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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2023 Spring Selection(4月10日~5月28日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

うららかな春の陽気に誘われて、桜の季節から陽光あふれ若草香る新緑の季節へと移りゆく街の風景を思い描きながら、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日を通してのTwilight-timeの特集は、僕のコンパイラー人生30周年を祝してリリースされたコンピ『Blessing ~ Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme』発売記念企画として、これまでに監修・選曲を手がけた350枚におよぶコンピレイションの収録曲をシャッフル・プレイ放送で。過去30年間の歴史と思い出が詰まった、とても感慨深いセレクションとなっていますので、CDのライナー・ブックレットに掲載されたインタヴューele-kingに掲載されたインタヴュータワーレコード渋谷店でのトークショウの詳細レポートと共に、ぜひお楽しみいただけたら嬉しいです。次なる30周年記念コンピ、『Gratitude ~ Free Soul Treasure』と『Merci ~ Cafe Apres-midi Revue』も、素敵なスリーヴ・デザインが完成したところですので、5月末のリリースに大いなる期待を抱いてお待ちいただければと思っています。
その他の時間帯は、いつにも増して大充実だったニュー・アライヴァルのお気に入りを惜しげもなくエントリー。今年の早春は、コンピCDの制作とプロモーションで僕にしては多忙な毎日でしたが、素晴らしい新作が毎週届くことで、胸を躍らせずにはいられない日々でした。とりわけセレクションで重宝した52作(いずれも3曲以上をセレクトしています)のジャケットを、最初に3枚の僕のコンピレイション、続いて特によく聴いた5枚(Sandrayati〜Eddie Chacon〜Billy Valentine〜Msaki × Tubatsi〜Lionmilk)、そしてその他の作品をアーティストABC順で掲載しておきますので、それらの中身の素晴らしさにも、よかったら触れてみてください。
「usen for Cafe Apres-midi」を通して、タイムリーにしてタイムレス、色彩豊かでエヴァーグリーンな輝きをたたえた、爽やかで気持ちのよい音楽が、少しでも皆さんを幸せな気分へといざない、ときには心の透き間を優しく埋めるように響いてくれたらと希っています。

V.A.『Blessing ~ SUBURBIA meets P-VINE "Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme"』
V.A.『Gratitude ~ SUBURBIA meets ULTRA-VYBE "Free Soul Treasure"』
V.A.『Merci ~ SUBURBIA meets INPARTMAINT "Cafe Apres-midi Revue"』
Sandrayati『Safe Ground』
Eddie Chacon『Sundown』
Billy Valentine & The Universal Truth『Billy Valentine & The Universal Truth』
Msaki × Tubatsi『Synthetic Hearts』
Lionmilk『Intergalactic Warp Terminal 222』
Adi Oasis『Lotus Glow』
Alba Armengou『Susurros Del Viento』
Arlo Parks『My Soft Machine』
Azekel『Analyze Love』
B. Cool-Aid『Leather Blvd.』
Benny Sings『Young Hearts』
boygenius『the record』
Brandee Younger『Brand New Life』
Brendan Eder Ensemble『Therapy』
Cecile McLorin Salvant『M​é​lusine』
Danielle Wertz『Other Side』
Eloise『Drunk On A Flight』
Gayance『Mascarade』
Gretchen Parlato & Lionel Loueke『Lean In』
Jackson Mico Milas『Blu Terra』
Jordan Ward『Forward』
The JuJu Exchange『JazzRx』
Kingo Halla『Empty Hands』
Laufey With Iceland Symphony Orchestra『A Night At The Symphony』
Lily Williams『How The Story Ends』
Lonnie Holley『Oh Me Oh My』
Lucinda Chua『YIAN』
Mac Ayres「Again」
MARO『Hortelã』
Masego『Masego』
Me And My Friends『Before I Saw The Sea』
Navy Blue『Ways Of Knowing』
Nia Archives『Sunrise Bang Ur Head Against Tha Wall』
Nicholas Krgovich『Ducks』
Numcha『Bloom』
Okonski『Magnolia』
Olivia Khoury『Portraits』
Pearl & The Oysters『Coast 2 Coast』
Rhye『Passing』
Rogê『Curyman』
Rosemary & Garlic『A Room Of One's Own』
Rubel『As Palavras Vol.1 & 2』
Sam Gendel『COOKUP』
Steve Gunn & David Moore『Reflections Vol.1: Let The Moon Be A Planet』
Tunico『Tunico』
Vanessa Moreno『SOLAR』
Whose Rules『Hasler』
Yazmin Lacey『Voice Notes』
9th Wonder『Zion VIII』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

