慶大医学部客員教授「日本の死亡者数はアジアで2番目に多い」
などと意味不明な供述をしており…。
私は医師ではないし、医学の知識もないので、彼の主張については深く追求しません。ですが、彼の主張には素人でも分かるまやかしがあります。
パッと見てわかると思いますが、明らかに中国、インド、パキスタン、インドネシア、フィリピンのほうが日本より死亡者が多いです。
「どこがアジアで2番目なんだ?」と突っ込みたくなると思います。
そして、さらに記憶力の良い方なら「あれ?イランが載ってない」と思うはずです。
イランは3月頃には、コロナ感染率が「突出して高い」と報じられていた国です。
ところがその後、イタリアに追い越されたのを皮切りに、フランス、スペイン、アメリカ、イギリスなどにも次々と追い越されてしまい、みんなすっかり忘れてしまったようですね。
さらに言うと、イランだけではなく、トルコやサウジアラビアなど中近東地域一体が全く載っていないことに気づくはずです。
さて、これは医学ではなく歴史と地理のお勉強ですが、もともとアジアというのは、古代ギリシャにおいてはアナトリア半島(現在のトルコのある半島)からメソポタミア地域(現在のイランのあたり)のことをアジアと呼んでいたのです。
やがて、ヨーロッパ人の地理的見分が広がるにつれて、アジアの範囲はインド、中国、東南アジアにまで拡大されたのです。ちなみに、アナトリア半島のことを「小アジア」とも呼んだりもします。
もう1つ、日本人には勘違いしている人が多いですが、イランはアラブではありません。アラブ諸国と国境を接していており、なおかつイスラム教を信仰しているので、誤解されやすいですが、彼らはペルシャ人です。アラブ人はアラビア語を話しますが、イラン人はペルシャ語を話します。そして、もう1つややこしいのが、よく似た国名のイラクに住んでいるのはアラブ人です。
話を戻しましょう。厚生労働省のデータによると、日本より死亡者数が多い西アジア諸国は、イラン以外ではトルコも大変多くの方がなくなっておられます。
さて、菅谷教授の「論文」をさらに読んでいくと…
6. 日本の死亡者数はアジアでワースト2
欧米諸国と比べて死亡者数が少ないというだけで,日本のSARS-CoV-2対策が成功したという報道は誤りである。人口10万人当たりの死亡者数をアジア諸国で比べると,1位はフィリピン,2位が日本であり,日本は最も多くの死亡者が発生した国の一つである。
おいおい「死亡者数ワースト2位」と「人口10万人あたりの死亡者数ワースト2」では全然違うぞ。
完全に見出し詐欺ではないか。
しかも、先述したように、菅谷教授はアジアから中近東地域を排除するトリックも使っている。
完全に人を騙す気まんまんやないか。
しかも、フィリピン、日本を筆頭に、韓国、インドネシア、シンガポールなど、どの国も1.0未満です。つまり、人口10万人あたりの死亡者が1人未満。
これ、優劣付ける意味ある?
これが、さらに1桁少ない台湾やタイと比較するなら意味あるけど、それ以外の国なんて誤差レベルですよ。
つまり、菅谷教授は、1つの論文の中に3つの嘘を混ぜ込んでいる、ということになります。ちなみに、西アジアを含めた場合、日本の「人口10万人あたりの死亡者数」は、イラン、トルコ、クウェート、イスラエル、アラブ首長国連邦(UEA)、サウジアラビアよりも下になります。