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作品を完成させられない人が犯しているふたつの悪手

制作が頓挫してしまう人に関して「もしかして」と思ったことを書いてみようと思います。
僕は音楽家ですが、物作り全般に当てはまることだと思うので、なにかしら参考になれば幸いです。


ひとつめ。

作品を作る順番って、実は決まっています。
大きく作って、細かく作る。
逆をやると結構大変です。

例えばイラストだったら、下書きで一通り描いてしまう、というのを最初にやるかと思います。
全体を描いて、細部を描き込む。
細かく作るっていうのは刺激的な作業で、こだわりを持っているほどに突き詰めたくなるものですが、それこそが罠です。
イントロのドラムをガチガチに作り込む、みたいなところから始めた場合になにが起こるかというと、イントロができた時点で満足感を得られてしまい、さらに先が長く感じられて疲労感が増します。
これらの要素は明らかに完成を遠ざけます。マラソンで開幕ダッシュするようなものですね。
とはいえ、楽曲においてイントロは重要ですし、退屈な作業はテンションが上がらないので、僕はある程度詰めながら作ります。そのかわり、Aメロ以降のドラムは2小節だけ作ってあとはコピペします。
こんなふうに、ラフやダミーを置いてとりあえず進めるのが大事になってきます。
制約のかからない制作では妥協する必要がないため、どこを端折るか、というのを見落としがちなんですよね。
最初から完璧にしようとしても、どうせあとで全体を見て修正することになるので二度手間だったりします。
俯瞰で見ると「それ大して進んでないですよ」っていう。


ふたつめ。

スケジューリング。
「気が向いたら」にはリスクがあります。
時間割を設定したほうがいいです。

自分だったらこの作業を2時間でできる、みたいな大体の予想をスケジュールに書き込んでしまいます。
僕の場合だと「打ち込み、2h」とか、Recスタジオを2時間押さえる、とかですね。
できなくても構いません。リスケすればいいだけですから。そしてそれは次回の指標になるので悪いことではありません。
というのも、時間割は時間管理の他にも、セクションで区切る、という大切な役割があるんですよ。
長い道のりを行き当たりばったりで歩いたらそりゃ迷いますよ、って話で、目印をつけてから行くほうが確実じゃないですか。
義務感が発生するのでは? と思われるかもしれませんが、ノルマを課すことが目的ではありません。重要なのは、闇雲に進まないことです。
見失わないことです。
「完成とはなにか」を考えた時、それってもう己のさじ加減が全てです。芸術には数学のような答えは存在せず、永遠に弄れてしまいます。必ずどこかでライン引きしないといけないんですね。そのラインをある程度最初に引いてしまうわけです。
積み重ねたものの足し算ではなく、逆算することで完成は見えてきます。


以上2点、作品を完成させるコツのようなものを書かせていただきました。
物作りは感性と知識。どちらか一方が欠けているとできません。
エモーショナルにロジカルに、作品を完成へと導いてください。



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