日向坂46 11th Single『君はハニーデュー』収録曲感想
お疲れ様です。
5/1(水)に日向坂46の11thシングル収録楽曲がフィジカルに先立ち配信開始されましたので、こちらの感想を連ねていこうと思います。よろしくどうぞ。
過去記事はこちら↓
楽曲レビュー
以下クレジット、全作詞:秋元康
1.君はハニーデュー
作曲:野村陽一郎 編曲:野村陽一郎
11th表題センターを務めるのは正源司陽子。
そして、彼女を筆頭とする4期生合流とともに本作から選抜制度が導入されています。選ばれたのは本シングル発売時在籍メンバー全28人中の16人。
「おまたせ!」ティザーが公開されたのが2月末、そこから何やかんやリリース5月まで延びましたね。いやそんなお待たせされると思わないじゃん
音源が先行配信されたのが3月22日。完全に初聴の気持ちを忘れており当時の感情を思い出しながら書いています。ちゃんと残しておけばよかったね
それでは、弊アカウント的楽曲感想。
まず最初にこれだけ、めっちゃ好き曲です!!!!
まさに今このグループで聴きたい楽曲!!!!!
この感情の内訳を話しますね。
近々の賛否両論なクリエイティブを踏まえ、昨年末よりファンの間では「キュンドレミ路線」への回帰こそが"日向坂らしさ"だという意見が多数とまでは言わないものの散見されていました。字面だけで考えた時、わたしはそれに懐疑的で。
キュンドレミ路線、という言葉をどう捉えるかの問題になってきますがそれイコール日向坂らしさと聞きますと「キュンドレミのようなSNS映えするかわいい恋模様を歌ったアップテンポソングが至上命題」と解釈してしまうのです。
キュンドレミのような爽やかな楽曲を求めていたのは左に同じだったのですが、いわゆる「〇〇ダンス」やティーン向けバズワードのようなSNSでライトに消費されるものではなく、決してフックとして強くなくとも楽曲としての強度が高く今後のグループを推進させていくものが欲しい、というのがわたしの願いでした。例を出すと『君に話しておきたいこと』『ときめき草』(楽曲強度的な意味で『ドレミソラシド』も入る)など。
その点において本作は改名後の代表曲を多く手掛けた野村陽一郎 氏による非常に爽やかな楽曲となっております。その上でいわゆるバズワードの連呼でフックを作るというスタイルでもない。楽曲全体を見渡した時に思うファーストインプレッションが「単純に良い曲」で素晴らしい。
ただ!強いて言うなら…やはり詞の問題があるかなというのが一つ。
思うように活動が立ち行かなかった昨年を経て満を持して出す今年の手札、楽曲は万人受けするキャッチーさを持ち合わせている、センターを飾るのはニュースター正源司陽子とくれば、詞では「前を向いた高らかな決意表明」を掲げて欲しかったというのがあります。
お隣の櫻坂さんで言うところの『Start over!』が日向坂ではまさに今なんだよ…と。
「ハニーデュー」こそ初見ではなにそれ?と知名度が分かれるワードではありますが、ネット上で指摘されている暗喩やスラング的な意味も踏まえると途端に眉を顰める内容になってしまいます。しかもそれを歌うセンターの子17歳だぞまだっていう。
詞全体を見渡しても、結局何か言っているようで何も言っていない内容、ハニーデューと「君」への思慕を結び付けるにも唐突で「たぶんセンセイ最近差し入れでメロン貰ったんやろなぁ…」としか思えないほどの薄味。結局ハニーデューは甘いのか、甘くないのか。どっちにしてもそれが何なんだ。
浮気に二股略奪心変わりされるよりは良いのだけど、各所の力が特に入っていると思われる本作について、詞の面でも同じ方向を向いて欲しかったなぁ…というのが一つの心残り、個人的惜しいポイントではあります。
以上、この曲全体に対する概略の感想でした。
以下からは楽曲自体の好きポイントを箇条書きで。
・イントロからキラキラサウンド
