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批判と中傷の違いなんて絶対に定義できない。グレーゾーンは確実に存在する。

「#きゃりーぱみゅぱみゅさんを応援します」っていうハッシュタグが流行ってるそうです。

きゃりーぱみゅぱみゅさんを応援したいならCD買えよ、ってのは横に置くとして。

(せめてYouTubeの再生くらいはしてあげましょう。新曲のリンク張っておきます。)

詳細は記事を読んでいただけばわかると思いますが、きゃりーさんが、木村花さんの件について「芸能人も人間です」的なことを言ったら、「政治家も人間です」的なリプライが返ってきて無間地獄ウゲェ…みたいな話です。

で、政治家までこの騒ぎに便乗してきてますます地獄。

おい星野源に便乗した安倍を叩いてた奴ら、政治家が芸能人を利用してるのに何も言わないのか?ってよく考えたら俺も星野源の件では安倍批判してたわ…。

どうも、マスコミの論調を見る限り、きゃりーさんを批判するリプライは「中傷」、政権側を批判するリプライは「批判」と言っているようにしか思えないのですが、当然のことながらこうした論調はネットユーザーの怒りに対して火に油を注いでいるだけのように思えます。

もちろん、きゃりーさんがTwitterでどんなことを呟こうが本人の自由ですし、政権を批判するのも自由です。しかし、その自由は芸能人・著名人だけが享受できるものではなく、広くあまねくすべての人々が持っているものです、ということは過去にも散々言ってきました。

一方で、あまりにも度の過ぎた「中傷」は違法ですし、犯罪として立件される可能性もあります。また、法律的な話を別としても、倫理的に、道徳的に良くないこととされています。

ですが、「中傷」と「批判」を厳密に区別することが、できるのでしょうか?

例えば、「美人」と「ブス」を厳密に区別できるかどうか。見る人によって、美人だと認識する顔、ブスだと認識する顔は違います。同じ人を見て「あの人、美人だよな」「え?どこが?」「美人だろ。おまえにはあの人が美人に見えないの?」「うん、全然」みたいなことは、よくある話です。

しかし一方で、大勢の人が美人だと思う顔と、大勢の人がブスだと思う顔、というものは確実にあります。

「美人」と「ブス」の違いは確実にある。しかし境界線はあいまい。

次は「脅迫」と「アドバイス」を厳密に区別できるかどうか考えてみましょう。

例えば、「夜道に気を付けな」が脅迫に当たるかどうか。これ、TPOによって答えは変わってくると思いますし、TPOが決まっていても議論が分かれる話ですよね。

「脅迫」と「アドバイス」の違いは確実にある。しかし境界線はあいまい。

このように、厳密な定義が難しいものというのは、この世にたくさんあります。「批判」と「中傷」の区別なんて、その最たるもの。

ですが、ネット上には「ネットでの中傷を規制しろ」ということを言う人が大勢います。中には「プロバイダ責任制限法を改正しろ」という人までいます。

そして、これはあくまで私が感じた印象ですが、安倍政権に批判的な人ほどネット規制を叫ぶ傾向が強いように感じます

あの…安倍政権にそこまで強大な権限を与えてしまって良いと、 #こんな人たち は本気で思っているのでしょうか?

時の政権が、被害者が訴え出てもいないのに、「この投稿は〇〇さんに対する中傷」と一方的に決めつけて、自由に摘発できる権限を持ってしまったら、それは容易に言論統制に利用されることくらい小学生でもわかると思います。

なぜなら、批判と中傷の厳密な区別など定義できないから。

まさか、この人たちは今になってこういう問題が急に出てきたと思っているのでしょうか。

インターネット黎明期、いやその前のパソコン通信の時代から、約40年もの長きに渡って、ずっと議論されてきたことなのに。

もちろんプロバイダ責任制限法が施行されてからもう18年も経つのですから、見直しが必要だという議論もあって良いと思います。

ですが、今の今まで中傷の厳罰化が見送られてきたのは、明らかに憲法21条に抵触するからです。

第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

護憲派なら9条以外の条文もちゃんと読めよ

なので今後も、中傷が厳罰化されることはないでしょう。

ネットの中傷を法律で禁止することが難しい以上、ネットの中傷に対しては言論で批判していくしかありません。

人を傷つけてしまうことを恐れていては批判などできません。批判のない社会が健全であるはずがありません。しかし一方で、批判と称する誹謗中傷に溢れた社会もまた健全であるはずがない。

これは、永久に解決する日のこない問題です。

ただ、いくら批判と中傷の区別が厳密に定義できないからといって、それは中傷を肯定する言い訳にはなりません。私の発言はもしかして誰かを傷つけてないか?と自問できない人は、表現の自由はできれば行使しないでいただきたいですね。

おまえが言うな!という批判が来るのは、百も承知です。









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