「排熱は電気エネルギーとして再生できるのか!?」研究室紹介Vol.8
名古屋大学大学院2年生の楠本君に研究についてインタビューをしました。
「工場や自動車の排熱を電気エネルギーとして回収できる技術があります。」
<研究テーマ>
ポリ乳酸樹脂隔壁型を用いて作製したMg2Si/Ni傾斜積層モジュールに関する研究
私は熱電発電モジュールに関する研究をしています。
熱電発電とは、半導体などの熱電材料の両端に温度差が生じると電気を生み出す現象を利用した発電方法で、工場や自動車などから捨てられている排熱を電気エネルギーとして回収できる技術として注目されています。
通常の熱電発電モジュールはΠ型構造で構成されており、p型とn型の両方の熱電材料が必要になります。
研究対象であるMg2Siは、n型においては非常に高い性能が報告されています。
しかし、p型の性能が低くΠ型構造を作製することは困難な状況となっていることから、私は1種類の熱電材料のみで作製できる傾斜積層型の「新規モジュール」の作製方法確立及びその性能向上を目標に研究を行うことにしました。
「新規モジュールで排熱の電気エネルギー変換を目指しています。」
従来の傾斜積層型素子の作製はプロセスが簡便である一方、歩留まりが悪いことが知られています。
そのためポリ乳酸樹脂を用いて作製したPLA隔壁型を使用することで歩留まりを改善することができ、新規モジュール作製方法を開発することができました。
使用する材料系が同じ場合、モジュール性能は構造に依存します。
傾斜積層型で性能に影響があるパラメータは傾斜角度、ストライプ幅、体積分率などがあり、中でも体積分率の影響が大きいのでは考えました。
今後は傾斜角度や体積分率を変えながら高い性能のモジュール作製に取り組みたいと考えています。
将来的には、自動車や工場の配管など捨てられている多量の熱を、私の新規モジュールを用いて電気エネルギーを回収できる仕組みつくりを目指しています。
「芋煮会、スポーツ大会などイベントを通して研究室が一体となれます。」
私の研究室では、春の歓迎会、秋の芋煮会、冬のクリスマス会、年度末の送別会などさまざまなイベントがあります。
特に秋に行われる研究室対抗のソフトボール大会とバレーボール大会は、積極的に参加する学生が多いため、研究室が一体となれるイベントだと感じています。
研究室での過ごし方は**です。
実験は装置を稼働させると稼働中は待ちがあるため、その時間に資料作成等の作業を進めています。
実験の工程はそこそこありますが、実験を重ねて作り上げた試料から想定の結果が得られると、より一層研究意欲が掻き立てられます。
<研究実績>
2024年7月 ICT2024(ポーランド)
2024年9月 日本熱電学会(茨城)
2024年10月 WORLD PM2024(神奈川)