見出し画像

ちょっと嫌がられたはなし|愛犬と過ごすなかでのひとりごと【エッセイ】

わんこが家にやってきてから、下を向く機会がおどろくほどに増えた。つねに、どこにいるんだろう?どこかで転んでない?家具に挟まってない?と、きょろきょろと何度も下を見る。料理や洗濯もの干しなど、家事を中断までして、きょろきょろすることもある。すがたはたいていすぐ見つかる。ずうっと、後ろにいるのだから。

リビングから洗面所やトイレへ移動するときも、たいてい後ろから軽快な様子でついてくる。ふりかえって下を見ると、しっぽをゆさゆささせながらわたしを見上げている。すこし歩いて、またふりかえる。目が合って、しっぽゆさゆさ。このちょっとした移動時間さえも、わんこにとっては不安なのだ。どこにもいかない保証がないのだ。なんだかちょっと、さびしくなる。

そんなはじまりだったが、ふと、後ろにいる機会が減ったことに気づく。

わたしがどこかに移動しても、部屋の冒険に夢中。お料理をしているときも、部屋の冒険に夢中。洗面所などなかなか行く機会のない場所(人が使うとき以外は、きっちりドアが閉められている)にはついてくるものの、リビングに戻るわたしの後ろはついてこない。名前を呼んでも、洗面所での冒険に夢中になっているのだ。

最近は、わたしの隣あたりを歩いてついてくることも増えた。すこし前を行くこともある。

ああ、こうやって近づいていくんだなあと思った。いつでもそばにいるよ。そう思いながらクン活に夢中なわんこのおしりを撫でたら、ちょっと嫌がられた。

いいなと思ったら応援しよう!