イジメ加害者を強制転校させることが可能な制度を制定するべき
またもや痛ましい悲劇が繰り返されてしまったそうだ。
この事件で残念に思うのは、2年前の時点で「飛び込み事件」が発生しており、そこで加害生徒たちの悪事はすでに発覚していたにも関わらず、この悲劇を防げなかったことだ。
これが「自殺によってはじめてイジメが発覚した」というのであれば、仕方ないと言っては語弊があるが、どうしようもなかったかもなってのはある。だが今回のケースはそうではない。
記事を引用する。
捜査の結果、わいせつ画像を送ることを強要した加害者であるC男は、児童ポルノに係る法令違反、児童ポルノ製造の法律違反に該当した。だが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、少年法に基づき「触法少年」という扱いになり厳重注意を受けた。A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。現場となった公園はその後、小学生の立ち入りが禁止されたが、加害者側は誰一人処罰されることはなかった。
つまり、加害者側の悪事は明らかにされていたにも関わらず、誰一人ペナルティを受けなかったわけだ。
その後、被害者は、2年近い不登校の末に死を選んだ。つまり、2年近くも被害者を救う時間があったのに、結局、だれも被害者を救えなかったのだ。
「加害生徒には厳しく指導をしました。泣いて反省する子もいれば、ウソをついてほかの生徒に責任を擦り付けようとする子もいるなど、子供たちの反応はバラバラでした。爽彩さんがどうやったら学校に戻れるかについて、教職員間で話し合いを始めた矢先に、転校してしまった」
転校してしまったから私たちはもう関係ない、とでも言いたげな言葉にも腹が立つが、そもそも、被害者がどうしたら立ち直れるか、ではなく、どうやったら学校に戻れるかを考えてる時点で、被害者のことなど何も考えていないように思える。
とはいえ、学校の教師の力だけでこうした問題が解決できるとも思えない。教師はスーパーマンではないし、ただでさえ教師という仕事の負担は大きいのに、むやみに教師にばかり責任を押し付けてしまうのもどうかと思う。
また、被害者家族が加害者家族に損害賠償請求をするとしても、その結果、加害者家族が崩壊してしまうレベルの責任を負わせてしまうのは、「子供を持つ」ということのリスクを高めてしまい、少子化の原因になりかねない。正直、昨今の、なんでもかんでも親(保護者)が悪い、という風潮もどうなのかな、と思う。
そして何より、少年法の壁によって、加害者本人に責任を取らせることができないというのが、最悪だと思う。少年法の弊害は昔から議論されてきて、少しは改善されてきてはいるが、焼け石に水レベルだ。私は、少年法を廃止せよとまでは言わないが、10歳以上の子は刑事罰に問えるようにするべきではないかと思う。
それから、今回の件でも、被害者の側が転校して、加害者の側が学校に残ってしまっていることも問題だ。
「残念ながら、いじめられた児童の側に、いじめた児童の転校を求めるような権利はないといってよいでしょう。権利として認められているのは、原則として民事上の損害賠償請求のみです。つまり、お金を請求できるだけなのです」
「権利はない」じゃないんだよね。ないなら作れ。
「教師から注意を受けた後、いじめが続いていないなら、客観的には『排除が教育上やむをえない』とか『他の児童の教育に妨げがある』とはいいにくい。ですから、退学や出席停止は難しいでしょうね」
たとえいじめが続いてなかったとしても、被害者にとっては、加害者と毎日顔を合わせることも苦痛だし、加害者と同じ空気を吸っているだけでも苦痛である。加害者がそこに存在するだけで、十分に「被害者児童の教育の妨げ」になる。
ストーカーに対しては、被害者の××メートル以内に近づいてはいけない、という命令を下せるのですから、いじめ加害者にも同様の処分を下すことができるように法整備をすることは可能なはずです。
今回のケースでは、被害者が不登校から2年近く経ってからの自殺なので、仮に加害者がきちんと処罰されていたとしても、被害者を救えたかどうかはわからない。しかし、加害者が誰も処罰されなかったという事実は、被害者の心の傷をさらに大きくしてしまったように思える。少年法の壁で刑事責任に問えないなら、いや刑事責任に問えたとしても、被害者はそんなことよりも加害者が目の前から消えてくれることのほうが大事なのではないかと思う。