ベラルーシ語でСОЮЗと書くユニット。最初は読みがわからなかったが、橋本さんに聞くとソユーズ(SOYUZ)と読むとのこと。ソユーズはアルトゥール・ヴェロカイやミルトン・ナシメントやロー・ボルジェスなど1970年代頃のブラジル音楽に魅了され大きく影響を受けている。2023 Spring Selectionでは、春らしい快活さや陽気さだけではなく、春のどこかささやかな側面も少し表現できないかと織り交ぜる曲を選んでみたが、ソユーズのサード・アルバム『Force Of The Wind』は、そんな春にも合うブラジルのサイケデリックなレア・グルーヴのようなサウンドやアレンジが最高でした。でもたぶんジャケットを見ると秋向けなのかな……。

СОЮЗ (SOYUZ) 『Force Of The Wind』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

2016年に日本盤リリースされたアルバム『Sea』を初めて聴いて以来、僕が担当する月曜深夜0時はポーランドのピアニスト、スワヴェク・ヤスクウケでお知らせしてきました。今回5月13日に、めぐろパーシモンホールで行われる彼の来日公演を目前にしたタイミングで、ムジカノッサ・グリプスより厳選の全曲初アナログ化LPをリリースできることになり、静かに胸が震えています。センセイショナルな「Sea Ⅰ」、リズム隊との聖三角形で描く「Chili Spirit」、疾走する「Tokitura」、美しきバラード「Moments」、そして小鳥とカモメの鳴き声、子供たちの声さえもが完璧に調和する「Park I」。もちろんその全てが、「usen for Cafe Apres-midi」のマンデイ・ナイト・クラシックということになります。さらにはアナログ化に際して、やはりスワヴェクの大ファンだというCalmさんがマスタリング・エンジニアとして手を上げてくださり、丁寧に仕上げてくださいました。僕たちの音楽──スワヴェク・ヤスクウケが、貴方のミュージック・ライフの中でこれからも永く輝き続けますように。

Sławek Jaskułke『MUSICAÄNOSSA Sławek Jaskułke』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

桜舞い散る春満開のスプリング・セレクション。アルバム単位ではÓlafur Arnaldsプロデュースのインドネシアのシンガー・ソングライターSandrayati、先行シングルが素晴らしかったフランスの名門No Format!からリリースされたMsaki × Tubatsi、イギリスのGondwana Records期待の新星、エストニア出身の若き女性ピアニストHanakivのデビュー・アルバムがベスト3。ベスト・シングルはLAを中心に活動するAdam Paulsonのソロ・プロジェクト、A.M Sonの「In A Dream」。生命の息吹を感じさせるエヴァーグリーンな輝きに満ちた夢見心地な一曲です。

A.M. Son「In A Dream」
Imaginary Softwoods『The Notional Pastures Of Imaginary Softwoods』
Sandrayati『Safe Ground』
Danielle Wertz『Other Side』
Alba Armengou『Susurros Del Viento』
Msaki × Tubatsi『Synthetic Hearts』
Laptop Funeral『something blue』
Inbar Fridman『Shirey a-hava』
Rhye『Passing』
Mel Blue『Sanctuary Point』
Tagua Tagua『Tanto』
Masego『Masego』
Sabrina Claudio『Archives & Lullabies』
Yazmin Lacey『Voice Notes』
Dadeldu『Fruchtwasser』
The JuJu Exchange『JazzRx』
Blank & Jones, Taranczewski『The Jazz Trio EP』
Hanakiv『Goodbyes』
Organic Pulse Ensemble『A Thousand Hands』
Pedro Ricardo『Soprem Bons Ventos』
David Edren & H.Takahashi『Flow | 流れ』
Guy Gelem『Passing By And Through』
Josiah Steinbrick『For Anyone That Knows You』
Blank Gloss『Cornered』
Kevin McCormick『Sticklebacks』
Jonathan Bockelmann『Childish Mind』
Colette Roper『Piano Pieces』
Okonski『Magnolia』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

