櫻坂46 8th Single「何歳の頃に戻りたいのか?」キョコロヒー「After you!」収録曲感想
お疲れ様です。
「誰も頼んでないのに坂道シリーズの新譜が出たら楽曲感想書くシリーズ」の最新記事となっております。今回は2月に発売された櫻坂46の8thシングル、日向坂46の齊藤京子と芸人ヒコロヒーのユニット、キョコロヒーの企画シングル「After you!」の感想文となっております。
今更ですが当noteはあくまで楽曲面にフォーカスした切り口から筆者の好き度を列挙していくアカウントなので、歌詞やMV内容についての感想は薄めです。よろしくどうぞ。
櫻坂46 8th Single「何歳の頃に戻りたいのか?」
1.何歳の頃に戻りたいのか?
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆) 作曲:ナスカ 編曲:APAZZI
今回の表題曲センターは4th『五月雨よ』以来の抜擢、2期生の山﨑天。作曲はお馴染みのナスカ。読みは「いくつのころにもどりたいのか?」
EDM的アプローチだった前作から一転、イントロ冒頭のパワーコードが鳴り響くエレキ・ナスカ印の弾き散らしピアノ・サビ終わりで鳴るツーバスなど生バンド志向が強い楽曲ですね。
楽曲全体の雰囲気はとてもスタイリッシュで、既曲で言うと『BAN』に近い構成。比較したときに、この曲はとてもサビメロが分かりやすくポップ。
かっこいいイントロとダウナー気味なA,Bメロからの跳躍でサビのキャッチーさが映えてる気がします。筆者的には全体を通して「この展開からそのメロに行くんだ!?」を多く感じた曲でした。これを意外性と捉えるか、ややごちゃついてると捉えるかは個人の好みかもしれません。
過去曲と比べ"夢を見るなら 先の未来がいい"と明確な希望を謳っているのがとても好きポイントです。
欅→櫻に改名して楽曲の方向性が変わりましたが、特にここ2年くらいはそれが顕著に出てると思います。
やはり『五月雨よ』の時も感じましたが、山﨑天センター曲には「王道いい曲」を持ってきてる気がしますね。
詞に関してもスマホ見てる云々、グラウンドでピッチャーゴロ云々…と御大特有の手癖、俗っぽいワードはありますが"聖徳太子か!"ほどの破綻はない「見れる」詞で「余計な事をしていない」楽曲です。筆者的にもとても好き曲。
ベタだけどラスサビ転調からのアウトロ最高。あと2Bのまつりちゃんソロ最高。
また櫻坂は色々な観点から「楽曲ファースト」のポジショニングを取っているグループだと思うのですが、強化点を挙げるとするならやはり「歌」かなと。天ちゃんは先日公開されたTFTからも分かるようにメキメキ歌唱力上がってますし、絶対音感を持ついのりちゃんや前述の2B無双まつりちゃんなど戦力は確実に持っているグループです。
選抜メンバー個々にソロパートを与えている点からも全くそこに対してのアプローチが無いとは言いませんが、メロがはっきりしてるこのタイプの曲ならもっと歌を押し出していい、印象的な所でフォーメーション関係なくもっと歌えるメンバーを前に出していいと思います。
2.何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)作曲:温詞 編曲:TomoLow
略称「なんラブ」でいいでしょうか。そして筆者は曲タイトルに全角スペース使うの許せない派ですがそこはまぁ一旦置いておきましょう。
今シングルの3期生楽曲。センターは村山美羽。
作曲がセンチミリメンタルとしても活動している温詞、編曲が坂道ソングクレジットオタクにはお馴染みのTomoLowとつよつよ編成となっております。
結論から言うと、とても好き曲です。今EPではこれがイチ推し。恋愛の高揚感や付随する切なさを四つ打ちポップでキラキラに歌い上げています。いままで櫻3期楽曲はそこまで刺さらなかったんですがこれはもう好みど真ん中ですね。センター村山ちゃんのボーカル、素晴らしいです。低音がとても綺麗に効きまくってる。
温詞作のエモーショナルなメロ、そして大げさなまでに煌びやかな編曲という編成は同氏作曲の『その日まで』にも共通していますが筆者がこちらに思った"こってりバタつき感"が見事に解消されてるんですよね。強いメロに負けない強いオケぶつけて曲の勢いを止めずにパワー系で突き進んだ結果バランス取れてる仕上がりになってる。やっぱりTomoLowってすげぇや。
筆者は多人数アイドル楽曲においてのユニゾン歌唱乱発に対しわりと苦言を呈してる立ち位置なのですが、この楽曲のオケ、特にサビは間違いなくユニゾンじゃないと出せない迫力ですね。
そしてこの楽曲、とにかくMVが良い!!
