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ネルドリップの魅力!

「ネルドリップについて書いて欲しい」
というリクエストをいただきましたので、書かせていただきます!

ネルドリップとは大雑把に言うと、
ネルと呼ばれる布のフィルターを使用してコーヒーを抽出することです。

珈琲抽出には一般的には紙のフィルターを使いますが、
布を使うことでまた違った珈琲の魅力を引き出すことができます。

ネルドリップは味わいだけでなく、何か独特の空気感があるため熱狂的なファンが多いように感じます。

私もその一人で、ネルドリップから珈琲にハマったといっても過言ではありません!

今回はその魅力を少しでもお伝えできればと思います。
ぜひお付き合いください!

①ネルドリップの風味


まずは風味の違いからご紹介します。

普通のペーパーフィルターを使用すると、
紙が様々な成分を吸着して取り除いてくれるため、
比較的クリーンでスッキリとしたコーヒーに仕上がります。

それに比べてネルは目が粗く、
多様な成分が漉されずに液体に溶け込むため、
よりふくよかな味わいになります。

特に違いがでるのが、
「油分(コーヒーオイル)」の有無です。

意外かもしれませんが、
珈琲には油分が多く含まれています。

焙煎から数日経過した深煎りの珈琲豆は表面がツヤツヤしていますが、あれはオイルが滲み出てきたものです。

そういえば、友人がお店に来てくれて
「これ、珈琲豆濡らしてるん?」って聞かれたことがあります。コーヒーの油分です!(笑)

アラビカ種の生豆の成分の内、
なんと約10〜20%が脂質のようです。多いですね!
(『コーヒー「こつ」の科学』(石脇智広,2008年)参照)

油分は紙ではカットされやすいのですが、
ネルを使用するとある程度液体に溶け込みます。

そのためネルを使用すると、
柔らかくぽってりとした口当たり
香りの余韻等が特徴の珈琲に仕上がります。

飲んだ瞬間香味が弾けるというよりかは、口内でまったりじっくり広がり、飲み込んだ後も長く余韻として残る。そんなイメージがあります。

個人的にこれがめちゃくちゃ好きです。
沁みます!

以上の特性から、珈琲に「コク」「まろやかさ」「複雑さ」「飲み応え」等を求める方にはネルがピッタリかと思います。

「まさに」という方は、
ぜひ一度お試しください!

②色々な器具

ネルの他にも、
メタルフィルター・フレンチプレス・サイフォン等
色々な器具があります。

「どの器具を使うとどんな味わいになるのか」
というご質問もよくいただくので、それも少し紹介したいと思います。

器具ごとの風味の違いは、
「どの成分を除去し、どの成分を珈琲に溶かし込むか」という部分に着目するとわかりやすいかと思います。

例えば「フレンチプレス」は、
コーヒーの粉にお湯を直接かけて漉さずにそのままカップに注ぐので、ネル以上にこってりしています。

油分もたくさん抽出されて、
カップの表面に浮かびあがるほどです!

風味ももちろん違います。
よく言えばふくよかでまったりした印象で、
悪く言えば液体に濁りがありボヤけた印象です。

他の器具に関しても「どの程度濾すか」に着目すれば、味わいの想像がつくのではないかと思います。

見た目も理屈もそれぞれ全く異なり、とても面白いです!
ぜひそれぞれの個性をお楽しみください!

③ネルと深煎り



私は、ネルは特に深煎りに合うと思っています。

当店では深煎りの珈琲だけ
ネルドリップで提供しているのもそのためです。

深煎りのコクや苦味甘味が、ネルを使用することでよりふくよかな印象になります。魅惑的です。

私が珈琲に本格的にハマったのも、
「深煎りネルドリップ」の世界に惹かれてからなので、とても思い入れがあります!

初めて「深煎りネルドリップ」を飲んだのは、
大学生ぐらいのころでした。

コーヒーをもっと知りたくて、
「大阪 コーヒー 有名店」で検索してお店を巡っていました。(笑)

食事もできて良い空気感の「喫茶店」や、
爽やかオシャレな「カフェ」という雰囲気の
お店が多かったのですが、

職人気質の店主がじっくり淹れる、
「珈琲専門店」といった雰囲気のお店もいくつかあり、
そういったお店に特に惹かれました。

少し緊張感がある静かな店内でじっくり珈琲と向き合う、禅的なところにも痺れました。
味ももちろん好みでした。

そして、
そういった空気感のお店はなぜか、
どこも「深煎りネルドリップ」でした!

そこからネルにハマったというわけです。

珈琲に関する本を読んでいても、
職人的な感覚で珈琲と向き合う硬派なお店は、
「深煎りネルドリップ」ばかりなのです。

なぜでしょうか…?

硬派!!
↑私の大好きな山川直人さんの珈琲漫画も、
ネルドリップが頻繁に出てきます!



深煎りネルには、
何故か懐古的・職人的・文学的(?)な
空気感があります。

風味だけでなく、
そういった部分も大きな魅力ですね!



④終わりに

抽出器具の一つである「ネル」だけで、これだけ独自の風味・世界観があるというのは、珈琲はやはり奥深いですね。

珈琲文化は驚くほど豊かです!

今後もその魅力を、
少しでもお伝えできればと思います。

ネルはまだまだ書きたいことがあるのでまた取り上げたいと思います。

ネルを飲めるお店は少なくなっていますが、
当店では飲めますので、気になった方はぜひお越しください!

それでは良い一日を!

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