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期待値調整とは何か

期待値調整という言葉は様々なシチュエーションで聴きます。
なんとなくイメージはできるものの、使われる文脈によって定義は変化するので、「期待値調整をしっかりね!」と言われても、何をどのように調整すればいいのかわかりません。

私は公務員から民間企業に転職して初めて”期待値調整”という言葉を知りました。生きている世界が違うと、こうも使う言葉に違いがあるのかと感じます。

本稿は、私がBizDev / GSを経験する中で自分なりに解釈した内容をまとめたものです。”期待値調整”という言葉の解像度が少しあがればいいなと思います。

期待値調整が大切…?

BizDevになって最初に教わったのは、「期待値調整が大切。問題が起きてしまうときの原因はだいたい期待値調整がうまく出来てないときだよ」でした。

期待値ってなんですか・・・?????

調べてみると、”期待値調整とは仕事を進める上で双方間での期待レベルのすり合わせを指します”とネットに書いてありました。
どうやら、「相手の期待を当方が上回っていれば、相手は満足するから物事がうまく進む。そのために相手の期待値を下げる調整をすること」ということのようです。

つまり、この式の事前期待価値を下げる活動のことをいうのだと解釈しました。

顧客満足度 = 顧客が感じた価値 − 事前期待価値

期待値とは…?

端的に言うと”相手が期待していること”ですが、お客様と案件・プロジェクトを進める中で、色々な要求が出てきます。この”要求”を”期待”とすると1つ1つ調整するのは不可能です。

調整する期待値が何かわからなければ調整しようがありません。私の考える期待値とは、特定の範囲における要求ごとの及第点の総量です。

イメージしやすいようカレーで書きます。私のじゃがいもカレーのレシピはこうです。

  1. カレーのルーは5つほしい。4つは絶対NG。

  2. ジャガイモは3つほしい。少なくとも1つ欲しい。

  3. りんごは1つほしい。絶対ほしい!

この場合の期待値はこうなります。

ルー5つ + ジャガイモ1つ + りんご1つ = じゃがいもカレーの期待値

調整とは…?

期待値調整という言葉が使われる多くの文脈では、調整とは”下げること”を意味しています。食べたいものは、「じゃがいもが入ったカレーですよね?」ということで期待値を構成する”りんご1つ”を諦めてもらいます。

じゃがいもカレーの話ばかりになっているので仕事の話に戻します。

要求を深堀りすると、目的達成に直結するものと、しないものがあります。
しかし、要求を出す人にとってはすべて欲しいものには変わりありません。
もし、「それは目的達成のために必要ですか?」という聞き方をすると、「〇〇で必要です」とそれっぽい理由が返ってきます。こうなると「いらないですよね?」「いります!」の主張のぶつかり合いになり調整もへったくれもありません。

そうならないために、目的を明確にすることが大切です。この目的は、KPIのような定量的なものや、組織の目的のようなものが望ましいですが、その目的が相手の目的と必ずしも一致していません。
自分と相対している人が、”どういう状態になることを望んでいるか?”、それを目的と考えても十分です。

その目的達成に直結しないものは、「それは意味ないから後回しにしましょう。」「どれだけやっても効果は薄いからもっと意味のあることに労力を割きましょう。」と削ぎ落とし、フォーカスすべきものを合意していきます。フォーカスしたものが目的達成に直結するものであることを理解してもらうための説明・交渉・誘導を行い、望んでいるものに直結しないものを諦めていきます。

そうしてフォーカスしたものへはフルコミットします。ルーは最高のククレカレーを5つ、じゃがいもは今金男爵を3つ使います。

なぜ、ルーとじゃがいもとりんごの3要素のうちりんごを調整対象としたか?それは捨てられるもので期待値を下げることが将来に向かって期待値調整の効果が続くからです。

期待値(=サービスのレベル)を下げるときに、ルーを4つ、じゃがいもを0.5つ、りんごを0.5つと満遍なく少しずつ下げた場合、できあがるカレーは凡庸もしくは標準以下のカレーとなってしまします。この状態では何一つ満足できず、カレーを作る前は納得したはずなのに、すぐにルーを増やそう、じゃがいもを増やそうと要求は出てきます。

再び仕事の話に戻します。
フォーカスするものを決めずに全体の期待値を少しずつ下げるということは、少し極端な言い方ですが、深く考えずに行うことができます。そして、下がっているのは現時点の期待値であり、提供された価値・サービスを体験した後、不満とともに要求が出てきます。そうならないために、フォーカスするものを決め、そこに集中することが大切です。

フォーカスするものが、プロダクトのみで価値提供できない場合もあります。その場合は、ツールを作る、opsフロー組み換え・構築をする、情報をリサーチして提供するなど、顧客の期待を上回るためにあらゆる手段を提供します。

この、フォーカスしないものを定めて期待を下げ、フォーカスしたものにフルコミットして相手の期待を上回ることを”調整”といいます。

最後に

ちなみに、今金男爵とは、愛してやまない湖池屋のポテトチップスで使われてたものでとても好きでした。https://shop.koikeya.co.jp/shop/pages/imakane_norishio.aspx

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