スタートレックでボロ儲け ~iPad、アレクサはパテント違反?~
スタートレック(以下ST)。1966年放送開始の米国製TVドラマ。説明不要のSF界の金字塔。筆者も大好きで、映画版はすべてのDVDを持っている。
日本でTV放送されたときのタイトルは「宇宙大作戦」
この動画は当時のままではなく、宇宙空間・エンタープライズ号など一部を新たにCGで作成して合成したもの。当時はCG技術がなかったので、基本的にはミニチュアを使って撮影していた。
1966年といえば昭和41年。ミニスカートが流行し、ビートルズが初来日した。
山本リンダ氏の「こまっちゃうな」、加山雄三氏の「しあわせだなぁ」が流行ったのもこの年。
邦画は「網走番外地シリーズ」、洋画は「007/サンダーボール作戦」が大ヒット。
宇宙関連で言えば、NASAのルナ9号 が月面軟着陸に世界初成功 している。
そんな時代に作られたST。未知なる宇宙を冒険する完全空想物語であるが、この空想物語から生まれた商品は数多くある。「予言の自己成就」のひとことで片づけることも可能だが、それでは夢がないのでここでは禁句。
ちなみにSTにはいろいろとシリーズがあり、製作された時代も違う。今回の話に出てくる以下の3つで、カッコ内は放送開始の年。
スタートレック (1966年~)
新スタートレック(1987年~)
ディープスペース9(1993年~)
以上を踏まえ、STワールドをお楽しみください。
エンタープライズ号
スタートレック(1966~)に登場。主人公らが搭乗する宇宙船。STファンの要望により、NASAが初代スペースシャトルに同名をつけたことは有名。ただしスペースシャトル版エンタープライズは試験機で、実際には宇宙に行っていない。
Jaxaより
携帯電話
これも有名な話。2つ折りの携帯のデザインはSTのコミュニケーター(通信機)が元になっている。写真のタイプはスタートレック(1966~)に登場。通信時は写真のように蓋をあける。閉じれば通信終了。
akibaより
USBメモリー
正確には「メモリースティック」風の記憶媒体。エンタープライズの所属する惑星連邦で使用されるシーンは記憶にないが、フェレンギ人が「ホロデッキ」(3D型娯楽施設)のプログラム保存に使用していた。
DS9シリーズ(1993~)に登場。単三乾電池サイズのスティック状。
kidadle より
SONYのメモリースティックが発売されたのが1997年7月。
USBメモリーが登場するのは2000年頃。STのほうが先。
メモリースティック・・・sonyより
タブレットPC
新スタートレック(1987~)で、ピカード艦長に報告書などを提出する際にiPadのようなタブレットを手渡ししていた。データではなく、タブレットそのものを渡していたところが今と違う。おかげで艦長のデスクにはタブレット(報告書)の山。
初代 iPadが発売されたのは2010年である。
exciteニュースより
iPad講座 より
タッチパネル
新スタートレック(1987~)には物理スイッチはほとんど出てこない。すべてタッチパネル式。艦の操舵もタッチパネル。コンピューター故障時に「マニュアル操作」としてジョイスティック型の操縦桿を使用したケースもあるが、基本的にはタッチパネル。
こんな感じで宇宙船を操縦。ハンドルはない。
memory alpha より
mighty mega より
初代スタートレック(1966年~)版でも操縦席(前席・右側)にハンドルはついていない。
austinより
現行のテスラにはハンドルがあるが、将来的にはなくなる?
