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ある、発見

 一昨日だったか、電車に珍しく、電車の網棚に日経新新聞があったので読んたら、面興味深いことが書かれていた。日経がリニア新幹線推進派かどうかしらないけれど、静岡県の元知事、川勝平太は、知事に就任早々、開港したばかりの静岡空港へ就航した日本航空に対し、前知事が約束したらしい「搭乗率が目標以下なら県が負担する」とした支援金の支払いを拒んだ。日航は路線を撤退し、法廷闘争に発展したが、こうした混乱辞さない川勝氏の姿勢は県民の一定の支持を集めた——という記事。
 客が少なかったら、客(静岡県)の責任だという日航の言い分は今だったら……いや、当時だってクーリングオフの対象になると思うし、それを断った川勝知事が県民の支持を集めたのは当然だ。
 記事によると法廷当時に発展したそうだが、日航はこの一年後に倒産したからかどうか、わからないが——川勝知事のウィキにも、日本航空のウィキにも、日本航空の悪どい商法については触れていない。そもそもの話――『大蔵省「独裁」』(生田忠英著)という本で知ったことだが、日本の公共事業は、治山治水、道路整備、港湾、空港、住宅整備、下水道、農業基盤、林道、工業用水等々の十一部門に分かれていて、大蔵省はその十一の枠に予算額を決め、それを具体的に決めるのは静岡県なら県の担当者が決めることになるが、この利権を実質的に握っているのが与党、自民党の族議員だ。
 とはいえ全て族議員のせいだとは言わないが、結果的に日本のほとんど全ての県に地方空港が整備された。その結果、その多くは客が少なく、赤字経営だった。その実態を承知している日本航空は赤字になったら、空港をつくった静岡県のせいだと言っているわけだが、批判するなら公共事業に隠された闇を指摘すべきだとう。というのは。生田氏曰く、日本のキャリア官僚のトップは東大法学部が独占することが習慣になっているが、その代償として工学部卒の技術官僚のすることは全て黙認するという制度的慣習があるのだそうだ。
 以来、ちょっと偏見が混じっているけど、技術者の——あえてテクノクラート(技術官僚)とは言わない——職人根性が日本をひどく害していると思うようになった。鉄道事業は公共工事の枠内には入っていないのでリニア新幹線も民間企業であるJR東海の単独事業だが、難工事で予算が足らず、JR東海の前葛西会長は安倍晋三と昵懇の仲ということで安倍晋三は特別会計から四兆円、出している。つまり半ば公共事業になってしまっているわけだ。
 ——と知り切りトンボな話になったけれど、言いたかったことは、今回の、私にとっては「重大な発見」は誰かが読み捨てた新聞紙を拾ったことで可能になったわけで、今のようなゴミ箱もないのに綺麗さっぱりした状態ではいかなる発見もあり得ないと言いたい。


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