・ティザーでも公開されてたイントロ。可愛いベルやピアノの音色、そして入ってくる四つ打ちキックの王道感(この時点で自分は野村楽曲と予想してました、ビンゴ)
・フル音源で聴くとこのイントロ、キラキラサウンドよりもフレーズがシンコぺーションになっているのに意識が行く。はやる気持ちを抑えられない感情を表しているのか
・日向坂の野村楽曲はサビから始まる(そしてアウトロなしのサビで終わる)ことが多いけど本曲は王道構成
・同野村曲、リズムが特徴的(ボレロとかマーチングとかソカとかある種の民俗的)傾向にあるのだけどビートは今回スタンダードですね
・D dur(ニ長調)
・キーがDメジャーの曲なんてなんぼあったっていいですからね
・Cメジャーの素朴さ、Eメジャーの雄大さ(アニソンっぽさ)と比較するとDメジャーは明るさの中に清楚さと儚さを内包してる感じがするんですよね。アイドルが歌うにピッタリじゃないですか
・MVでは2Bに来てるけど実際のパフォーマンスではイントロに歴代ボスラッシュ過去振り付け。名だたるパイセンからのバトンをしょげに繋いで
・「「「イェーイ!」」」
・「きーみはハニーデュ!」でもう獲りに来てる
・メロは違うもののイントロのリズムに近いシンコペ
・明るくキャッチーに見えて、実はところどころスケール外の音を多用しておりそこがフックになっているらしい。<「甘いメロンさ」の"あ"><「好きになってた」の"き">(雑誌『BRODY』野村氏のインタビューより)
・サビはモータウンなどに使われているコード進行らしい(こちらも雑誌BRODYインタビューより)、そういえば髭男のSOULSOUPっぽいとか言われてたね
・王道進行4536の最初を変形して2536にしたやつなんだってさ(コードで言うとたぶんEm→A→F#m→Bm)(マイナーセブンスかもしれないけど聴きとれん、わからん)
・冒頭サビ、メロンの説明下りの詞はTVサイズだと間引きされカットメロン定期
・「好きになっちゃだめかなぁ↑」の語尾上げがハロプロっぽい
・「好きになっちゃ」の譜割が持て余してる感、「すき~になったら(早口)」とかだめ?わたしだけ?
・オールスター感謝祭のCM前みたいなシンセベースだいすき
・UNISON SQUARE GARDEN『Micro Paradiso!(2:11~)』聴いてね
・Aメロ。4期加入、としきょんのきょんがoutしたことでユニゾンでもだいぶカラーが変わってる
・低音ネキ欲しくなるね
・にぶちゃんこのちゃんが目立つ
・Bメロはる砲タイム。ボーカルスタイルが似通ってる2人のユニゾンなこともあり「ひ~と~は~」のっぺりしてる感。もうちょっと譜割詰めてあげられなかった?
・なのちゃんからのきくちゃん早口節回しかわいい
・ワンフレーズで分かる実力者すーじー。現選抜だと歌唱スキルのファクターが彼女に依拠しすぎている感
・「マジなんだ~」「よ(母音o)」でサビ行くのちょっとむずくない?Ahとかじゃだめ?
・ピューンなSE
・結局ハニーデューは甘いのか甘くないのかどっちなのかを今日ここにいる全員で考えたくて(令和ロマンくるま)
・2Bの詞のがメロの間延び感なくていいですね
・としぱんフルーツ高速詠唱タイム、語感は好き
・ここでやっとかほりんのターン
・「瑞々しい 若さいっぱい」←若者がこんなこと言いません、ダウト
・正体現したね
・ルー大柴「僕だけのフェイバリット」
・折り目正しく進んでくチャイムかわいい
・Dメロすーじータイム
・頑なにシンメユニゾンにこだわらないで歌える子にはどんどんソロパート与えてほしいんですけどね
・しょげソロ、河田さんの声にも似てるね
・儚さを幼さにチェンジした感じ
・満を持して本気のとしぱん
・ガチ歌唱力で「世界中にメロンはあるのに」じゃないんだよ
・ピューンなSE(さっきより大きめに鳴っております)
・伝家の宝刀半音転調
・半音上げると急にサビが泣きメロになりますね
・その性質は確かに「キュンドレミ路線」ではある
・締めでもっかい感謝祭シンセからのピューンでおしまい!
