後谷戸

小説を書きます 返信が苦手なのであまり返信はできませんが、いただいた感想はとてもうれしいです https://lit.link/ushiroyato

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    夏休み最後の一週間を繰り返し、そこから出ようともがく女の子の話です

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小説 人食い虎の妹と

 人食い虎になってしまった妹と一緒に暮らしていた。  人食い虎になってしまったからにはもちろん人間を食べなくてはいけない。それでわたしは定期的に人間を持ってきていた。 「ただいま、ごはんだよ」  「お兄ちゃんありがとう、そこに置いといて」と妹。  わたしは一旦部屋を出て、妹が人間を食べているところを見ないようにする。  がぶがぶがぶという音だけが聞こえてくる。それが人間がひとりいなくなっていくときの音だ。がぶがぶがぶ。 「ごちそうさま」とふすまを開けてこっちの部屋に来ながら妹

    • 小説 思い出を落とす

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      • 小説 金を借りる猫

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        • 小説 宇宙人と再会

           子供の頃よく遊んでいた宇宙人が再びやってきて、 「実は大変言いにくいのだけれども、地球は銀河連邦の決断で滅ぼすことになったから、今日はそれを伝えにきたんだ」と言う。  ぼくに言われても困るなあ、と思っていると、宇宙人は察してくれたように、 「わたしもそう思うけど、でももし、きみが人生でやり残したことがたくさんあって、死ぬ前にそのことができたらなあ、という後悔を生まないためにも、教えてあげようと思ってさ」 「親切なんだか意地悪なんだかわかんないね」 「まあね」  でも、特にや

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          小説 花と花瓶

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          小説 人魚泥棒

           大金持ちの家でこっそり飼われていた人魚を盗んで高額で転売してやろうと目論んだのはいいものの、なかなかお客が見つからないために結局自宅の水槽に入れっぱなし。 「こんなでかい水槽を維持しておくだけでも水道代がばかになんないんだよね」と人魚にグチを言うと、人魚は「盗んできたんだからしっかりしなさい」としごく当たり前のことを言ってくるので反論ができない。 「しごく当たり前のことを言われることぐらい腹が立つことはないぜ」 「じゃあ元いたところに返してきたら?」と人魚。 「せっかく盗ん

          小説 人魚泥棒

          小説 月が落ちてきて

           今日は満月。一年でも一番でかい満月の日であるというような前評判を聞いていたせいか、たしかにしみじみと月がでかいぜというような気分になってきて、ぼけーっと突っ立ってでかいでかいと心のなかで連呼していたところ、どういうわけか月が落っこちてきたのでたまったものではない。  しかも我が家の裏庭にだ。どうしてよりにもよってこんなところに落っこちてくるのだろう。 「失敬、観光にきましてね」と月。もうもうと立ちこめる土埃に眉をしかめながら、 「観光は結構ですけれども、もうちょっとおだやか

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          小説 上京したい妹

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          小説 花と花瓶

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          小説 心霊写真お焚き上げ

           心霊写真が撮れたのでお焚き上げをしてもらおうと持っていくと、でてきたお坊さんがサーッと顔を青くして、 「これはとんでもない心霊写真です」と言ってきた。 「とんでもないんですか」  「とんでもない心霊写真です。御覧なさい、ここに写っている人の腕が八本あります」とお坊さん。見るとたしかに腕が八本ある人が写っていたけれども、 「それはこの人が『腕が八本ある宇宙人』なので、別にふつうです」と言うと、お坊さんは「そういうことは最初に言ってくれよ」みたいな顔をする。たしかにそうかもしれ

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          小説 戻ってきたヨウム

           二十年ぐらい前に行方不明になったヨウムがひょっこり戻ってきて 「元気?」と聞いてくる。わたしはまあまあ元気だよ。最近は背中が痛くてしんどいけど。 「どこで油を売ってたんだい」 「いろいろさ、野良犬に追いかけられたし、ヨウムハンターにも追いかけられたよ」 「ヨウムハンターなんかいるのかい」 「いるともさ。ヨウムハンターは望遠鏡を持っていて、ついでに月も見ているよ」   ヨウムの言っていることはたまによくわからなかった。でもなにを言っているのかわからないときを除けば、ヨウムの言

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          小説 ハンドクリーム出しすぎ

           「ハンドクリームを出しすぎてしまったのでもらってもらえないか」という「ハンドクリーム殺法」で意中の相手の手を握り、あまつさえ揺すったりさすったりすることで何人もの恋人を射止めてきたわたしだったが、最近、同じハンドクリーム殺法の使い手が現れたのでたまったものではない。 「あなたはなんのハンドクリームを使っているのかしら。あら、安いやつなのね」とせせら笑うライバル。  「ヒアルロン酸が入ってるって書いてあるからいいでしょうが」と歯噛みするも、ライバルの使っているハンドクリームは

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          小説 豆腐に言われて湯豆腐

           10月2日は豆腐の日ということだからかなんなのか、冷蔵庫に入れておいた豆腐が自我を持ち始めたのでたまったものではない。 「わたくしをなにで召し上がるおつもり?」と豆腐。 「冷ややっこかな」と答えると豆腐は「ふっ」と鼻で笑って、 「およしなさい! わたくしほどの豆腐ともなれば、もっと上等な料理に使うのがよろしいですわ」という。   豆腐料理に上等も下等もないもんだと思ったけれどもいちおう、 「たとえばなんだい」と尋ねると、 「湯豆腐に決まっていますわ」と豆腐。  それで湯豆腐

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          小説 上京したい妹

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          小説 縁日で買ってきた金魚

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          日記 トークイベントの前日

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          小説 デスゲームの生き残り

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          小説 それじゃあ悪霊じゃないですか

          「実はわたしもう死んでいるんだ」と先輩。 「知ってます」 「あ、そうなんだ。もうちっと驚かしたかったのに」 「流れてきましたもん、ニュースで」 「そっかそっか、ちっ」  舌打ちかよと思う。でもそういうところも含めてこの人のことが好きだったんだなと思い出す。結局ふられてしまったけれども。  「わたしがいなくても世界がちゃんと回っているかどうかを知りたくて見に来たんだけどさ」 「はい」 「別にちゃんと回ってたからがっくりだよ」 「がっくりなんですか」 「そらそうよ。わたしがいなか

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