テスラ・モデルYRWDホワイト(turbosquid より)
スマートスピーカー
AIスピーカーというか、ボイスコマンド。エンタープライズ内では、「コンピューター」と呼びかけた後に指示をだせば大抵のことができる。
新スタートレック(1987~)のワンシーン。エンタープライズ号に配属になったライカー(男性)が、コンピューターの使い方を教わっている。ライカーが知りたいのは「データ少佐の居場所」。ここでは「コンピューター」の呼びかけの代わりに画面をタッチしている。
「コンピューター、自爆シークエンス作動」と命令し、上級士官3人が認証コードを言えばエンタープライズは自爆する。
試しにアレクサに「自爆シークエンス作動」と言ったら、「認証コードが確認できません」と返された。回答パターンはいろいろあるみたいなので、是非お試しを。(英語設定。日本語では不明)
フードレプリケーター
スタートレック(1966年~)以降のシリーズすべてに登場する食品版3Dプリンター。出てくるのは天然モノではなく、複製された合成食品。
「アールグレイ、ホット」とオーダーすればカップに入った温かいアールグレイ紅茶が出てくる。アールグレイはピカード艦長のお気に入り。たまにダージリンも飲んでいた。英語だとDarjeelingで、ダジーリンと発音。アクセントは「ジ」。
この画像はピカード艦長ではなく、ヴォイジャー号の艦長ジェイン・ウェイ。
memory alpha より
飲み物やピザといった単品・シンプルなものだけでなく、セットメニューも複製可能。データさえあれば、何でも作れる。「カツカレー、チーズとほうれん草のトッピング付きで」もおそらくOK。
別のエピソードで「そっくりの人形を複製できないことはないけど、著作権があるからなぁ」という台詞があったので、「ココイチ(CoCo壱番屋)のカレー」はたぶん複製できない。
(出所不明のネット画像)
レベルは違うが、すでに実現している。
ここから先はまだ商品化されていないもの。商品化は近い?
トリコーダー
英語では tricorder で、医療系センサー。単三乾電池サイズのセンサーを患部に近づけて患者の状態をチェックする。「TRI」とあるくらいなので3つのセンサー機能があると思われる。CTスキャンとバイタルチェック(血圧や脈拍、体温など)と、あと一つはなんだろう。エコー?レントゲン?まさかの非接触型の聴診器か?
sumally より
ソニックシャワー
水を使わないシャワー。音波を使って振動で汚れを落とす。STシリーズで何度か登場しているが、なぜか混浴スタイルが多い。
最後はST発のテクノロジーとはちょっと違うけど・・・知っておいて損はない。
USSF
左が2019年設立のアメリカ合衆国宇宙軍(United States Space Force)。
右がSTの惑星連邦宇宙艦隊。ほとんど同じ。
コバヤシマル
STに登場する船名といえば「エンタープライズ」「ヴォイジャー」「デファイアント」といった英語が多いが、中国の「シェンジョウ/神舟」(USS Shenzhou NCC-1227)、日本の「ヤマト/大和」(USS Yamato NCC-71807) といった(米国からすれば)外国名も登場する。
そんな中で一番有名なのは「Kobayashi Maru」。漢字で書けば「小林丸」。知名度は低いものの「ツナミ」と同じような「英単語」になりつつある。
「コバヤシマル」がドラマ内で大活躍した・・というわけでは無く、「救難信号を受信、敵対するクリンゴン帝国の領域内へ漂流する貨物船を救出する」という訓練用シミュレーションがあって、漂流する貨物船の名前が「コバヤシマル」。
士官候補生は宇宙艦隊規約に則り、宇宙艦の指揮官およびブリッジ士官としてコバヤシマルを救助しなければならない。
実はこのシミュレーションは絶対にクリアできないようプログラムされていて、候補生がどんな行動をとろうともコバヤシマル救出に失敗・自艦もクリンゴンの攻撃を受けて壊滅する。これらのことから
That is a KOBAYASHIMARU matter.
といえば「それ、絶対に不可能なやつじゃん」という意味になる。海外企業との取引で
「その案件はコバヤシマルですね」
と言われたときに「?????」とならないよう、是非覚えておいて欲しい。
ちなみに発音は コバ・ヤシィ・マルゥー で「ヤ」にアクセント多くとカッコよく聞こえる。
おまけ
こちらは偶然見つけたSTマニア向けの映像。映画STXのエンディングの未公開シーン。ライカー下船後に新任の副長が乗船してくるのだが、公開時にはカットされた。
3:45~が未公開シーン。ライカーはやっぱりカッコいい。
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