MVに感想を移すと、とにかく「日向坂46のMV」として大正解。空色の衣装をまとったメンバーがパステルカラーの世界で可愛く映っている映像、かわいいの暴力です。新たに加わった4期が多めに映ってるのもフレッシュですね。
そしてフォトジェニックの具現化、正源司陽子ことしょげジェニックの可愛いが詰まってますね。まだ表情に硬さが見えるのもご愛嬌。
加えて歴代センターの過去曲振り付けラッシュ、青天の下で皆でダンスのラストも歴史を踏襲していて感慨深いのではないでしょうか。
それでいて、それだけに留まっていないのはこの映像の軸として「正源司陽子がアイドル(日向坂)になるまで」がきちんと描かれているからなのだと思います。郷愁を愛しく想うだけでなく、新センターにバトンを繋いだうえで彼女を先頭に新たな未来へ出航というメッセージが最後の汽笛とグループロゴ(数字が帆になっている)に表れています。
正直に、ひらがなより改名後のバイオグラフィを一望しフラットな目線で見た時にこれまでの日向坂は「小坂菜緒がセンターか、それ以外か」という文脈になっていたと思います(異論は認めます)。そこに並び立つ勢いのニュースター正源司陽子をここで大きく打ち立てることで確かにグループを勢い付ける、そういった意味でも今回の表題でのセンター抜擢采配は大きかったのではないでしょうか。
先述した詞についてなど、諸手を挙げて大絶賛!という訳にはいきませんでしたが、グループの再出発点にあたる大事な一手においてクリーンヒットで応えた快作だと言えます。日向坂としてもそうですし、今年の楽曲においても特にわたしの好き曲です。
ありがとう野村さん!!!
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)
2.錆つかない剣を持て!
作曲:karia 編曲:APAZZI
「ひなた坂46」としてのアンダー船出を飾る楽曲。
記念すべき初代UCは髙橋未来虹(「髙」はハシゴ高)。脇を飾るフロントは濱岸ひより、高本彩花とパフォーマンスに定評のある座組。
前評としては非常に期待感溢れるなかで発表されたこの楽曲ですが、なかなか評価が難しい楽曲(とその周り)が来たなと思いました。
サウンドメイクはどこか異国情緒あふれるオリエンタルな雰囲気。全編を通してクラシックギターの存在感が大きいですね。『One choice』もそうですがこの手の音色が好きな方が制作陣に居るのか。
作曲はkarin氏。坂道シリーズには楽曲提供初めてのようで、他アーティストへの提供などを調べても見つからず。
この楽曲はとにかくみくにん(ハシゴ高)とひよたんの両ボーカルで底上げされてますね。ガールズロックが似合うみくにん(ハシゴ高)の伸びやかな歌声と、avex系歌姫を想起する節回しが特徴的なひよたん。二人とも個人仕事を経て更に歌唱力が上がっている気がします。
加えて「一歩たりとて引き下がるな」の鼻にかかったおたけヴォイスもいいですね。間違いなくフロントメンバーがこの楽曲を支えている。
(※ここからちょっと愚痴的なあれ、不快な人は飛ばして)
ただ、「日向坂46がアンダー(選抜)制をはじめて採用した」という明確な節目かつ大事な初手の一歩に際するクリエイティヴがこれで良かったのか、、の視点で考えると疑問符がついてしまうのは正直なところです。
この曲を引っ提げてアンダーライヴを開催することにもなりますし、そこで功労者である一期生の高本彩花を見送ることにもなる(アンダラに際し12thとかソロ曲とかがあるのかもしれないけど)。
この楽曲でやりたいことは「スタイリッシュかっこいい」方面なのかなと勝手に想像するんですが、その割にサビの掛け声かわいすぎない?とかそもそもオリエンタルサウンドで合ってる?とかガールクラッシュ系は若い面子が多いアンダーでは難しいと判断したのかな?とか色々思うところがありますね。
MVに関しても、良いロケーションでお金を掛けてやってるのは伝わります。チャイナドレス姿のメンバーはみくにん筆頭で映えますし、メンバーのダンス・アクション・殺陣(さつじん)も格好が付いてる。ただリップシンクがない事から恐らく恒例の「歌詞間に合ってないんじゃないか問題」があったのではと推察されますね。(タイトルと曲だけ渡された状態で映像チームにバトンが渡ったのかな)
