「その敏感肌、自分で作ってしまっていませんか?」&後天性敏感肌の改善方法
今回の記事では、僭越ですが私が思うスキンケア論についてご紹介していきたいと思っています。
"スキンケア論"の初回には、必ずこの話をしたいと思っていました。それは、
貴方の肌は本当に「敏感肌」なのか?
ということです。ご自身を敏感肌だと思っていらっしゃる方、この記事を読んで下さったら幸いです。
1. その敏感肌、本当に生まれつき?
いきなりですが、ご自身を敏感肌だと自覚されている方は、いつ頃から敏感肌になったと感じていらっしゃいますか?
敏感肌と言うと、
・肌荒れ(赤み・ニキビなど)しやすい
・季節や身体のサイクルによって、肌が揺らぎやすい
・今まで使えていた化粧品が突然沁みることがある
こういうお悩みがある方が多いと思います。私も、その一人です。
もちろん、生まれつきお肌が弱く、赤ちゃんの頃からお肌のトラブルをお持ちの方もいらっしゃると思います。そのような方は、本当の敏感肌だと思いますが、私が"生まれつきの敏感肌”だったかと言われると・・・そうでもないんですよね。
思い返せば、ティーンの頃肌トラブルに悩み、スキンケアをするようになってから、慢性的な敏感肌が始まったと思っています。
◆「後天性敏感肌」
・・・というわけで、私は自分のことを「後天性敏感肌」だと思っています。つまり、「生まれつきお肌が弱いというわけではなかったが、スキンケアをするようになってから敏感肌になってしまった人」という意味です。
これは、間違ったスキンケアの積み重ねによる敏感肌、つまり「自分で自分を敏感肌にしてしまった」例だと思っています。
・思春期をきっかけにスキンケアを始めてから、ずっと肌が不安定
・どれだけスキンケアをしても肌トラブルが消えない
・どれだけ保湿しても乾燥してしまう
・身体の肌トラブルは特にないのに、顔だけトラブルがある
こういう点に心当たりのある方は、自分で自分を敏感肌にしてしまっている可能性があります。ですが、それは逆にいうと、スキンケア次第で改善される可能性がある、ということです。
というわけで今回は、私の経験をもとに、後天性敏感肌の改善に向けたスキンケア法をご提案していきたいと思います。
2. 敏感肌の改善に最も大切なのは、正しいクレンジングと洗顔
まず皆さんにお伝えしたい事は、肌には生まれつき、ある程度の回復機能や保水機能(ここでは便宜上、"バリア機能"と呼びます)があるということです。どんな化粧品をもってしても、薬ではありませんから、自前のバリア機能に勝るものはないと私は思っています。
ですから、後天性敏感肌の改善に最も大切なコンセプトは、「肌本来のバリア機能を、最大限守り育てること」だと考えてます。
そして、この"自前のバリア機能"を壊してしまう最大の原因が、日々のクレンジングや洗顔にあると言われています。というのも、自前のバリア機能はかなり繊細で、実は顔を水につけるだけでも壊れてしまうほど。更に、化粧品成分の勉強をしていて分かったのですが、世の中で販売されているクレンジングや洗顔料は、かなり洗浄力が強いものが多いです。
ですから、多くの方が、このようなアイテムを毎日のように使い続けていることによって、肌を敏感に傾かせてしまってる可能性が高いのです。
3. クレンジング・洗顔料を選ぶ鍵=とにかく「落としすぎないもの」を選ぶ
というわけで、私がクレンジング剤や洗顔料を選ぶ時は、「とにかく落としすぎないもの」を選ぶようにしています。
上記が、簡易的なお肌の構造の図です。私達の肌は、自らが分泌した皮脂膜によって守られています。皮脂は何かと嫌われがちですが、皮脂があるからこそ、その内側で健康なお肌が育ちます。
ですから私は、
・洗いあがりがさっぱり・キュキュとする
・洗顔後すぐ保湿しないと耐えられない
こういう状態になってしまうものは、絶対に使いません。洗っても顔がしっとりとして、皮脂が少し残っている位が、ちょうどいい洗いあがりだと思っています。
