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真夜中に缶コーヒーを飲む。
公園で一人、真夜中は静かなようでいて騒がしい。
街灯の光、車、空の音。
夜は静寂が抱きしめてくれるわけではない。
ただ、この時間の風は嫌いじゃないといつも考えていた。
燻ってコンビニでエナジードリンクを買いに行く夜も
自転車に乗って料理を配達するような夜も
話に詰まって駄菓子を買って坂の下の町を見た夜も
今は、どうだろうか。
コンビニで買った缶コーヒーを一口。
ささやかな香りが鼻から抜けていく。
今も嫌いじゃないんだろうなと、そう思う。
昼は僕らには騒がしすぎるのだろう。
音、光、匂い。人人人。
情報に溢れすぎているのだ。
情報を食む生き物とはいえ
人間の食べられる量には限界がある。
消化量にも。
深呼吸をする。深く、深く。
夜の匂いがする。
夜ばかりが記憶にある。
昼なんか嘘だったみたいに。
でも、それは自然な現象かもしれない。
人は匂いで記憶を思い出す生き物らしい。
昼の匂いを嗅いでいれば、昼ばかりが蘇るのだろう。
その時は、夜が嘘だと感じるのだろうか。
夜が嘘だとしても、嘘だらけの夜ではないと信じたい。
そう思いながら、缶コーヒーの残りを流し込んだ。