その「MVカッコいい」についても、格好良さの命題はクリアしつつも、それ以上のメッセージが読み取れないといいますか。「中華ロケーション かっこいい アクション」で高性能AIに渡し出力した感じというか。それならもう完全にコメディに振り切って時代劇っぽくした方が映像としての楽しみも生まれたかなとも(アンダー初手でそれやるんかい、という上記との矛盾を言っているのは承知です)。
総じてこの楽曲周りに関しては、9thの時のような「クリエイティブにまつわるチグハグ感」を覚えてしまったのが率直なわたしの意見です。
ただ前述した通り聴きどころとしてひよみくにんのボーカルは至高ですし、メンバーには7月に開催されるアンダラに向け誇り高く頑張って欲しいと思っています。そしていまはこんな感じの所見ですがこの曲でもっと驚かせてほしい、そんなパフォーマンスが観たいと思っています。音源ではいまいち、でもライブで化ける曲なんていくらでもありますからね。
(好き度:☆☆☆☆☆)
3.どこまでが道なんだ?
作曲:池澤聡 編曲:池澤聡
8th以来のユニット楽曲。
ユニット楽曲は個々のソロが聴けるので嬉しいですね。
歌唱メンバーは金村美玖・髙橋未来虹・山口陽世・平岡海月。
作曲者はけやき坂46時代の『ハッピーオーラ』を手掛けた池澤聡 氏。それも納得感がある底抜けに明るいメロ運びが特徴的な楽曲ですね。
90年代アニメソング?を想起します。イントロでタイトルロゴがドーンのやつ。テロップで歌詞出てくるタイプのやつ(AKBっぽいっていう意見も散見されてますね。あまりそこ通ってないからわかんない)。
令和にこのチープなシンセブラスを衒いなく大真面目に鳴らしてるのは正直面食らってしまうのもありますが。個人的には村内ガラパゴス的と捉えちゃう面もあります、普通に良い曲だとは思いますが。
今回のユニット、2・3・4期からそれぞれ選ばれていますがこの曲においては比較的ストレートなボーカルスタイルの子を集めたという感じでしょうか。みくにんは安定として金村・山口両メンバーの歌唱力が上がっている気がしますね。歌声に表情が付いている気がいます。
多く指摘されていますが平岡のみっちゃんが本人フェイバリットフードのあんバターを詞に冠すM4ではなくこの曲にあえて振り分けられている、というのも興味深い点ですね。
ポジティヴに未来を指し示す詞のテーマや真っすぐな曲調的にも「いやアンダー曲こっちじゃない?」とはなりましたね。それこそみくにんセンターで先頭に立ちこの曲を携えて明るくひなた坂の皆を引っ張っていく姿が観たかったかな…。
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
4.恋とあんバター
作曲:近藤圭一 編曲:近藤圭一
河田陽菜・森本茉莉・平尾帆夏・藤嶌果歩によるユニット楽曲。
作曲は『青春の馬』を手掛けた近藤圭一 氏。馬の勇ましい様とは打って変わって本曲はコミカルなサンバ調の楽曲ですね。楽曲としてかなり振り切っててこれはこれでアリ。
のっけからサンバ調のリズムや音色に合わせてひたすら「あんバター」繰り返されるのはもう笑っちゃうのよ。なんか後ろでラッパもプープー言うとるし。
でもリズム隊は四つ打ちキックに合わせてベースも激しく動いていて。上モノはサンバやってるのにボトムの部分がテクノ・ハウスリスペクトなのがこの曲の癖になる所以なのかと思います。
ちょっとPerfumeっぽいよね、「もし坂道でチョコレイト・ディスコをやったら」がテーマだったりするんでしょうか。
人選基準は「可愛い声+節回しが特徴的」なメンバーだったりするのかな。単にかわいいイメージだけじゃない気がする。
わたしの推しポイントですが、冒頭Aメロ河田さんのウィスパーな歌声がとにかく可愛い。語尾にかわいいの余韻が残って非常によいです。表題に続きBメロで前のめりなひら砲の伸びやかな歌声もアクセントになってる。