4. スタメンの洗顔料・クレンジング
では、具体的に私がどんなアイテムを使っているかをお話します。
① メイクが薄い日
まず、メイクが薄い日からお話します。ここでいう薄いメイクとは、「油分少なめのアイテムのみを使っているメイク」のこと。水や皮脂に弱く、落としやすいアイテムを使った日が、これにあたります。ウォータープルーフでは無い日焼け止めや、シリコンフリーの下地などですね。要は、お出掛けしないような、ほぼノーメイクの日のことです。
こういう薄いベースメイクの日なら、私は極めて洗浄力の弱い洗顔料を使っています。つまり、「石ケンベースではないもの」です。
とはいえ、洗顔料の成分を見ても、「石ケン」と書いてあるものは少ないので、見分け方をご紹介します。
パルミチン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸 etc (=高級脂肪酸)
+
水酸化Na/水酸化K (=アルカリ剤)
成分表示に、このような組み合わせが書いてある洗顔料は、一般的に石ケンベースです。洗浄力が高いものが多いので、私はこのような洗顔料は避けるようにしています。
また、上の式からもわかるように、石ケンとは「アルカリ性にすることで汚れをすっきりと落とす」という性質を持ってますが、アルカリ性の状態は肌に乾燥などのトラブルを招きます。
健康な肌の方であれば、肌が一旦アルカリ性に傾いても、自然に肌本来の"弱酸性"に戻るのですが、肌が敏感になっている方は、弱酸性に戻す力が弱く、アルカリ性に傾いたままの場合があるのです。その意味でも、後天性敏感肌の方は、石ケンベースの洗顔料は控えた方がいいと言えるでしょう。
・・・とはいえ、市販の洗顔料はそのほとんどが石ケンベースなので、注意が必要です。洗浄力の弱い洗顔料については、別の記事で詳しくご紹介していきたいと思いますので、お待ちいただければと思います。
②メイクが濃い日
一方、水や皮脂に強いアイテムでメイクをした日を、私は「メイクが濃い日」と定義しています。市販の大抵の下地やファンデーションは大体がこれに当たりますので、殆どの皆さんは、こちらの方が参考になるかも知れません。
このようなメイクアイテムは、その多くがシリコーンオイルなどの油分が含まれているので、「油は油で落とす」論が一番理にかなっています。
私は、皮脂に似た構造のアルガンオイルをクレンジングとして使うことが多いです。メイクした肌にアルガンオイルをたっぷり塗り、少し時間を置いて馴染ませて、ティッシュを顔に乗せて、決して擦らず転写させて吸い取るという方法です。
その他、乳液を使ってクレンジングをすることもあります。乳液とは、水と油を界面活性剤で乳化させたものですから、水とも油とも程よくなじみます。クレンジング方法はアルガンオイルと同じ。ティッシュに転写させて落とします。アルガンオイルよりメイク落ちは弱いですが、プチプラの乳液で全く問題ないので、これである程度メイクが落とせそうな場合は、お財布にも優しいおすすめの方法です。
アルガンオイルや乳液でのクレンジングは、ほぼ肌に負担がかからない非常に肌に優しい方法なので、クレンジングによる肌負担にお悩みの方にとてもおすすめです。すべてのメイクがごっそりキレイに落ちるわけではありませんが、7割落ちてればオーケー、位のおおらかさで行ってみてください。そして、クレンジング後は、①と同じように、石けん素地ではないマイルドな洗顔料でサッと洗って、残りの3割の汚れを落とし切るイメージです。
クレンジングと洗顔の工程で、「落としすぎて肌を痛める」ことの無いように、いい意味で適当に、神経質になりすぎずに行うことがポイントです。
