々日本人の反応にもだ。野蛮人だの、難民申請中のくせにだの、アイツらが各国で迫害されている理由がわかっただの、クルド人のことをおよそ知らないと思われる人々が言いたい放題言っている。そう言いたくなる気持ちもわかる。だが一部の人間の行
プロフィール 鈴木雄介 / Yusuke Suzuki 1984年 千葉県流山市生まれ 2011年 米国ボストン New England School of Photography卒業。 同年よりボストン地元紙やロイター通信でフリーランスとして活動したのちニューヨークに拠点を移す。ドキュメンタリーフォトグラファーとして戦争と、戦争が人や社会に与える影響をテーマに活動を始める 2020年 拠点を日本に移す 実績 PerformanceTIME、 CNN、MSNBC、 Th