読書記録⑬「掲載禁止」
長江俊和著
掲載禁止
こちらは禁止シリーズの短編集で、5つの物語が収録されている。
・原罪SHOW
文章ならではのトリックが生かされていて、ラストに全ての伏線が回収される仕組み。「殺人ショー」を見せるツアーに潜入取材をする、というテーマが面白く、先が気になって一気読みしてしまった。
・マンションサイコ
こちらも言葉のトリックが巧く、感じた違和感の正体が徐々に明かされていく。映像を見てるかのような構成で、シーンの切り替わりには衝撃を感じた。結末が少し後味が悪かった。
・杜の囚人
言葉のトリックには騙されないぞ!という気概で望んだものの、やはりラストまで読まないと謎が解けないままだった。登場人物の関係が複雑で、最後の説明がなかったら理解できなかったと思う。
・斯くして、完全犯罪は遂行された
トリックのパターンに慣れてきたのか、先が読めてしまう展開だったように感じた。しかしオカルト味の強さが長江作品らしく、映像で見たらいい謎解きになりそう。
・掲載禁止
表題作だけあり、読み応えがあった。注意深く文章を読み、どういうどんでん返しがくるだろうかと予想をするのも楽しくなってきた。長江ワールド全開。5つの中では私はこれが一番好き。
どの作品も、短編らしく程よいボリュームでまとまっており、読みやすかった。