桃色の便りがおわり、新緑いっぱいの気持ちよい時節を迎えております。出会いと別れが交差するタイミングで、心穏やかにしてくれるアルバムと出会いました。

ギャビ・アルトマンはパリ出身のシンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少のころからジャズやワールド・ミュージックと身近にふれあいながらも、大学では政治と哲学を専攻していました。ところが、20歳のときブラジル音楽、古いサンバやボサノヴァに恋をして(!)そのまま渡伯。ポルトガル語をマスターし地元のバーでボサノヴァを嗜んだあと渡英し、民俗音楽学を学びながらギニアやポルトガル等の音楽に身を寄せふたたび世界各地を歴訪。その後はジャズを学ぶためパリに戻り、ミュージシャンとしてデビューします。

長い音楽的放浪の末、アメリカでジェシー・ハリス(シンガー・ソングライター。ノラ・ジョーンズのプロデューサーとしても有名)と出会ったことが、このアルバムへと結実したようです。本盤はとびぬけた名盤ではありませんが、シンプルで都会的なソングライティングに北アフリカのスパイスと南欧の蔗糖(しょとう)を振りかけたような独特なサウンド・プロダクションが部屋を満たしてくれる「日常音楽」の佳品です。すこしスモーキーなアルトマンのヴォーカルも脳内麻薬度高し。

Gabi Hartmann『Gabi Hartmann』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

今年はエリカ・バドゥの再評価、再発見イヤーだと思っていたところにホセ・ジェイムスのエリカ・トリビュート盤がリリースされて我が意を得たり。
背中を押されるような形で今回の選曲では、エリカ本人はもちろん、盟友ソウルクエリアンズの諸作やアリ・レノックスらバドゥ・ベイビーズにまで目配せしたエリカ・バドゥ相関図の一端が覗けるような時間帯も。

Adi Oasis『Lotus Glow』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

ここ最近、訃報続きですが、ボビー・コールドウェルの訃報を知ったときは、まだ71歳と若く、信じられませんでした。
新作を待ち望んでいたので寂しい限りですが、名盤『Evening Scandal』から「Love Won't Wait」をセレクト致しました。
「風のシルエット」「Special To Me」「Can't Say Goodbye」「My Flame」「Come To Me」、名曲だらけで枚挙にいとまがないですが、中でも「Love Won't Wait」は橋本さんとご一緒した北海道のイヴェントでよくプレイした思い入れある一曲。
当時付き合いだした彼女に思い込めて……と橋本さんにいじられました(笑)。
ちなみに別れたときは「My Flame」を聴いて咽び泣いた夜もありました。
ご冥福をお祈りします。
素晴らしい楽曲を堪能するべく、『Free Soul Drive with Bobby Caldwell』は僕のお店でますます欠かせない一枚になりました。

Bobby Caldwell『Evening Scandal』
Bobby Caldwell『Free Soul Drive with Bobby Caldwell』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

2023 Spring Selectionではロンドンのピアニスト/プロデューサー、アルファ・ミストのニュー・アルバム『Variables』から「Aged Eyes」をオープニングに配しました。アコースティック・ギターに導かれるシネマティックなサウンドに、ベーシストでアートワークを手掛けるカヤ・トーマス・ダイクの切ないヴォーカルが印象的なナンバーです。本曲をはじめアルファ・ミストのニュー・アルバムは全編通して彼のキャリアの集大成とも言える完成度の高い作品に仕上がっておりますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