監督は『制服のマネキン』『サイレントマジョリティー』で坂道ファンにも知名度が高い池田一真。近々だと『Monopoly』にも同様の感想を抱きましたが「アイドルの可愛さや魅力を担保しつつアート的にも美しい映像」を撮らせたら屈指のクリエイターですよね…TAKAHIRO振付もこれ以上ないくらいハマってMV含むとこの楽曲、めったに当noteで出さない☆10を付けたいくらいの完成度です。
主人公がいわゆるキャピキャピ系じゃない村山ちゃんなのも凄いいいんですよ…いい曲にいいMVがついて更にその魅力を増幅させるという好循環。アイドルってこうあるべき。
3.油を注せ!
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)作編曲:辻村有記・伊藤賢
読みは「あぶらをさせ!」。わたし最初"こぼせ"って読んじゃった。
今回のBACKS楽曲センターは武元唯衣。残念ながら選抜から今回外れてしまいましたが、バラエティ方面などグループを盛り立てている彼女に対する敬意を感じます。
作編曲はこれまで櫻坂・日向坂に良曲を提供し続けている辻村有記・伊藤賢コンビ。この時点でもう勝ちが確定されています。
そして聴いてその通り、洗練されたトラックで間違いないクオリティです。Bメロの「wow」男声シャウトはアガりますね。楽曲に組み込まれてるコーラスはライブでやったら楽しそう。
その中で、表題もですがこの楽曲も意外性があるなと感じました。
ある程度音楽を好きで聴いているリスナーなら「この展開ならこう来るかな」を聴きながら予想していると思いますが「あっそう来るんだ?」的に進んでいく曲内容です。
イントロは既曲で言うと『Dead end』『コンビナート』のような勇ましく高揚感があるホーンセクションなのですが、以降この音色はほぼ鳴らず、全体的にクールなダンストラックが大半を占めます。形容するならイントロだけ赤い炎、あとずっと青い炎みたいな(表題はどっちかというと逆)。このアンバランス感がとても耳に残るんですが、イントロのブチ上げテンションのまま辻村伊藤コンビが進んだらどんな曲になったんだろう…という思いもあり。これはこれで良い曲だし面白くはあるんですけどね。
4.真夏に何が起きるのかしら
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)作曲:春行 編曲:あらケン
山﨑天、小島凪紗、向井純葉によるユニット曲。
お嬢さまみたいなタイトルから繰り出される爽やかなギターロック。エレキの音がゼロ年代後半~10年代前半のアイドルソング(俊龍楽曲とか)で散々聴いた気がする懐かしみ。Aメロではボーカルをなぞるように連符重ね、サビでは余韻を残すメロの間を埋めるように掛け合うフレージングがとても印象に残ります。
間奏終わりDメロで急に違う曲みたいになるの面白いですね、ティザーで聴いた時はこの王道四つ打ち路線なのかと思いました。
とにかく天ちゃんのボーカル力が向上してる。純葉ちゃんの甘い唯一無二な感じもアクセントでいいですね。こんなぎちゃんも歌声かっこいい。
実はけっこうスルメ曲、1日置いてまた聴くとすごい癖になるタイプの曲です。
5.心の影絵
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)作編曲:YSU・今村良太
森田ひかる・谷口愛李・山下瞳月のユニット曲。ちいかわトリオ。
ちょいとソウルめなR&Bですね、大人めなダンスチューン。過去曲で言うと『Plastic regret』みたいな「こういうの櫻のEPに1曲あるよね~」な楽曲。
こういうタイプのアイドル曲って雰囲気重視でメロが弱くなりがちだと思うんですが(偏見)がっつり歌ものとして成立してますね。良い曲。
ラスサビ前に語りパートがあるのでファンの方嬉しいんじゃないかな。
6.恋は向いてない
(好き度:☆☆☆☆☆)作編曲:藤田卓也
藤吉夏鈴・中島優月・村井優のユニット曲。
前曲に続きソウルファンクな楽曲ですがこちらのがジャンルものとして純度が高い感じはします。なので好みが分かれそう、好きな人は好き。
めちゃくちゃ夏鈴ちゃんのボーカルが目立ってますね、詞のテーマと相まって悲壮感が増してる気がします。
藤田さん、ポップなアニソンを手掛けてるイメージが強いんですがこういうのもイケるんですね。坂系ではチルっぽい『アトノマツリ』を手掛けている方。
7.泣かせて Hold me tight!