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その他、市販のクレンジング剤を使うときは、植物油脂メインのクレンジング剤を使用します。植物油脂というのは、アルガンオイルやマカダミアナッツ油などといった、人間の皮脂に近い構造を持つあぶらのことです。
通常、クレンジング剤は、ミネラルオイルや人工オイル、界面活性剤の力を借りて汚れを落とすため、肌に負担がかかりやすいのですが、植物油脂メインのクレンジング剤であれば、殆ど肌に負担がかからずに汚れをしっかり落とすことが出来ます。とはいえ、市販のアイテムで植物油脂メインのクレンジング剤を探すことは非常に難しいので、探すのは至難の業なのですが・・・・・
私が愛用している植物油脂メインのクレンジング剤は、この辺りです。
・魔女工場のクレンジングオイル(韓国コスメ)
・SIORISのクレンジングミルク(韓国コスメ)
・STEAMCREAMのクレンジングバーム
「植物油脂メインのクレンジング剤って!?」「敏感肌にはオイルクレンジングはNGなんじゃないの!?」と、皆さんのいろいろな声が聞こえてきそうな気がしますが・・・・笑
クレンジングは本当に奥深いので、今後noteでも詳しくご紹介していこうと思っています。
「落とすのは、メイクやホコリのみで十分。自分の皮脂は適度に残す。」
というのが私の考えです
5. 洗顔の仕方も大切です
また、使う洗顔料も大切ですが、洗い方も非常に大切です。刺激の少ない洗顔方法については、以下を推奨します。
① 洗顔前に、清潔な手で水のみで「予洗い」する
乾燥した肌にそのまま洗顔料を乗せると、洗顔料の界面活性剤が肌にダイレクトに付着するため、敏感肌には負担になる場合があります。乾いた肌に乗せることが推奨されているオイルやミルクタイプは別ですが、フォームやジェルタイプのものであれば、水で濡らした後に使用した方が、界面活性剤による肌への負担を減らすことが出来るのです。
ですので、洗顔料を肌に乗せる前に、清潔な手で5~10回水だけですすぐことをお勧めします。これを私は「予洗い」と呼んでいます。
② 泡は肌に垂直に、「5秒だけ押し洗い」
よくCMなどで見かける、「やさしくくるくるマッサージ」というのも、敏感肌には刺激になることがあります。泡はくるくるせず、垂直にもふもふと押すように洗うのがおすすめです。決して肌の上で手を動かさないこと。
肌の赤みに悩んでいる方は、これだけでもかなりの改善が見られることがあります。
ちなみに、洗顔料を肌に乗せている時間は、長くても10~15秒程度がおすすめ。いける方は、3~5秒程度まで縮めてみてください。
③ すすぎはしっかり、でも適度に
すすぎが足りないことによる洗顔料の残存はもちろん肌への負担となりますが、同時にすすぎすぎも禁物です。なぜなら、肌の天然保湿因子は水だけでも流れ出てしまうからです。ですから私は、洗顔料がしっかり落ちたと感じたら、それ以上何度もすすぐ必要はないと考えています。
ちなみに、すすぎにはぬるま湯が推奨されますが、ぬるま湯というのはぬるいお湯ではなく、「冷たくない水」のことです。ホッとしてしまうあたたかい温度はNG。
④ 水の拭き取りにはティッシュを使う
タオルの繊維は意外に肌に負担になるので、私は顔についた水の拭き取りにはティッシュを使用しています。キッチンペーパーを使う方もいらっしゃいますが、キッチンペーパーは吸水力が高すぎることがあるので、吸水力の弱いティッシュがベストです。ぎゅうぎゅう押し付けず、お豆腐の水気を吸い取るようにやさーしく。
6. やるべきは保湿より保水ケア
洗顔の洗浄力も非常に大切ですが、その後の潤いを与えるケアも非常に大切です。
一般的に潤いを与えるケアと言うと、化粧水をやクリームをたくさんつけたりする「保湿」が思い浮かばれるかと思いますが、私が考える、後天性敏感肌改善のケアに重要なのは「保水ケア」、つまりは肌本来がもつバリア機能(保水力)を補強するケアだと思っています。