Alfa Mist『Variables』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

私のアイドルは、モリッシーと田島貴男ですが、それはいろいろ音楽に出会ってからのアイドルで、洋楽へ目覚める小学生から中学生の衝動的な音楽思考へ変わる重要なタイミング、それは思春期。
小学生のサラサラヘアーから中学生になると、坊主頭が学校規則。と同時に、パンク・ロックを聴きだす12歳。
あのルックスに憧れる感じ。今だとK-Popなんですかね?
運良いか悪いかは、人それぞれですが、友人の兄が洋楽を聴いていたということと、近所の可愛がってもらっていたお兄ちゃんが貸レコード屋でバイトしていたという理由で洋楽に触れることが多く、父親にいたっては、アフリカに単身赴任していたので、アフリカのレコードが家に大量にあり、謎すぎて意味がわからなかった(今となっては感動してますが)。
で、中学生なりにオシャレにしたいわけですよ(笑)。
友人はセックス・ピストルズ好きなんで、なんだか校則範囲でのピストルズ感。
私は、ドラクエしすぎて目が悪くなっており、眼鏡デビュー。
もちろん眼鏡は、エルヴィス・コステロだと思って装着し、ファッションはもちろんスペシャルズなんですよ。
ズボンはもちろんスリムです。
ということで、思春期をいろいろな音楽で旅させてくれたアイドルではなく我が恩師というべきテリー・ホールが他界していまいましたので、この出会いと別れの春にフィーチャリング・テリー・ホールをちりばめて選曲しております。
いつまでも彼の素晴らしい音楽センスそして歌声が永遠に歌い聴き継がれますように、という気持ちを込めて愛ある選曲してます。
そんな思春期からサバービア・スイートに出逢うまでの音楽道を少しずつ思い出しながら選曲させていただきました。
爽やかな春の金曜の夜をお楽しみください。

The Specials『More Specials』
Vegas『Vegas』
Terry, Blair & Anouchka「Missing」

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

スペインはカタルーニャ出身のシンガー・ソングライター、Judit Neddermann(ジュディット・ネッデルマン)が2023年にリリースした「Celebrar」を春の一曲としてご紹介いたします。イントロの軽やかなアコースティック・ギターの爪弾きと、ジュディットの伸びやかでとびっきりピースフルな歌声に、再生後すぐ、ぱっと心が華やぎます。爽やかなブラジリアン・リズムを刻むパーカッションと、ころころと楽しげなエレピの音色が春気分を最高に盛り上げてくれます。「Celebrar」(スペイン語で「祝う」という意味)というタイトルの通り、光あふれる春の訪れを祝福するような多幸感溢れる一曲。リラックスした笑顔で、気のおけない友人たちとホーム・パーティーを楽しむジュディット姿が映し出された、ミュージック・ヴィデオも、とっても素敵なので、よかったらチェックしてみてくださいね。

Judit Neddermann「Celebrar」

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今回も新譜を中心に季節感に合うお気に入りのメロウでグルーヴィーな様々なジャンルの曲を選んでいますが、その合間にちりばめた、心安らぐ、穏やかで、大らかな、静かな音楽をよく自宅では聴いています。なかでもLonnie Holleyの「Oh Me, Oh My」は、アンビエント・ジャズ的なサウンドにLonnieとMichael Stipeの語りかけるようなヴォーカルが乗り、心を揺さぶられそして癒されます。そのほかevan j cartwrightのアンビエント・フォーク的なサウンドも好みです。なかなかBGMだと届きにくい音楽ではあるのですが、耳を傾けていただければ幸いです。

evan j cartwright『Bit By Bit』
Gretchen Parlato & Lionel Loueke『Lean In』
Lonnie Holley『Oh Me Oh My』
Speakers Corner Quartet feat. Sampha「Can We Do This?」
Lance Skiiiwalker『Audiodidactic』
Sam Gendel『COOKUP』
Khotin『Release Spirit』
Xinxin「In Perfect Time」

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

2023年春選曲から、いろんな意味で例年以上にポジティヴな気分があふれている街の空気感に合わせて、フラメンコ仕込みのクラップとギターのアレンジが心地いいItuana & São Vicenteによるエイミー・ワインハウス「Valerie」の好カヴァーを紹介します。往年のジプシー・キングスを彷彿させるハレオ(掛け合い)とItuanaのソフトな歌声がほどよいバランスで、春の陽射しのような温かみを感じさせてくれることでしょう。他にも、この季節の陽気にぴったりな「シアワセ感」あふれる現代ポップをたっぷりお届けしますので、ぜひ休日のブランチは、「usen for Cafe Apres-midi」と共にお過ごしください。

