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味噌一択
金曜の夜に夫と2人でラーメンを食べに行った。醤油ラーメンが人気のお店で、昼にも夜にもよく行列ができているラーメン屋さんだ。
自炊するのも面倒、かといって、明日外食する予定があるから、しっかりと外食するのはちょっと...。さくっとラーメンでも!という流れだった。
子供の頃は、ラーメンと言えば、味噌ラーメンだった。本当をいうと、味噌ラーメンしか食べたことがなかった。
家族でラーメン屋さんに行くと、誰に何を確認するわけでもなく、味噌ラーメン5つと餃子5つ、を父親が注文し、家族5人がそれぞれ、味噌ラーメンと1皿分の餃子を食べるのだった。
家で、出てくるときも味噌ラーメンだった。
18歳で上京したあと、友達に連れられて、原宿のじゃんがららーめんで食べたときは、衝撃だった。「こういうラーメンがあるの!?」と。とんこつスープとの出会いだった。
世の中には、ラーメンが好きでラーメンの食べ歩きをし、あのお店がどうだとか、あそこのスープがどうだ、とか、ラーメンについて語る人々がずいぶんとたくさんいるもんだ、というもの上京してから知った。
ラーメンのスープの味で何が好きか、なんて話題になるといつもとまどった。
にわかファンなのに「とんこつ」と答えていいものか、
経験値がまだまだ足りていないんじゃないか、
とかそんなことを考えて。
かといって、こだわって味噌を食べてきたわけでもないし。
どうして我が家が味噌一択だったかといえば、きっと母親の好みだったんだろう、と思う。我が家では母親の意見は絶対だ、というところがあった。
「どうしていつもお母さんの言いなりなんだ」と父親に問うと「お母さんは、思い通りにならないことが苦手なんだ」とさとされたことがある。
そんな父親は、ルーティンを好む人だった。
いつも同じ道順で行くこと。同じ時間に起きて同じ順番で身支度すること。同じ時間に帰ってくること。
そんな2人だから、毎回味噌ラーメン5つ、餃子5つが成り立ったのだと思う。私たち子供3人はそれぞれおとなしい子供だったし、他の味は食べたこともないから、そういうもんだと思い込んでいたのかもしれない。
醤油ラーメンを頂きながら、味噌ラーメンと、とんこつラーメンに思いをはせた夜だった。