本来、人間の肌には水分を保つ力(=バリア機能)がありますが、後天性敏感肌の方はこの肌が水分を保持する力が弱くなってしまっていることが多いです。そのため、スキンケアをしてもすぐに皮脂が出てしまったりする。そのような場合はいくら化粧水を入れ込んでも、水分を持てる力がないので、あまり意味がないと言うことになってしまうわけです。
そこで私がお勧めしたいのは、角層の保水力を高めるケアです。水分を入れるより先に、保水力のある油分や天然保湿因子を入れておき、角層のラメラ構造を整えておくことで、擬似的に自分の肌の水分保水力を高めるのです。
・ブースターオイル
・先行乳液
・導入美容液
などのアイテムはこの発想から生まれています。化粧水を入れる前に、このようなものを先に取り入れると、自分の肌のバリア機能をサポートしてくれ、保水力が徐々に上がります。
よく耕されてふかふかになったお肌は、しっかりと水分を蓄える事ができるようになります。こういうステップをしっかりと続けることで、例え化粧水の量や質を変えなくても、「保水感」が長くキープされます。
肌にむやみに水分を与えるよりも、水分を蓄えられる状態を作る。
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7.特に肌が敏感に傾いている時のケアについて
以上で、この記事でお伝えしたい「後天性敏感肌のケア方法」の骨子はお伝えしきっておりますが、補足的に一つご紹介しておきたいのが、肌が特に敏感に傾いている時のケア方法についてです。
肌荒れすると、スキンケアを頑張ってしまいがちな方も多いと思いますが、こういう時こそ、スペシャルケアは控えた方がよいと考えています。
たとえば、角質ケア。先ほど紹介したクレンジング&洗顔方法からもわかるように、後天性敏感肌の改善の根本コンセプトは、「自身の肌バリアを守り育てる」ことですので、角質を取り去るようなケアは絶対に禁物です。肌がごわついて不調だからといって、こういうケアをするのはもってのほか。スクラブ・ピーリングなどは、絶対に避けるようにしてください。
また、肌が不調な時は、シートパックなどによる過度な保湿も避けた方がいいです。なぜなら、過保湿は、角質をふやかし、肌のバリア機能を更に破壊してしまう可能性もありますし、シートパックに入っている防腐剤や界面活性剤が肌への刺激になる可能性があるからです。(シートパックには、一般的に化粧水より多くの防腐剤などが入っていることが多いです)
特に肌が敏感になっている時期は、シートパックなどはもちろん、可能であれば美容液などの使用もお休みして、保湿はなるべくシンプルに留めるようにしてみてください。
最後に
以上が、私が思う「後天性敏感肌を改善するスキンケア法」です。総じて、「適度に化粧品の力を借りながら、少しずつ自分の肌を健康にしていく」というのがコンセプトです。
「落としすぎない」&「保水機能をサポートする」
必要な洗浄力や保湿量は人によって全く違うので、私と同じ方法が全員に合うということは決してありませんが、この記事をきっかけに、ご自身のちょうどいい塩梅を見つけて頂ければ嬉しいと思います。
また、今までのスキンケアの積み重ねで敏感肌になってしまっている場合、元に戻すには一定の時間(数か月〜人によっては数年単位)かかるかもしれません。なぜなら化粧品は魔法の薬ではないので、即効性は基本的には無いからです。ですが、根気強く続けていくことで、少しずつ肌の状態は良くなってくるはずです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。適度に化粧品の力を借りながら、お肌本来のバリア機能を守り育てていくケアを、是非やってみてはいかがでしょうか。
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