Ituana & São Vicente「Valerie (Spanish Flow Mix)」 

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

メロウでキュートでジャジーでささやかにソウルフル。WianaとOsvaldorioによるユニットgaldiveのニュー・シングル「window」は、窓からの過ぎ去った季節の風に乗せて愛をつぶやく。そして、たくさんの好きな女の子を挙げるKate Bollingerの「J'aime les filles」のフランス語の響きが聴こえてくるとあたりは少しずつ春めいてくる。

galdive「window」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

このコメントを書いているのはまだ3月の前半なのですが、一気に気温が暖かくなり、春の陽気に心も弾みますね。近所の公園では子供たちが元気に走りまわっていて、その光景を見るだけで幸せな気分になるのですが、まだ肌寒かった1週間ほど前に昭和の世界からタイムスリップしてきたような半袖・半ズボンの少年が走りまわっていて、めちゃくちゃ嬉しくなりました(笑)。
春選曲ですが、まずはニューヨーク出身の男性アーティスト、Avalon Emersonのスウィートなマジカル・ポップ・ナンバー「Sandrail Silhouette」をセレクトしてスタート。それに続き、ノルウェイはオスロを拠点に活動するアーティスト、Marit Othilie Thorvikによる音楽プロジェクトJouskaの「Fragrance」や、レモン・トゥイッグスの5月にリリース予定のニュー・アルバム『Everything Harmony』より先行シングルとしてリリースされた「Any Time Of Day」、キャロライン・ポラチェックの新曲「Bunny Is A Rider」などをセレクトしていますが、今回も素晴らしいニューカマー作品が目白押しですね。そしてTennisやCal In Redといったおなじみのアーティストの新作も素晴らしく、今回も選曲に花を添えてくれていますが、ノルウェイはオスロで活動する男性4人組バンド、Marblesの「Cold Water」なども、まさに春と言った感じの爽やかで素敵な作品です。
ディナータイム後半は、またもや登場のキャロライン・ポラチェックの「Pretty In Possible」からスタートするのですが、今回の春選曲は彼女の新作が大活躍しております。それに続くのはロサンゼルスの女性アーティスト、Blondshellの4月7日にリリースされたセルフタイトルを付けたデビュー・アルバムよりピックアップした「Joiner」ですが、昭和のおじさんはどうしてもその名を聞くと、ソウル・オリンピックで100m、200m、400mリレーの3種目で金メダルを獲得したアメリカの陸上選手、フローレンス・グリフィス=ジョイナーを思い出してしまいます。彼女は日本でもとても人気があり、1989年には日本テレビ系スペシャル・ドラマ「華麗なる追跡 THE CHASER」に出演し、松田優作と共演したこともあるんですねぇ。ディナータイム後半のおすすめ曲は、カリフォルニアはサンタモニカのベッドルーム・ポップ・アーティスト、アレックス・シーゲルの「Bicycle」、コクトー・トゥインズの名作を彷彿させるユニット名をもつフィンランドはヘルシンキの男女デュオ、Pearly Dropsの「I Cry While You Sleep」、ニューヨークの女性アーティスト、True Blueの「Lucy (Club)」、オーストラリアはメルボルンの男性デュオ・ユニット、Tommy & Royの「High On Nightmares」、そしてオーストリアの首都ウィーンを拠点に活動する女性ひとりを含む6人組バンド、グッド・ウィルソンのニュー・シングル「Undecided Changes」などです。
ミッドナイトからの選曲は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の州都であるヴィクトリアで活動する5人組バンド、ブライダル・パーティーの2月にリリースされたニュー・アルバム『Cool Down』に収録されたタイトル・ソングを冒頭に配し、続いてウォール・オブ・サウンドでナイアガラな雰囲気を持つニューヨークの女性アーティスト、Jordanaがロサンゼルスのバンド、Inner Waveとコラボした「Baby」や、ミズーリ州セントルイスの男性デュオ・ユニットSleepy Soulの「Disappear」をセレクト。Men I Trustの「Ring Of Past」やTennisの「Hotel Valet」といった定番アーティストの作品も織り込み、ニューヨークで活動するシンガー・ソングライター、Frankie Roseのニュー・アルバム『Love As Projection』に収録さた「Sixteen Ways」や、ブルックリンを拠点とするプロデューサー兼ソングライター、Sadieの新作EP『Tide』収録曲「All Night」、カナダのトロント出身のMandaworldの「I Adore You」といった良質な女性アーティストの作品を続け、春らしい若さが爆発したかのようなテキサス州オースティンで活動するEVNTYDの青春インディー・ポップ「Black Hills」や、ユタ州オグデンの3人組future.exboyfriendの笑顔弾けるダンス・ナンバー「Hazy」なども、選曲のアクセントに織り込みました。
