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私は、愚かだった。無知でどうしようもなく馬鹿だった。ただ幼かった。幼さ故の持て余し気味の…
金はあればあるだけ良いらしい。 そうだな、とも思うし、そうかな、とも思う。それが事実か…
宇宙エレベーターが閉鎖される記事は新聞の片隅にひっそりと載っただけだった。 それより…
さすがに今回ばかりは男が最低だと、春子はなんのためらいもなく思った。 『俺、三半規管が…
金を貯めたら、宇宙旅行に行こうと決めていた。 今やエレベーターで宇宙へ行ける時代だ。…
地元を出るとき、母と祖母が言っていた。お金は貸さないこと、ハンコはむやみに押さないこと…
空中熱帯魚の泳ぐ姿を「飛ぶ」と最初に表現したのは、誰だっただろうか。 泳いでいるのか飛んでいるのか、どちらの表現が好きかと聞かれれば「飛ぶ」方だ。でも今はどちらでも構わない。 私の空中熱帯魚は、もう飛ぶことも泳ぐこともない。 寿命だと皆は言った。思ったより長く生きたじゃないかと。空中熱帯魚にしては。 つい癖で上を向いてあの優美な空色のひれを探すが見当たるはずもない。 こちらがどれだけ可愛がろうと世話をしようと当然懐くこともなかった。人間と同じ思考で生きていたと
目に入る情報は常に更新され、それも凄まじいスピードで更新されている。 いつでも世界と…
ある日突然、体の一部が動物化する奇病。主にその症状は首から上に出るため、一般に「獣頭症…
熱帯魚を買った。それも、空中熱帯魚だ。 品種改良が進み、今では延びた寿命もやはり短命と…
中田めぐみには秘密があった。 その秘密は誰も知らない。いや、確認したことがないからき…
妖精飛蚊症 五十万人に一人が発症する奇病。 それを知ったのは十二のときだった。 「しかし、…
十三のときに、突然私の視界は幸せに満ち溢れた。 降り注ぐ太陽光は優しく笑い、鮮やかに…
東京に来て五日目の朝。初めて飴が降った。最近の天気予報はえらいもので、昨日の予報通り。外れはしなかった。 カーテンを開けて外を見ると赤、黄、青、紫。ない色などないとばかりに、様々な色の塊がバラバラと降っていた。よく見ると飴はご丁寧に包み紙に包まれ、両端がねじってあった。 「東京は"あめ"が降るんだってなあ」 先に上京していた幼馴染にそう言ったのは昨日のことである。 イントネーションという概念が存在しない地方出身からすると、雨だろうと飴だろうと、発音は全て同じ"あめ