手作りごはんって実際どうなの?ドッグフードとどっちがいいの?
◎獣医師執筆◎
「愛犬のために料理をしてあげたい!」愛犬家の飼い主様の中には、一度はそう思ったことのある方も多いのではないでしょうか?本屋さんにはたくさんの種類の手作り食の本が売られていますし、手作り食をテーマにしたドックカフェも増えてきました。その一方で「今食べているフードをやめて手作り食にしてもいいのかな」「手作り食と市販のドッグフードはどっちがいいんだろう・・・?」と考えてしまいますよね。
今回は、手作り食の基本と、ドッグフードと手作り食の活用方法を解説していきます。
手作りごはんのメリットとデメリットは?
市販のドッグフードと手作りごはん。どちらにも長所と短所があり「こちらの方が絶対にいい」ということはありません。手作り食のメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
①嗜好性が高い
いつものドッグフードだと食いつきが悪い場合、手作り食に切り替えることで食いつきがグッと良くなることが期待できます。
②年齢や体質に合わせて内容を変えられる
その子の年齢や、太り過ぎ・やせ過ぎなどの体型、お腹を崩しやすいなどの体質に合わせて手作り食の内容を変えることができます。
③水分量を調節できる
生の食材には意外にもたくさんの水分が含まれています。また、水分を取らせたい場合は、出汁を使ったり、お湯を含ませたりすることで水分量を調節することができます。
④ 保存料や添加物を避けられる
ドッグフードに入っている添加物や保存料は、一般的には健康被害を出すほどの量ではないとされていますが、少しでも保存料や添加物を減らしたい場合、手作り食にすることで解決ができます。
デメリット
①保存がきかない
ドッグフードのように長期的に保存することは難しく、災害時などに対応ができないため、数日分のドッグフードは常に確保しておくなどの対策を考える必要があります。
②毎日作るのは大変
毎日手作り食を作るのは、人の食事を手作りするのと同様に手間と費用がかかります。
③栄養管理は難しい
栄養不足になったり病気にならないために、わんちゃんに必要な栄養素や、食べてはいけない食材について知っておく必要があります。
これは避けよう!わんちゃんの食べられないもの
わんちゃんのフードを手作りするにあたって、栄養面でのチェックは欠かせません。わんちゃんの栄養学は、人の栄養学と同じく奥が深いため、獣医師に相談したり本を参考にする必要があります。しかし大前提として、わんちゃんが食べることで中毒を起こしたり病気になってしまうものを避けておく必要があります。
●ネギ類・ニンニク
赤血球を破壊し貧血を起こします。
●ブドウ
急性腎不全を引き起こすことがあります。
●アボカド
消化器症状を引き起こすことがあります。
●ナッツ類
消化が難しく、脂質が多いため下痢や膵炎を起こすことがあります。
●アルコール
わんちゃんはアルコール分解ができないため中毒を引き起こします。
●人の食べる様な味付けはわんちゃんには過剰!
人のおかずなどをそのまま与えた場合、塩分過剰になることがあります。特に心臓や腎臓疾患のあるわんちゃんの場合、病気が進行する可能性があるため注意が必要です。
全部手作りは難易度が高い!まずはトッピングからチャレンジしよう
全部手作りにしようと考えると、栄養のバランスを取ることが難しかったり、ご飯を作る手間が大きく、挫折してしまうことも少なくありません。特に、手間を減らすために毎日同じものを与え続けた場合、内容によっては栄養バランスが乱れ体調を崩してしまうこともあります。
はじめて手作りごはんにチャレンジする場合は、今食べているドッグフードに数種類の野菜やお肉、お魚などの食材を使った手作り食をトッピングする方法を試してみましょう。わんちゃんに必要な栄養素はドッグフードで確保しながら、色々な食材の栄養素をとれますし、食いつきが良くなるなどの大きなメリットがあります。
療法食を食べている子は必ず確認しよう
泌尿器結石・心臓病・慢性膵炎・腎臓病・肝臓疾患・食べ物アレルギーなど病気によって病院から出された療法食を食べている場合、必ず手作り食を試す前に動物病院で食べていいものを確認しておきましょう。これらの病気の場合、ほんの一口の量のトッピングで体調が崩れてしまったり、折角食べている療法食の効果が薄れてしまう可能性があります。
手作りごはんをうまく取り入れよう!
手作り食はドッグフードよりも嗜好性も高いため、わんちゃんにとって嬉しいもの。私たち飼い主も、わんちゃんが嬉しそうに食べてくれていたらそれだけで作り甲斐がありますよね。でも言葉を喋らないわんちゃんだからこそ、栄養不足になったり体調が悪くなったりしないように注意をしてあげたいもの。そのため、すべてを手作り食にするのではなく、ドッグフードにも頼りながら手作り食を楽しんでみてはいかがでしょうか?飼い主様の負担も最小限となり、続けやすくもなります◎
食は、人でもわんちゃんでも健康の基盤になるものです。もし何か困った時はいつでも動物病院で相談してみてくださいね。
●ライター:いぬかい ゆうみ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム
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