松ちゃんのやさしさにふれて
今日放送されたフジテレビのワイドナショーに「おいでやす小田」という、失礼ながら見たことも聞いたこともない芸歴20年の芸人さんが出演した。
名もない芸人のテレビ出演
この出演には訳がある。小田さんは売れないながらもピン芸人のお笑いコンテスト「Rー1グランプリ」に5年連続で出場していて、「来年こそは優勝」と準備していた。ところが、突然「芸歴10年まで」というルール変更で出場できなくなり、その話題に関連しての出演であった。
しかし、普通、ワイドナショーのようなテレビ番組に出られるのは、優勝した人だけである。「参加できなくなった」という理由で出られるわけはない。
実際、ワイドナショーに来た小田さんは「何しに来たん?」、「お疲れ様でした(帰っていいよ)」と、いじられまくっていた。
呼んだのは…
でも多分、お笑いが好きな人はみんな分かったのじゃないだろうか。
きっと、小田さんをワイドナショーに呼んだのは松ちゃんだと。
松ちゃんは小田さんのことをずっといじってばかりいたけど、何度かモードが変わって彼をかばったシーンがあった。ルール変更について
「せめて来年からにしてくれないとな」
「当日生放送に乱入したったらええねん」
と言った、この言葉だけは本気だったと思う。
面白い、面白くないは別にして、同じ芸人として一生懸命、20年間も必死に頑張る「仲間」を松ちゃんは見捨てることができなかったのだ。
だから、お笑いコンテストに出られなくなった小田さんのために
テレビ出演をプレゼント
したのだと思う。
やさしさに応えた小田さん
でも実は、話はそれで終わらなかった。というのも、番組の中で披露した小田さんのネタはめちゃくちゃ面白かったのだ。歴代のRー1優勝者の誰よりも面白かったとぼくは思う。
小田さんは松ちゃんがチャンスをくれたことをもちろん理解していた。
そして、その松ちゃんの想いに最高のネタで応えたのだ。
「もう(帰って)ええよ」、「なんでやねん!」という表面上のやり取りをしながら、心の中でこんな素敵なコミュニケーションをしている芸人さんたちを心から「カッコいい」と思う。
そして、やさしさには本当にいろんな形がある。改めてそう思った。