「多結晶材料学×情報学コラボ研究! AIを用いた材料解析」研究室紹介Vol.7
名古屋大学大学院2年生の鳥居君に研究についてインタビューをしました。
「AI(情報学)の力を借りて優性能の多結晶開発(多結晶材料学)を目指します」
<研究テーマ>
「AIを活用した多結晶材料解析」
私の研究は、AIを始めとした情報学的手法を活用することで、より簡単な材料解析手法の確立や材料組織と物性の関係解明を行い、多結晶材料の更なる高性能化・高品質化に貢献することです。
多結晶材料とは、安価で大量生産に向いていることから自動車や太陽電池など日常生活のあらゆる場面で使われています。そのため、多結晶材料の高性能化・高品質化を目指していくことは、様々な製品・分野への貢献に繋がります。
しかし、多結晶材料の抱える課題として、非常に複雑な組織構造を持つため系統的・包括的に評価や解析を行うことが難しいという点が挙げられます。そのため多くの材料において、目的とする性能に対してどのように組織や製造プロセスを設計すべきかの論理的な指針がほとんど解明されていません。
そこで、情報学の力を借りながら、従来の解析手法にデータ解析や AI、画像処理といった手法を組み合わせることでより簡単に解析を行えないかと考え研究に取り組みました。
「AIモデルを用いて結晶欠陥の発生メカニズム解明へ」
結晶組織データをもとに材料の性能に悪影響を与える欠陥の発生を予測し、その発生要因を解析するAIの開発に取り組んでいます。
AIを用いることで、人の手で解析を行うのが困難な大量のデータやパラメーター、微細な組織変化などを捉えつつ解析を行うことが可能になり、現在では先行研究を上回る99%の予測精度を達成しています。
今後は開発したAIモデルを用いてより多くの材料を解析していくことで欠陥の発生メカニズムを解明し、高品質・高性能な多結晶材料の開発に貢献していきたいと考えています。
「共同研究が盛んな充実した研究環境です」
研究室には以下の「いいところ」があると感じています。
●やりたいことに挑戦できる環境
様々な分野に精通した先生方からの手厚いサポートを受けることができ、学生の自主性も尊重してもらえるため、研究においても興味のある内容にどんどんチャレンジしていけます。
●企業や他大学との共同研究の機会が豊富
企業や他大学からの依頼を受けて材料解析を行ったり、共同研究先との研究発表会で他大学の先生方からアドバイスをいただく機会があります。発表会では学生間で議論を行うことで切磋琢磨できるため大変勉強になります。
また共同研究チームとの研究合宿では卓球大会など交流が盛んに行われています。
●就活中でもしっかり研究に取り組める
きちんと進捗を出せていることが前提ですが、リモートワークの活用により就活などの時期でも研究に取り組めるため、就活と両立することができました。
研修室の過ごし方ですが、私は家から大学までが遠いので、大学とリモートを使い分けています。
がっつりプログラミングに取り組みたい日は家で。逆に実験をしたり情報収集したい際は大学で研究を行っています。
研究室には優秀な学生が多いので、何気ない会話が新たな気づきに繋がることも多いです。
就職活動では「企業ごとの傾向」「対策法のまとめ」「Webテスト対策」「ESの添削」をはじめ「面接練習」など歴代の先輩方の情報が研究室内で引き継がれています。
あらゆるサポートが受けられる最高の環境で、無事メーカーへ就職を決めることができました。
<研究実績>
2023年9月 応用物理学会(熊本)
2023年12月 MRM2023/IUMRS-ICA2023(京都)
2024年9月 応用物理学会(新潟)
2024年10月 JSPS Workshop(大阪)
2024年11月 JSAP SCTS 2024(愛知)