個人的な音楽好みで言うと、
ベースをもっとバッキバキにして歌メロも最小限、もっと意味不明なあんバターbotみたいな詞、みたいなテクノ歌謡にすればトリップミュージック出て良かったのではと多少。
あとはせっかく歌うまのかほりん入れるなら彼女の歌を引き立たせて欲しかったかな。この曲に関しては歌い上げちゃうと良さが損なわれるタイプの曲なので塩梅はむつかしいですが。
詞についてはうん、最近の御大差し入れかなんかでハニーデューと一緒にあんバター貰ったりしたのかな…いくらなんでも恋とあんバターを同一視する根拠が薄すぎる…
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
5.夜明けのスピード
作曲:aokado 編曲:aokado
小坂菜緒・上村ひなの・正源司陽子・山下葉留花によるユニット曲。
作曲はみんな大好きaokadoさん。aokado名義では『やさしさが邪魔をする』以来でお久しぶりなんですね。それぞれ単独だと青葉さんはA-NOTE(S-TONEと共作)名義で『声の足跡』、角野さんは『あくびLetter』以来。
「堅実な良曲」という言葉が相応しいと思いました、好き曲です。
導入から1サビ終わりまでの一連が素晴らしいですね。
フェードイン、ピアノリフからのAメロで小坂さんの儚いボーカルとともにドラムがハイハット・フィルインで入ってきてひなのちゃんに繋ぐ(なのちゃん、番組での立ち振る舞いもそうですが、歌声の面でもかなり自然体になっている気がします)、そしてここからは控えめのギターがじゃらーんとともにルートでベースが入っています。変にフレーズを動かさないのが「加速感」が出るポイントか。
Bメロでは小坂さん・河田さんのウィスパー系譜にちょいと幼さを重ねたボーカルのしょげちゃんを経て山下のはるはるはるに繋ぐ訳なんですが、ここのサビ前はるはるのボーカルが最高という話をしたいですね。それまでの各期エースが作り出した儚い空気感を彼女の伸びやかなボーカルで破壊し、暗闇から光を見出していくようなサビへの突破口になっています。まさに「夜明け」です。そしてサビの4人ユニゾンへ。
サビについても、単純にここから明るく!という訳でなくリズムは重めなんですよね。詞でも「夜明けにはもう少し時間がかかりそう」と言ってますし。しかしながらボレロ調のドラムが確かに前進している様を表し、サビ最後で「あれは希望の陽」とさらっと余韻を残した直後の間奏でそれまで控えめな存在であったギターがこれぞとばかりに弾け出す。バンドサウンドも活発になり、いわゆる秋元系王道の四つ打ちギターロックサウンドが来るんですがこれも今までの歴史を参照したうえで壮大な振りになっているのがお見事な出来。
ちなみにこの一連の流れはDメロからの間奏~ラスサビでまた登場し再度カタルシスを産んでいます。ベタだけど超すきですこういうの。
細かい音色、SEも気が利いてて良いですよね。サビでユニゾンするチープなピアノみたいなの(ポンポーンポーンみたいな)(正式名称わからん)
あとは秒針が曲中に鳴る曲わたし好きがちというのもあります(乃木坂のActually…とか)(ほか言っときながらパッと出てこん)
カップリングの渋いこの位置で評価されるタイプの曲なのは承知ですが、これが小坂菜緒センターで2ndALリード期に来てたらめちゃくちゃテンション上がってただろうなぁという思いもありますね。
余談ですが本楽曲、全体のサウンドが福原遥のこの曲に似てるなと思いました。こちらも良い曲なのでぜひ。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
6.雨が降ったって
作曲:塩野海 編曲:TomoLow
4期生楽曲。今回のセンターは小西夏菜実。
のびらじ新MC抜擢やひな誕祭での目覚ましい活躍は記憶に新しいですね。これまで彼女がセンターを務めた楽曲は、そのクールな容姿のイメージに即した楽曲(ex,月星・こん好き・イマニミテイロ)でしたが、本楽曲は明るいパーティチューンで彼女の魅力の幅を更に広げる手札になりましたね。
