急に触るのはNG?はじめましてのわんちゃんと仲良くなる5ステップ!
◎ペットセラピスト等の資格保有者執筆◎
ご自宅のわんちゃん以外にも、さまざまな場所でわんちゃんに出会う機会がありますよね。みんなかわいらしくて、つい自然と手を伸ばしてしまったり自分のわんちゃんを近づけたくなったりもしますが、知らないわんちゃんとふれあう際には注意したいことも多くあります。
そこで今回は、はじめましてのわんちゃんとふれあう際のNG行動や確認したいこと、注意点などについて詳しくお話します!
はじめましてのわんちゃんとふれあう機会
あなたは「はじめましてのわんちゃんとふれあう機会」と聞くと、どのような場所を思いつきますか?さまざまありますが、一般的なものとして多いのは次のようなケースが挙げられます。
●お散歩中
●ドッグラン
●ドッグカフェ
●オフ会
●動物病院の待合室
●知り合いとのお出かけ
よく、わんちゃん同士や飼い主様同士で仲のいいお友達のことを「犬友(いぬとも)」と呼びます。
出会い方にもさまざまなケースがありますが、多くの方はお散歩コースが同じだったり、よく遊びに行くドッグランが一緒だったり、オフ会で出会ったり…という理由で仲良くなりますよね。職場などで知り合った人がわんちゃんと暮らしていると知り、愛犬をそれぞれ連れてお出かけするようになった、という人も多いですね!
他にも、ドッグカフェだったり動物病院の待ち時間だったり、何かとはじめてのわんちゃんに出会う機会は多いかと思います。
ふれあう時に絶対NG!な行動3つ
わんちゃん好きな人からしたら、はじめましてのわんちゃんと「仲良くなりたい!」と感情が高まることもあるかと思います。ところが、はじめて関わるわんちゃんとふれあうときに人がやってしまいがちなNG行動もいくつかあるのが事実…。NG行動をしてしまうと、わんちゃんと仲良くなるどころか警戒されてしまうので注意が必要です。
ここからは、はじめましてのわんちゃんとふれあう際にやりがちなNG行動をご紹介します。
【NG行動①】大きな声を出す
ご自宅でわんちゃんと暮らしていると、つい他のわんちゃんに対しても同じトーンで話しかけてしまいがちです。そのため、いつも自分のわんちゃんに話しかけているように大きめの声で「はじめまして!」「かわいいねー!」などと話しかけて接する人が多いのですが、これはNG!
はじめましてのわんちゃんからしたら、急に大きな声で話しかけられると驚いてしまいます。どんなにかわいいと思っても、ふれあう際は落ち着いたトーンで優しく話かけるようにしましょう。
すでに信頼関係を築いているご自分のわんちゃんを撫でる時にはあまり意識をしないかもしれませんが、はじめましての子を急に頭から撫でるのは絶対にやめましょう!
例えばですが、知らない人が急に自分の目の前に手を出してきたら驚いて身構えますよね。それはわんちゃんも同じで、知らない人が急に頭を撫でようと目の前に手を出すと「叩かれるかもしれない!」と恐怖を感じてしまいます。場合によっては、咄嗟に防衛本能が働いて噛み付いてしまうこともあるでしょう。
はじめてのわんちゃんとふれあう時には驚かせないよう、まずはわんちゃんの首より低い位置に自分の手を出すようにしてくださいね。
【NG行動③】嫌がる部分を触る
ご自分のわんちゃんであれば、身体中どこを触っても嫌がらないということもあるでしょう。一方で、多くのわんちゃんが「ここは触られたくない」と苦手に思いやすい箇所もいくつかあります。
●足先
●鼻
●しっぽ
●お腹
●目や口の近く など…
個体差はありますが、わんちゃんには足先や鼻・しっぽなどの先端部分を触られるのを嫌がる子が特に多いと言われています。嫌がってそっぽを向くくらいであれば「嫌だったかな、ごめんね」程度で済みますが、中にはこうした先端部分を触られるとすぐに威嚇をして噛みつく子もいますので注意が必要です。
また、お腹は慣れている子であれば撫でると「気持ちいい」と感じるかもしれません。その一方で、お腹は急所でもあり身体の中でも特に大切な箇所なので、はじめましてのわんちゃんのお腹は安易に触らないようにしましょう。敵対関係として認識されず、よりスムーズに仲良くなれるはずです◎
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わんちゃんが「触られたくない…!」と思っている身体の部位はどこ?
