喪失との邂逅。
ANATA/GRAPEVINE
「喪失」、”失った後”が歌われている楽曲に惹かれることが多いです。その中でも特に衝撃を受けたこの曲について、拙いながらも言葉を綴ります。
ANATA/GRAPEVINE (included in 「MISOGI EP」)
「MISOGI EP」に収録されているこの曲、「ANATA」は、EPのジャケットのような灰色(灰色でもどこか鮮やかな灰色)の中に、激しさや情念、滲んだ血のような赤のイメージを感じる。
サウンド、言葉、歌唱、この曲の空気全てに、まるで自分がこの主人公の女性の中に入り込んだかのように…失った「ANATA」への想い、喪失感、諦念と激情の揺らぎのありのままの渦に、私は飲まれていく。
失ったのは恋や愛か、この世界から失った貴方か、あるいはもっと別の喪失かもしれない。
不思議な浄化作用を感じる音像の中で、生々しくも美しい感情の描写に惹きつけられてやまない。
喪失の雨に打たれながら、ずぶぬれのまま、彼女はそっと誰にも気づかれずに、静かに前を見つめている。
text by yoshino
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