ミッドナイト後半は、ロサンゼルスの男女デュオ・ユニット、Crushedのメロウなシューゲイザー・ナンバー「Milksugar」から、ドイツはハンブルクの女性アーティスト、KUOKOの無機質に刻まれるビートが心地よい「All I Want」につなげてスタート。そして自分の中では最近のアーティスト感があるのですが、気づいてみれば9作ものアルバムをリリースし、もはやしっかりとした安定感のあるポジションを築いている、フランス出身のアンソニー・ゴンザレスによるソロ・プロジェクト、M83の「Us And The Rest」もセレクト。ノルウェイはオスロで活動するYndlingの「Once Or Twice」や、ブルックリンで活動するKoleżankaの2月にリリースされたニュー・アルバム『Alone With The Sound The Mind Makes』収録の「Cheers!」といった作品もお気に入りですが、ロサンゼルスで活動するDani Kingの「Liquid Hourglass」はトリップ感覚をもたらす浮遊感が特にフェイヴァリットです。今回の選曲の締めとして選んだサンフランシスコの男女デュオNight Hikesの「Perfect Wonder」と、オクラホマ出身の男性デュオ・ユニット、Love Seatsの「On Your Own」も、とびきりメロウな作品で春のまどろみを感じさせてくれます。
さて、今回の映画に関するお話ですが、「別ヴァージョン」や「ノーカット完全版」なんてものをキーワードにお話しましょう。「ノーカット完全版」といえば前回も少し触れた『ラスト・エンペラー』や『愛と哀しみのボレロ』などが有名ですね。いまやカルト映画ではなくなった1973年のイギリス映画『ウィッカーマン』もいろいろなヴァージョン違いがあり、近年でも「ファイナルカット版」という94分版が劇場公開されていました。そして先日50年ぶりに劇場公開された『バニシング・ポイント』も、US版ではカットされたシャーロット・ランプリング出演シーンがあるUK版というものがありますね。ファンならその全てを観たくなるのですが、気持ちとは裏腹に歳を取るとなかなか体力がそれについていきません(笑)。しかし最近もいろいろとヴァージョン違いの検証をやっていまして、映画ファンにはよく知られる町山智浩氏の著書『トラウマ映画館』にも掲載されている1975年のアメリカ映画『マンディンゴ』も、日本盤DVDに収録されている映像はシーンがカットされた短縮ヴァージョンなんですね。今回ノーカット版の海外盤ブルーレイを購入して検証してみましたが、ノーカット版はシーンのカットだけでなく、ある場面ではまるごと別テイクの映像が使われていて驚きました。そして全体を観てわかったのですが、日本盤DVDに収録されている映像は女性の裸などが全てカットされ、前述の別テイクのシーンにおいては、ノーカット版では女性が裸なのに、服を着ているものに変更されていました。これはたぶんTVテレビ放送などができるように作った別ヴァージョンだと思います。実はこのカルトな作品も昔、日本のTVで吹き替え版が放送されており、そのとても貴重な映像を鑑賞させていただいたのですが、なんと短縮版ではなくノーカット版の映像が使用されていて驚きました。今の時代なら間違いなくDVD版で放送されるでしょうね。さらにシャロン・ストーンが制作にかかわった西部劇『クイック&デッド』も現在発売されているDVD及びブルーレイは一部シーンがカットされています。これはアメリカ公開版というものなので、もちろん本国アメリカで発売されているソフトもシーンがカットされています。このシーンは2分ほどのシャロン・ストーンとラッセル・クロウの絡みのシーンなのですが、アメリカでは公開当時からこのシーンはカットされていました。しかし日本ではノーカットで劇場公開され、当時発売されたVHSでもノーカット版が収録されています。しかし前述したように現在のソフトは短縮版です。そして吹き替えマニアの中では有名な話ですが、1997年にテレビ朝日の「日曜洋画劇場」でもこのカットされたシーンを含む吹き替え版が制作されました。現在この吹き替え音声は国内盤ブルーレイに収録されていますが、前述したように映像が短縮版なので、この場面のセリフを聴くことはできません。さらにマニアックな話で、TV版とは声優が違う、吹き替え版VHSというものが存在し、ブルーレイには収録されていない幻のノーカット版の吹き替えというものが存在するのです。いやはや奥が深い世界ですねぇ(笑)。