ふれあう前に確認すべき3つのポイント
はじめましてのわんちゃんにやってしまいがちなNG行動について、お話してきました。「NG行動はやっていないから大丈夫!」と安心する人もいるかもしれませんが、ふれあおうとする前にきちんと確認しておきたい点もいくつかあります。
ここからは、はじめましてのわんちゃんとふれあう前に、確認すべき3つのポイントについてお話します。
【確認ポイント①】飼い主様への確認
はじめましてのわんちゃんを見かけて「触っても大丈夫そう」と一方的にこちらが感じても、極度に怖がりだったりトレーニングの最中だったり、その子の飼い主様からしたら「できれば触ってほしくない」と思う理由があるかもしれません。
お散歩の途中やドッグランで出会ったわんちゃんであれば、おそらく飼い主様が近くにいるかと思います。わんちゃんにふれあう前には必ず「触っても大丈夫ですか?」とその子の飼い主様に確認するようにしましょう。
また、ご自分もわんちゃんを連れていると「わんちゃんのお友達を作りたい」と、わんちゃん同士を近づけたくなることもあるかと思います。ところが、「人は大丈夫でもわんちゃん同士は苦手」という子はかなり多いです。苦手であることを知らず、急に近づけてしまった結果、お互いに噛みついてトラブルに発展してしまった…というケースもあるのです。
人でもそうですが、わんちゃんにも相性というものがあり、仲良くなるには時間をかけることが重要です。相手の飼い主様が「触ってもいい」と言ってくれても、ご自分のわんちゃんを安易に近づけるのはやめておきましょう。
【確認ポイント②】強いにおいがついていないか
みなさんがご存知の通り、わんちゃんはとても嗅覚が優れている動物です。人が「におう」「香る」と感じるものに、強い不快感を抱くわんちゃんも多いです。
例えば、普段からご自身でタバコを吸っている、もしくは身近に喫煙者がいる場合は注意が必要となります。また、香水や柔軟剤など、人では「ほんのり香っている」と思うような些細なものであっても、わんちゃんには「においが強くてきつい…」と感じてしまうケースも珍しくありません。
わんちゃんは“におい”で相手のことを知ろうとしますから、はじめましての人の場合、なおさらにおいに敏感になってしまうでしょう。せっかく仲良くなりたいと思っても「この人はにおいが強いから苦手」と思われてしまっては悲しいですよね。
香水などをつける習慣のある人でも、わんちゃんを触る可能性のある日には控えておくと良いかもしれません。
【確認ポイント③】タイミングを見計らう
人でも「今はあまり他人に関わらないでほしい」と感じる時もありますよね。わんちゃんの場合であっても、はじめましての人に限らず「今は触らないで!」と思うタイミングが存在します。
●ごはんを食べているとき
●トイレをしているとき
●眠っているとき など…
お散歩中であれば、こうしたタイミングに出くわすことはないかもしれませんが、ドッグランやドッグカフェではごはんを食べて休憩していたり疲れて眠っていたりすることもあるかと思います。
相手のわんちゃんと仲良くなりたい気持ちもわかりますが、そのときのタイミング次第では、距離を詰めようとすることでかえってわんちゃんに嫌がられてしまう可能性もあります!わんちゃんがリラックスした状態であり、且つコミュニケーションをとりやすい感情かを十分に考えながら、少しずつ距離を縮めていきましょう。
仲良くなるためのふれあい5ステップ!
わんちゃんが嫌がったり怖かったりするような触り方やタイミングを避けることもお分かりいただけたかと思いますが、具体的にはどのようにふれあうのがベストなのでしょうか?
ここからは、はじめましてのわんちゃんと仲良くなるためのふれあい方について、詳しく解説します!ステップを踏んで、親睦を深めましょう。
【ステップ①】横にしゃがむ
わんちゃんとふれあう際には、威圧感を抱かれないように注意しなくてはいけません。
上から触ろうとすると怖がらせてしまうので、まずはわんちゃんの近くにしゃがんで、できるだけ目線が近くなるように工夫しましょう。
ただし、「よく顔が見えるように」と真正面にしゃがんでしまうと、相手のわんちゃんの警戒心が強くなることがあるので注意が必要です。わんちゃんの近くにしゃがむ時には、真正面よりもわんちゃんの横あたりがベストです。
とはいえ、まったく見えない場所だとそれも不安に感じてしまうので、わんちゃんの視線には入る位置を意識しましょう◎
【ステップ②】目線の下に手を出す
先ほどもお話したように、急にわんちゃんの頭上に手をかざすと「叩かれる」と勘違いさせてしまいます。わんちゃんの横にしゃがんだら、ゆっくりとわんちゃんの目線の下方に自分の手を差し出すようにしてください。
この時、手のひらを出すのでもいいのですが、臆病な子の場合には開いた手が怖いと感じてしまうこともあります。相手のわんちゃんにストレスを抱かせないためにも、軽く握りこぶしを作って、手の甲が上に来るように手を差し出すとわんちゃんも安心しますよ。
繰り返しになりますが、勢いよく手を差し出すとわんちゃんを驚かせてしまうので、あくまでもゆっくり行うようにしてくださいね!
