ものすごくみじかい話 友達のフグくんは
友達のフグくんはおれにフグ調理師免許を取らせようとしている。友達を調理できるわけないだろと断るのだけれども「ヤマヒロくんが夜中に突然『こんな時間だけどフグが食べたいぜ』ってなったときに必要になるかもしれないでしょ」。だがおれにはわかっている。フグくんは自分自身をおれに食べてもらいたいという倒錯的な願望があるのだ。
おれはフグくんの頭をふぐふぐと撫でながら「そんなことは絶対にしないよ」と告げる。だがフグくんはフグ調理師免許取得のためのチラシを今日もインターネットで取り寄せようとしているし、それをおれの机の目立つところに置いておくし……。