Avalon Emerson「Sandrail Silhouette」
Jouska「Fragrance」
The Lemon Twigs『Everything Harmony』
Caroline Polachek『Desire, I Want To Turn Into You』
Marbles『Humour』
Blondshell『Blondshell』
Pearly Drops「I Cry While You Sleep」
True Blue『Lucy』
Tommy & Roy「High On Nightmares」
Good Wilson「Undecided Changes」
Bridal Party『Cool Down』
Jordana & Inner Wave「Baby」
Sleepy Soul「Disappear」
Men I Trust「Ring Of Past」
Frankie Rose『Love As Projection』
Sadie「All Night」
Mandaworld「I Adore You」
EVNTYD「Black Hills」
Crushed『Extra Life』
Kuoko「All I Want」
Yndling「Once Or Twice」
Koleżanka『Alone With The Sound The Mind Makes』
Dani King「Liquid Hourglass」
Love Seats「On Your Own」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

ノートパソコンを外に持ち出して、ちょうど満開を迎えたばかりの桜を眺めながら、この原稿を書いています。毎年の光景ですが、やはりその得も言われぬ美しい景色に心を奪われます。Bluetoothのスピーカーから流れてくる、デンマーク出身のジャズ・ヴォーカリストで、最近ひとめ惚れしたMarie Mørckのチャーミングな歌声も、まるで小鳥のさえずりのようで、春の風景に心地よく溶け込んでいます。今回は、他にも、そんな麗らかな雰囲気にぴったりのサロン・ジャズ系のピアノ・トリオやヴォーカルとブラジル~アルゼンチン音楽を中心に、メロウなシンガー・ソングライターを織り交ぜて、4時間の選曲を組んでみました。僕は月曜日の正午からのランチタイム~ティータイムを担当しているので、新生活スタートの季節ということで、ぜひ街中で耳にして、気持ちをリフレッシュしていただけると嬉しいです。

Marie Mørck「Never Will I Marry」

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

NYブルックリンを拠点に活動するマルチ奏者Relyae。すでに5年ほど前から、ジャズやソウル〜ヒップホップ、そしてブラジリアンからアンビエントまでの要素を溶けあわせた甘やかな響きが魅力的な楽曲を、動画配信も交えながらDIY的に制作してきている彼。春色の淡い色彩をまとったジャケットの「Drift」は、まどろむようなビートにのったファルセット・ヴォイスが優しく芳しい春の風を運んできてくれるよう。

Relyae「Drift」
Adi Oasis『Lotus Glow』
Annie Blackman『Bug』
Munir Hossn & Ganavya『sister, idea』
koleżanka『Alone With The Sound The Mind Makes』
strongboi『strongboi』
Pearl & The Oysters『Coast 2 Coast』
Brendan Eder Ensemble『Therapy』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

2023年は、東京では観測史上最も早いという桜の開花が伝えられました。さっき、八分咲きくらいの桜並木を散歩してきたところです。このセレクションが始まる頃はもう終わってしまっていると思いますが、3年ぶりに解禁されたお花見を楽しまれたリスナーの方も多いのではないでしょうか。僕も久しぶりに友人たちとスパークリング・ワインやビールで桜を楽しむ予定なので、今から楽しみにしているところです。

Spring Selectionは毎年、Early Spring Selectionよりも季節を一歩進めるようなイメージで選曲しています。両者は本に喩えるなら上下巻、あるいは連作関係のようなところがありますね。放送期間は5月下旬までなので、GWくらいには気温もけっこう上がってきます。そこでブラジリアンはもちろん、レゲエなどのカラーも取り入れ、季節感を演出することを意識しています。陽光の季節らしく、爽やかなインディー・ポップやブリージンなブルー・アイド・ソウル〜AOR的な要素も感じさせるセクションもご用意しました。

