何がそんなに魅力的?スリッパで遊ぶわんちゃんの心理と対策について
◎ドッグトレーナーの資格保有者執筆◎
冬の寒さが本番となるこの季節は、足元の冷えが気になりますよね。おうちの中でも、寒さ対策のためにスリッパを履きたい…けれど、わんちゃんがスリッパを噛み壊してしまうから履けない!というケースをよく耳にします。
そこで今回は、スリッパで遊ぶのが好きなわんちゃんの心理と、遊ぶときの注意点、さらにスリッパをカミカミから守る方法について、ドッグトレーナーが解説していきます。スリッパ問題に困っていた飼い主様必見です!
どうしてスリッパを噛んで遊ぶの?
どうしてわんちゃんはスリッパを噛んで遊ぶのが好きなのか…不思議に思っている飼い主様も多いですよね。まずは、理由から探っていきましょう。
【理由①】噛み心地や大きさが、遊ぶのにちょうどいい!
軽くてフワフワなスリッパは、噛み心地満点!しかもくわえやすい大きさと形をしているので、お気に入りのベッドに持ち込んでカミカミ…なんてこと、よくありますよね。スリッパを「おもちゃ」だと思っているわんちゃんも少なくないでしょう。
【理由②】大好きな飼い主様のにおいがする!
わんちゃんは、大好きな飼い主様のにおいがするものに安心感を覚えるため、それを寝床に運んだり、噛んで遊んだりします。洗いたての靴下には興味を示さないのに、1日履いた靴下は脱いだ途端にくわえて振り回す、という行動も同じ理由で起こります。
【理由③】狩猟本能が刺激される!
わんちゃんには生まれつき、小動物などの獲物を狩るための狩猟本能が備わっています。
人と暮らすわんちゃんは、生きていくために獲物を狩る必要はありまん。しかし、フワフワした素材や天然皮革を使用したスリッパは小動物を連想させるため、飛びついてくわえたり、くわえたまま激しく振り回したりといった、狩猟行動を引き出すことがあるのです。
【理由④】退屈している、エネルギーの発散が必要
お留守番の時間が長い、悪天候でお散歩の時間が減ってしまった、など、わんちゃんの活動量が少ないと、退屈しのぎやエネルギー発散のためにスリッパを噛んで遊んでしまうことがあります。
わんちゃんがスリッパを噛む行動には、さまざまな理由があることがわかりました。
あなたは、「私のにおいがついたスリッパがそんなに好きなのね…」とほっこりしましたか?それとも、「わんちゃんに必要な運動量が足りていないのかも」と心配になりましたか?理由を理解したうえで、これからもスリッパで遊ぶことを許しますか?それともやめさせたいですか?
スリッパ問題を「遊び道具」として解決する場合
スリッパで遊ぶことを「良し」とするのか、スリッパはおもちゃではないことをきちんと教えたいのか、どちらを選ぶかはそれぞれの飼い主様の判断で良いと思います。
ただし、「スリッパ=わんちゃんのおもちゃ」と割り切って遊ばせる場合でも、以下の注意点をしっかりと頭に入れておくようにしましょう!
・必ず目の届く範囲内で遊ばせること
くわえたり振り回したりして遊んでいるうちに興奮が高まり、スリッパの生地やボタンなどの装飾物を噛みちぎり、中綿を取り出して飲み込んでしまうことがあります。誤飲した量や素材によっては消化管内で詰まってしまい開腹手術が必要となり、最悪の場合は亡くなってしまうこともあります…。
誤飲事故を防ぐためにも、スリッパで遊ばせるときには目を離さないようにし、遊びの時間が終わったら必ず「終わり」とスリッパを取り上げて、わんちゃんが自分では取り出せない場所(靴箱やクローゼットの中など)に片づけましょう。毎日、スリッパにほつれや穴などがないか、状態確認するのも大切です。
また、抱え込んで長時間カミカミさせる代わりに、飼い主様がスリッパを投げてわんちゃんが取りに行くレトリーブ遊びや、綱引きのような引っ張りっこ遊びを取り入れるのもいいでしょう。
・履いているスリッパや足にも噛みつく場合は早めの対応を
脱いであるスリッパだけでなく、飼い主様が履いているスリッパに噛みつく、くわえて唸る、スリッパではなく足に噛みついてくるといった様子が見られたら危険信号です。このような行動は遊びではなく、わんちゃんの所有欲や支配性を表すもので、エスカレートすると本気噛みなどの攻撃性に発展する可能性もあります。
危険なサインが見られたら、スリッパでの遊びは中止してトレーニングの専門家に相談しましょう。
スリッパで遊ぶのを止めさせたい!効果的な対策3つ
スリッパをおもちゃとして利用する場合の注意点はわかりましたね。では次に、わんちゃんがスリッパで遊ぶのをやめさせたい場合はどうしたらいいか、効果的な対策を3つご紹介していきます。
【対策①】スリッパは脱いだら片づける
スリッパで遊んではいけない、を教える前にまずやるべきことは、わんちゃんがスリッパで遊ぶ機会を作らないこと! 居住環境や家族の習慣を見直して、わんちゃんが自由にスリッパを調達できないようにしましょう。
例えば、
●わんちゃんの生活スペースをゲートで仕切り、スリッパを脱ぐときは必ずゲートの外で脱ぐ
●玄関の靴箱の上にバスケットを用意し、スリッパを脱いだら必ずその中に入れる
など、ちょっとした工夫で大きな効果が期待できます!
【対策②】スリッパの代わりに、噛んでもいいおもちゃで遊ばせる
スリッパを噛むのが大好きなわんちゃんに、「スリッパ=噛んではいけないもの」を教える際には、代わりに噛んでいいものを用意します。ペット用のぬいぐるみやロープトイ、押すと音が出るおもちゃなど、わんちゃんが興味を示すものを選んであげましょう。
用意したおもちゃを投げたり、じゃらすように動かしたり、引っ張りっこしたりして、わんちゃんと一緒に遊びましょう。スリッパに興味を示したら「NO」や「いけない」と伝え、おもちゃで遊んでいる間はたくさん褒めるようにします。これを続けていくことで、徐々にスリッパには関心を示さなくなっていきます。
【対策③】「ちょうだい」を教える
うっかり脱ぎっぱなしにしていたスリッパを、わんちゃんがくわえてしまった! という場合でも、わんちゃんが「ちょうだい」や「出して」のコマンドを理解していれば、慌てて取り上げることをせずに済みますよね。
わんちゃんがスリッパをくわえて放さないとき、大好物のおやつを手で軽く握り、そのにおいを嗅がせます。わんちゃんの意識がおやつに向かい、くわえていた物を放す瞬間にすかさず「ちょうだい」という言葉をかぶせ、手を開いておやつをあげましょう。これを繰り返すことで、「ちょうだい」でくわえていた物を放す、という行動が条件付けられていきます。
このコマンドは、スリッパだけでなくいろいろな場面で役に立ちますので、この機会にぜひ練習してみてくださいね。
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飼い主様のにおいのついたスリッパが大好きなわんちゃん、考えるだけで微笑ましいですよね。でも、それが誤飲や攻撃性につながってしまうのは、わんちゃんにとっても飼い主様にとっても辛いことです。
今回ご紹介したように、環境の見直しと遊びをうまく組み合わせながら問題を回避し、お互いにストレスなく穏やかな生活を送れるようにしたいですね。
●ライター:キュウタ
ドッグトレーナーの資格を保有
●編集:うしすけチーム
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