サビの「雨が降ったってい~じゃん!」がとても印象的。楽曲に自然な形でコール&レスポンスが組み込まれており、ライブが盛り上がる画が想像できます。
ミュージカル調のMVも素晴らしいですね。わたしこれ日向坂のなかでもトップクラスに好き映像です。あまりオマージュとかに明るくないので誰か解説note上げてくれ
楽曲面について。
全体的にファンクアプローチで、おもちゃ箱感溢れるシンセ・小気味いいギターのフレージングが掛け合わさりとても心地いいです。巷ではライブ開演前のSEっぽいとかSMAPとか色々言われてますね。嵐とかハロプロとかも。
作曲を手掛けたのは、これまで多くアニソン界隈に楽曲提供を行っている塩野海 氏。坂道系のクリエイティブは今回が初めてみたいですね。
日向坂が持つ一つのウリであるアミューズメントパーク感はアニメソングと非常に親和性が高いと思うので、もっとここを狙い撃ちして欲しいという気持ちが強いです。
TLでは絶賛傾向で概ね左に同じなんですが、「やっぱりボーカル面でもう一押し欲しいかな」が率直な感想です。言うなれば「SMAPが歌ってそうな曲なのにSMAPが足りない」という感じでしょうか。
その要因はずばり、キムタクです。キムタクが足りない。
センター小西のソロパートは数フレーズありますが、このパーティファンクであれば「ワクワクするソロボーカル」がプラスで存在すればもっとこの曲が輝くと思うんですね。Dメロとかアウトロで伸びやかなソロからのフェイクとか欲しい。
それやっちゃうとセンターを引き立たせるうえでブレるから致し方なのかもですが…。せっかく良い曲なのにユニゾンメインで「みんなでわちゃわちゃパーティソング」に終始してるのが勿体ない気がします(ソロとかユニゾン云々は今更この曲に限ったことではないですが)。
4期の課題は明確に「歌」だと思っているので、新番組のひなパレ等を通してとにかく歌唱スキルを上げていって欲しいなと。今のところは断トツでかほりんが抜けているので彼女の歌唱もっと活かせる機会があるといいんですけどね。上の人は何をしてるの?(3時のヒロイン福田)
その他も譜割が絶望的に音ハメなってないとかのあれはありますが、おちゃらけ系の詞の割に出てくるワードはまとも寄りというのは僥倖か。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
7.僕に続け
作曲:野村陽一郎 編曲:野村陽一郎
一期生の歌姫、齊藤京子卒業に際しての楽曲。
なんと今回のフォーメーションは29人での全員曲となりました。
この曲が披露された彼女の卒業コンサートは記憶に新しいです。
けやき坂~日向坂に至るグループの歩みと、そこでの仲間との出逢いを彼女のアイドル人生を通して描いたMVがこれ以上ないくらいに最高ですね。手掛けたのは安藤隼人監督。『期待していない自分』『キュン』『ドレミソラシド』などグループの代表作を手掛けていた彼からこの節目に相応しいMVが産まれるのは納得の出来。(近々の作品が『One choice』『君は0から1になれ』とか出来に不安があった感じなのは置いといて。『見たことない魔物』は良かったですが)
彼女の記録が余すことなく盛り込まれた本当に素敵な作品でした。
作曲は表題に続き野村氏が担当。雑誌インタビューでは氏が「表題曲のつもりで書いた」と述べている通りの熱量が入った楽曲だと思います。
大まかな曲調で言うと、彼の手掛けた『世界にはThank you!が溢れている』に共通するリズム(M5でも触れたボレロ風)ですね。作曲者は違いますけどそこに疾走感がある『青春の馬』のエッセンスも加えた雰囲気にも感じます。
冒頭チャーチ感あるパイプオルガンから始まるイントロ(Csus4→C?を初手で持ってくるのが最初からクライマックス感ありますね)から始まり、ユニゾンの合唱(「ラールーラーリララー」でそのまま詞に起こしちゃう御大イズムの是非はまあ)から本人のソロへ。
Aメロで彼女のソロパートから最強シンメ加藤史帆ソロに繋ぎ(京子さんと同じ尺を任されてるのに信頼を感じます)Bメロでそれ以外の一期生が合流、サビから2期も入る感じですね(卒コンのパフォーマンス観る限り3、4期は2番から合流かな)
