クオータ制、ゼッタイ、ダメ。「少数派=悪」は思考停止。女性議員を増やしたいなら議席増を。

 Q 25日に決まった第5次男女共同参画基本計画に出てくる「クオータ制」って、どんなもの?

 A 国会や地方議会などの議員選挙で、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる制度だよ。クオータは英語で「割り当て」の意味。構造的な差別により力を生かす機会が少ない人に機会をつくり、実質的な平等を実現する「ポジティブアクション」の一つだ。

「実質的な平等」という言葉は、何かを説明しているようで何も説明してない。よく言われることだが、平等には2種類あり、機会平等と結果平等である。一般に、自由主義は前者を重視し、社会主義は後者を重視すると言われている。クオータ制は明らかに前者を踏みにじって後者を優先する制度であり、後者の平等は達成されるかもしれないが前者の平等は完全に失われる。

「ポジティブアクション」という言葉も気に入らない。なんでいちいち横文字を使うのだ。読者をナメとんか。

 Q 導入例はあるの?

 A 約120の国・地域でとりくんでいる。日本のように採り入れていない国のほうが少ないくらいだ。

いやいや、少ないから何なんだ。多い方が正しいってわけじゃないだろ。多数派のほうが正しいっていうんだったら「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という条文を憲法に持つ国は少数派なのだから今すぐ改正してくれ。

しかも、120か国が取り組んでいると朝日新聞は主張しているが、よく読むとそのうち55か国は「政党による自発的クオータ制」であって、法制度によるものではない。

ところで、私が再三にわたって繰り返し主張していることだが、女性議員を増やしたいのであれば議員定数を増やすべきである。

物凄く極端なことを言うと、議員定数を1億とすれば必ず約半数が女性議員になる。逆に議員定数を1とすれば女性が議員になることはほぼ不可能になるだろう。

そこまで行かなくても、議員定数を増やせば、それだけ、いわゆる「地盤、看板、カバン」を持たないチャレンジャーが当選しやすくなる。これから国会議員や地方議員になろうとする女性は大半が「地盤、看板、カバン」を持たない人なので、当選しやすくなるわけだ。

逆に、議員定数を減らせば、当選する人は「地盤、看板、カバン」を持つ有棘議員で固められてしまい、チャレンジャーが入り込む余地が少なくなる。

もちろん、「議員定数を増やせば女性議員も増えますよ!」なんて安易に言うつもりはない。そこから先は各政党、そして投票する我々有権者、そして何より立候補に消極的な女性たちの努力次第である。

だが、こうした努力を何もせず、いきなり非民主的なクオータ制に頼るのは、あまりにも安易にすぎるのではないかと思うのである。

そして何より、女性の秘書が少ないのに女性の議員だけ増やそうと考えるのは、上っ面しか見ない態度だと言えよう。種もまかずに土壌に直接生け花をするようなもので、こんなものは少し風が吹いたり雨が降ったりすればあっという間にダメになってしまう。

韓国には「外華内貧」という四字熟語があるらしいが、まさにクオータ制というのは「内貧」を放置したまま「外華」だけを飾るための制度だと言える。こんなやり方で男女格差が解消すると思ってる人は、はっきり言って馬鹿である。無能な働き者ほど有害な存在はない。

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