(好き度:☆☆☆☆☆☆)作曲:温詞・TomoLow 編曲:TomoLow
選抜メンバーになんラブの作曲陣という座組。
「チャレンジ曲枠」と言いますか、面白いことやってる~~という印象。
往年のモー娘。オマージュみたいなタイトルなのでそういう歌謡チックかなと予想してたら思いの外硬派なダンストラック。アラビアンな音色も取り入れてめちゃくちゃ癖が強い。それを良い感じにエッセンスとして取り入れ総合的に「かっこいい」で纏めているのはアレンジャーの力。TomoLow神を崇めよ。
総合
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
改めて他坂道との楽曲クオリティを比較したとき、櫻坂の楽曲に関しては明らかに力の入れようが違うように感じますね。フォーメーション人数を絞っているのもパフォーマンス優先の志でしょうし。
総合的に、表題と3期曲のインパクトが強くそれらを補完する残りの楽曲という構成のEP。平均値はとても高い良質の作品なのですが、もっと刺してくれるパンチ強めのがあと1曲あれば嬉しかったなぁ…という気持ちも。
ただとにかく各曲がこだわり抜かれてる。「クリエイティブでオタクを殴りに行こう」を感じられて非常に嬉しいです。6/7曲が3分台でコンパクトに終わるのも良いですね、それでいて曲の密度もちゃんとありますし。
伊達に上り調子じゃないな、というグループの勢いを感じるEPでした。
キョコロヒー「After you!」
おまけ的にこちらも取り上げます。
1.After you!
(好き度:☆☆☆☆☆☆)作編曲:柳沢英樹
まさかの「キョコロヒー」が番組発ユニットとしてCDリリース。
スタイリングやダンスパフォーマンス、その脱力感から「PUFFYぽい」なんて言われてたりしますね。
筆者、あまり詳しくないんですがPUFFYってこんな感じなんでしょうか。奥田民生とか陽水曲をゆるふわでやってるというイメージ。
「でもそれにしてはこれ、曲が悪い意味でちゃんとしてないか?」というのが世評に対する自分の感想ですね。やたらうるさめのトラック、「バン!バン」鳴るオケヒ、パーカーで棒立ちの2人inMステの画は初見めちゃ笑っちゃったんですが。
「半端にJ-POPとして成立しちゃってる」結果ダサくなっちゃってるところが強いんですよね…詞も上辺だけ切り取ったキャラソンみたいな感じですし。よくも悪くも"番組発でこの2人がメジャーで曲を出す"ということはこのラインは商業的に最低必要ということなのか…
脱力系ならもっとラップとか入れたりリズム崩したりしてさ、HALCALIとかさ、今でいうならchelmicoとかさ、あーいうの下さいよと思ってしまうんですが結局秋元プロデュースならこうなるしかねぇんだよな…
曲自体は聴きなじみ悪くはないので作業用とか移動用BGM程度に流すなら言うほど嫌いじゃないです。
2.まぬけのうた
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)作詞:ヒコロヒー 作曲:ツキダタダシ 編曲:野中"まさ"雄一
まさかの超良曲。エレピに癒されるワルツ調の楽曲ですね。
ヒコさん本人作詞というのが効いてますね、そして歌声かわいい。
本人が中島みゆき好きというのもあるんでしょうか、リスペクトの強い詞。「平凡な自分」を肯定しつつ「同じようにまた平凡な、わだかまりがあるあいつ」も赦しながら生きていく、を描いた人間賛歌であり労働賛歌でもある。
ヒコロヒーソロかと思いきや、ラスサビ前から京子さんのコーラスも入ってきてキョコロヒーの楽曲になってます。こっち表題でいいじゃん、ピクミンの曲みたいに疲れた人に刺さるよこれ。
3.月下香
(好き度:☆☆☆☆☆☆)作詞:齊藤京子 作編曲:ヤナガワタカオ
本人作詞楽曲。曰く「地獄みたいな曲」とのことです。
自分は未見なのですが、京子さん主演の「泥濘の食卓」をイメージして書かれた詞なんですかね。視聴者の方だとよりこの曲に対する解像度が上がるのかも知れません。女の怨み節、といった感じでしょうか。
楽曲としては、本人のイメージに即した昭和フォーク歌謡ですね。個人的には京子さん色んなジャンル歌えることは証明済みなのだから作曲サイドがいつまでそれに引っ張られてるんだとは思うのですが…
メロがすっと入ってくる歌謡曲で本人の歌唱も流石ということである程度のクオリティは担保されるのは確定事項、故にもっと「その先」の京子さんを聴きたい。クリエイティブ陣もっとなんとかしてくれよというお気持ちです。
あと『孤独な瞬間』の時も思ったけど無理やりレトロ歌謡の2Aセクションで今風(と作り手が思ってそう)なトラップぽいリズム無理やり挟むの、あれ本当ダサいからやめた方がいいと思う。
以上、2作品レビューでした。
3月には乃木坂、4月には日向坂の新譜が出ることが発表されたので今年も引き続き誰にも頼まれてないですが坂道シリーズの楽曲が出たら適宜感想note書いていこうと思います。
それでは、また次の記事で。
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