【ステップ③】においを嗅いでもらう
わんちゃんの前に手を差し出すと、自然とわんちゃんはあなたの手のにおいを嗅いでくれるかと思います。「この人は安全?」「この人の今の感情は?」など、においからあなたのことを知ろうとしてくれるのです。
こうしてわんちゃんが自分の手のにおいを嗅いでいる間は、焦って触ろうとせずに、思う存分ゆっくりとにおいを嗅ぎ取ってもらうようにしましょう。自分のにおいをたくさん嗅いでもらうことで「この人は自分に何も危害を与えない」ときちんと理解してもらうことができますよ◎
【ステップ④】首元から撫でる
相手のわんちゃんが十分にあなたの手のにおいを嗅ぐことができたら、手を顔の下へと伸ばしていき、首元あたりからゆっくりと撫でていきましょう。飼い主様がいる場合は、お名前を聞くなどして、優しく話かけながら撫でてくださいね。
ただし、この時にテンションが上がって大声になるとわんちゃんを驚かせてしまうので、優しいトーンで話しかけるよう意識しましょう!
【ステップ⑤】少しずつ撫でる範囲を広げる
首元から撫でてみて、わんちゃんに嫌がる様子がないようであれば、少しずつ撫でる範囲を広げてみましょう。その一方で、先ほどもお話したように、わんちゃんには触られたくない箇所もあるため注意が必要です。
首から徐々に頭を撫でようとする人もいるかもしれませんが、家族以外の人から頭を触られることを怖がる子も多くいます。無理に広範囲を撫でようとする必要はないので、スキンシップはわんちゃんが嫌がらない範囲で留めておくようにしてくださいね。
その他ふれあう際の注意点3つ
はじめましてのわんちゃんとふれあう際のステップについてお話しました。ステップを進める中での注意点もありましたが、これまでに挙げた以外にもいくつか気をつけたいことがありますので、最後にお話していきます。
【注意点①】様子を見ながら
わんちゃんにも個性や性格があるので、中には人見知りをしてしまう子もいるでしょう。飼い主様に触ってもいいか確認してOKをもらえたとしても、わんちゃん自身は乗り気でないこともあるかもしれません。
無理にふれあおうとするとわんちゃんには大きなストレスがかかるので、仲良くなるどころか嫌われてしまうことも十分に考えられます!はじめましてのわんちゃんとふれあう際には、必ずわんちゃんの様子を見ながら行いましょう。繰り返しになりますが、過度なスキンシップは避けるのが無難です◎
【注意点②】目を見つめない
クリクリとかわいらしいわんちゃんの目は、じっと見つめてしまいたくなりますよね。
ところが、あまりに目をずっと見てしまうのは実はNG!わんちゃんに限らず他の動物でもそうなのですが、じっと長い時間目を見ると「威嚇している」という意味に捉えられてしまうことがあります。「そんなつもりなかったのに!」と思ってしまうかもしれませんが、残念ながらわんちゃんの世界ではそれは通用しません。臆病な子であれば怖がってしまいますし、気が強い子であれば警戒して威嚇し返す子もいるでしょう。
ご自宅の子やすでに仲のいい子など、信頼関係が築けているわんちゃんではアイコンタクトはとても重要なことですが、はじめましてのわんちゃんには、なるべく目を合わせないようにしておくのがベストです◎
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【注意点③】勝手に食べものをあげない
はじめましてのわんちゃんとふれあう際、早く仲良くなってほしくて食べものをあげたくなる人もいるかもしれませんね。気持ちはよくわかるのですが、出会ったばかりのわんちゃんに、おやつなどを勝手にあげるのは絶対にやめましょう。
わんちゃんにもアレルギーや体質があるので、飼い主様やお世話をしている人の許可なく、食べものをあげてしまうのはとても危険です!ご自分のわんちゃんにとってはお気に入りの食べ慣れたおやつだとしても、相手のわんちゃんが食べることで調を悪くする可能性が十分あるのです。
他にも、わんちゃんがトレーニングの最中であったりダイエット中であったり、他人に食べものをあげられると困ってしまうケースは意外と多くあります。それが原因でトラブルに発展してしまうことも考えられますから、どんなにかわいくても勝手に食べものをあげるのは避けましょう。
今回は、はじめましてのわんちゃんとふれあう際のポイントや注意点について、詳しくお話しました!気をつけることもたくさんありますが、相手のわんちゃんにストレスを与えずに仲良くできると、こちらも嬉しいですよね。
“わんちゃんファースト”を心がけてステップを踏めば、きっとはじめましてのわんちゃんでも心を開いてくれるかと思います。焦らずに、ゆっくりとふれあってみてください◎
●ライター:松永由美
2級愛玩動物飼養管理士・動物健康管理士・動物介護士・ペット終活アドバイザー・ペットセラピスト等の資格を保有
●編集:うしすけチーム