そしてこのサビが全音で転調してますね、キーがDになってます(ニ長調、ハニデュと同じ)カノン進行っぽく聴こえますがカノンの変形っぽいです(1563ではなく置き換えの1365?)野村楽曲は使ってるコードは普遍的ですが展開がドラマチック、なのでリスナーが親しみやすいとともにそれ以上の感情を抱かせるのだと理解しています。(Aメロで小節の間に使われてるG/B→Am(デ↑デーンのとこ)とかベタだけどいいっすよね)
2Aに行くとまた元のキーに転調して戻りサビで再度転調しそのまま最後まで行くんですが、2サビ終わりからラスサビまで間髪入れず進むのが地に足を付けた形で、かつ勢いよく楽曲に先導されてる気持ちになれて良いですよね。間奏やDメロ挟まずのこの感じって最近の曲だと意外とないよね?昔ながらの歌謡曲みたいな。サビの1セクションが長めというのもあり、この形で大正解。ここは転調せずD durで突き進むのが「止まらない」感ありますよね。「誰に止められても 今舟を漕ぎ出そう」です。
グループを支えてきた功労者、
齊藤京子のラストを飾るに相応しい楽曲でした。
今までありがとう、京子さん。あなたの歌、大好きだよ。
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
総合
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
EPとしての総合力が非常に高い、良いシングルでした!
アンダー楽曲周りに多少思う所はあれど、個々それぞれが確かに輝いている作品ばかりでした。
星的には6,7が多いですけどどれも数値で言うなら四捨五入されない後半の方くらいの感じですよ、総合的にも同じ(筆者的こだわりで絶対に数字得点で評点を書かないようにしているのです、すみません)
7th『僕なんか』の収録曲が自分に刺さるものが多かったのでそこには及ばないかな、というのはありますが以降の8th~10thが何かしら奥歯に物が挟まった感想しか言えなかったのでそれを考えると比較的手放しに褒めているのでは、と我ながら思います。水準的には5thくらいまで戻ってきてるんじゃないかな…。
余談ですが自分の歴代楽曲好き度(ひらがな除く)的には
7th
3rd 4th
1st【11th】←ここ 5th 2nd
6th 10th 9th (2ndAL新曲)
8th(1stAL新曲)
といった感じでしょうか。
(8thからどうした?というのは確かになんですが思い返せばMy fansの時点でだいぶやばかった)(「ソンナコトナイヨ」のタイトル時点でという説も)
表題の『君はハニーデュー』ではボスラッシュのごとく歴代の振り付けが順々に繰り広げられる演出がありましたが、振付だけでなく作曲家も評判高い歴代楽曲を手掛けたボスラッシュの様相を呈しているのは過去作と比べてもおそらく制作陣の今作に掛ける熱量が大きかったのでしょう。
さすがに紅白落選、アルバムティザー動画に寄せられた忌憚なきコメント、諸々の数値低下により「さすがにヤバいぞ」で尻に火が付いたのでしょうか(ここまでなる前に最初からやってくれというのは)。
いずれにせよ、晴れて表題楽曲にも4期生が本隊へ合流し、それに伴い選抜・アンダー制度が導入されグループとしての変革を遂げた今、原点回帰に留まらないグループの再出発としての役割を本作が果たしているのではないでしょうか。
今後は横浜でのアンダーライブ、夏には間違いなくグループのレガシーと成り得る宮崎でのひなたフェスを控え、音楽活動以外での露出も増加している彼女たち。間違いなく2024年は再び波が来ていると感じます。
イチ音楽好きとしては、今後も年内に発表されていくであろう次作以降のシングル(EP)が本作くらい、いや、それにも勝る素晴らしいものであることを願うばかりです。
それではまた、次の記事で。
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