アルバム・オブ・ザ・マンスはギャビ・アルトマンのデビュー作『Gabi Hartmann』です。ジェシー・ハリス・プロデュースという時点で「usen for Cafe Apres-midi」的には間違いないですし、ノラ・ジョーンズを連想する人も多いと思いますが、この人の作品にはヨーロピアンらしいエスプリが薫り、海沿いの避暑地や午後のレモネード、ヴィンテイジのサマードレスといったイメージを思い浮かべてしまいます。MVもそうですが、昔のフランス映画のようなどこかノスタルジックなムードも。中でもオープニングの「Buzzing Bee」は絶品ですね。次点はスウェーデンのソフト・サイケなバンド、Dina Ögonの『Oas』でしょうか。ヴィンテイジ感のあるサウンドと、「この曲の下敷きってアレだよね」と思わせる90年代的なセンスが好みで、気づいたら繰り返し聴いてしまっていました。エリカ・バドゥと同郷で、彼女も称賛を寄せるLiv.eの新作『Girl In The Half Pearl』も良作でした。セレクションに入れた「Wild Animals」はジョン・キャロル・カービーとSolomonophonicとの共同プロデュースなんですね。ジョン・キャロル・カービーと言えば、彼が手がけるエディー・チャコンのニュー・アルバム『Sundown』も楽しみで仕方ありません。

セレクションの最後の30分はかなり静かめな感じですが、ブラッド・メルドーのビートルズ・カヴァー・ライヴ盤『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles』、リューベン・ロジャースとウォルター・スミス3世をフィーチャーしたケンドリック・スコットの『Corridors』からはぜひ紹介したかったので、この時間帯を作りました。前者はやっぱり「For No One」「Here, There And Everywhere」のポール二大センティメンタル名曲がいいですね。後者はスター・ウォーズ風のジャケットに反して(?)、内省的なトーンが印象的なアルバムに仕上がっています。「One Door Closes, Another Opens」など、象徴性を帯びた曲タイトルにも想像力をかき立てられます。

今回はオープニングだけでなく、エンディングもクラシック曲にしてみました。オープニングは演奏家としても名高いフリードリヒ・グルダのジャジーなオリジナル曲を洗練された解釈で。ラストはウクライナの作曲家、ヴァレンティン・シルヴェストロフの『Naïve Music』から「夜想曲」と題された2曲目をセレクトしました。この曲が収録されているElisaveta Bluminaというピアニストの『Silvestrov: Piano Works』は、どの曲も優しく繊細さを感じさせるアルバムで、就寝時によく聴いていました(よく眠れます)。以前も書いたことがあるかもしれませんが、橋本徹さんのコンピレイション『Jet Stream ~ Spring Flight』で、春のまどろみの時間を演出するような「亜麻色の髪の乙女」が使われていたこともインスピレイションに一役買っているかもしれません。そんな橋本さんは2月に選曲家人生30周年記念のコンピレイション『Blessing』がリリースされました。橋本さんのキャリアを振り返るライナーのインタヴューは僕が担当させていただいたので、ぜひ読んでいただければと思います。それはともかく、30年の間、変わらない音楽への愛情と情熱を持って選曲を続けてきた橋本さんの姿勢には、本当に頭が下がる思いです。僕が橋本さんのような域に達することは絶対にできませんが、音楽への愛情と情熱は変わらずに持ち続けて、今後も選曲に携わっていきたいと思っています。

Martin David Jones『Gulda: Piano Works』
Barbra Lica『Imposter Syndrome』
Gretchen Parlato & Lionel Loueke『Lean In』
Gabi Hartmann『Gabi Hartmann』
Ed Mount『Close To Your Heart』
Gabriel da Rosa『É o que a casa oferece』
Liv.e『Girl In The Half Pearl』
Dina Ögon『Oas』
Eddie Chacon『Sundown』
Brad Mehldau『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles』
Kendrick Scott feat. Reuben Rogers & Walter Smith III『Corridors』
Elisaveta Blumina『Silvestrov: Piano Works』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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