日向坂46 10th Single『Am I ready?』感想
お疲れ様です。
今回の記事は、誰にも頼まれてもいないのに自分が日向坂46というグループを知ってからの5thシングル『君しか勝たん』より続けている楽曲レビューシリーズです。近々は櫻坂、乃木坂にも手を伸ばし始め謎の使命感で後戻りできない状況を自ら作ってしまいプラス他記事の遅筆もあり1年前くらいからこのnoteが実質坂道楽曲レビューブログみたいになっております。助けてくれ
1.Am I ready?
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
待望の上村ひなのセンター楽曲。
グループとして大事に大事に育ててきて、しっかりと導線を張った上での起用なこともありこの采配は誰もが認めることでしょう。同時にグループとしての歩を次に進めるためのフェーズ移行という気がします。地道に成績残して満を持してフロントの松田好花さんもおめでとう。
感想。
「(表題楽曲としてのトータルクリエイトという意味で)良いのではないだろうか…!!」という評価に落ち着きました。
前作『One choice』は楽曲として悪くはないけれども、丹生ちゃんセンターであえてこれをやる意図が分からない。MVや振り付けとの親和性もない。楽曲に全く寄り添ってない取って付けた浅いマーケティングが悪い意味で「プロの仕事」という感じで結構ぼろくそに言っちゃったんですが、
恐らくその他大勢おひさまからも同様のフィードバックが運営さんにあったのかと察するくらい前作でのファンの不満を一つ一つ潰していったような今作にも思えました。
全体的に「上村ひなの」に即して作られた『Am I ready?』。キュートポップな楽曲に、SNS映えを意識したであろううさぎダンスをはじめぶりぶりな振付。パステルカラーがお洒落なジャケットワークと衣装。
そして、何より「日向坂46」が可愛く撮れているMV!!!これは当たり前に見えて実は今まで意外となかった気がする(と個人的に思っている)。下手したらグループ全体のMVだとドレミくらいまで遡るんじゃない?的な。前作を踏まえてかドラマなしですぐ曲から入るのも観やすい。
そして、楽曲とMVの親和性が高くて非常に良いですね。今までの作品とはアプローチが違う画で、韓国のクリエイターが多数参加しているとのこと。
ぐいーんと回るアングルは迫力あって全然いいじゃん派です。当方映像のことは全く分かりませんので雑感想。
じゃあ楽曲面だけをくり抜いて考えた時。
ここまで完全に褒めだったのですが冒頭評価☆6だったのはそういう感じ。あくまでMVと合わせて聴いた時には良質な作品という印象で、単体では捉えどころが少ないキュートポップという感じ。音楽単体でめちゃくちゃリピートしたい、というタイプの曲ではなかったかな…。
各所で言われてる「K-POP」感については半分同意、半分否定でMVのバイアスが掛かってるとこのが多いのかと。あえて言うならNiziUや昔のKARA(日本デビューで出してたシングル曲)みは自分も感じました。むしろ楽曲自体はEW&FのSeptemberとかそっち系統(70~80's?)な気も。それをオリエンタルに鳴ってるSEがコーティングしてる感じかな…?と。
今回、作曲がSTU48の『風を待つ』を手掛けた大河原さんということで期待してたのですが、いまいちメロがハマらなかった。イントロかと思った出だしのFuFu~はサビだったし、稼ぎどころのDメロもテンションが上がり切らない。あとは曲全体のテンポがもうちょい速くても良くない?と思いました。曲展開ももっとギュっとして3分くらいで終わって良かった(これは完全なる自分の好みですが)。ただ何はともあれ楽曲として悪くはないですしMVその他諸々で加点方式、良質な表題だったと思います。
詞はうん、珍しく女子目線で良かったね。
それとこれはいちゃもんレベルになってしまうのですが、そのK-POP感であったり、MVの推しの子風サムネであったり「偉いおっちゃんが頑張って若者向けの要素考えてみました、お金使ってそれ作りました」的な生産者さんの顔が見えるのはちょっと否めない。何もかもピントずれてた前作よりはましだけど。
そして当アカウントの予想は外れました。
夢中で速く駆け抜けたかったです。
2.見たことない魔物
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)
今回の共通カップリング曲はニューカマー4期生楽曲。
隣の坂もこの手法ですし新人売り出しに力を入れていますね。
センターは藤嶌果歩さん。人気的には順当の起用でしょう。
安心、安定の野村陽一郎さん楽曲とのことで安心、安定の出来栄えです。
夏曲!!!って感じですね。音が非常に爽やか。
MVだけの演出かと思いきや蝉の鳴き声を想起させるSEも入ってたり。
彼女たちのエネルギーが楽曲だけで伝わってきます。民族チックに刻むビートからもドレミを想起したりなど、MV含めキュンドレミ時代のセルフ・オマージュ(回帰ではなく次世代に託すという意味で)と受け取りました。
サビの「ぜっ〜(ぜっ〜)たい〜(たい〜)」「ぼく〜(ぼく〜)らの〜(らの〜)」で追いコーラスしたくなりますね。声出しOKになったので絶対オタクくんがこぞってライブでやりそうな気がします(そうなる前に原曲音源で予め入れて欲しかった)。
あとは他の方も触れてますが野村印の「アウトロなしでサビメロで潔く終わる」が今回も踏襲されてますね。
キーはやや抑え気味な感じがありますが、詞のひとつひとつを丁寧に紡いでいくようなメロですね。これは藤嶌さんの歌も寄与していることでしょう。それにクールなトラックが乗っててとても良いです。here~でリードシンセがハイテンションに鳴るのはこの曲で一番のフックでしょう。
強いて言うならこのリードシンセの出番がもっとあっても良いのでは?と思いました。打ち込み主体で結果他のセクションが落ち着きすぎちゃってる気が。
加えて低音も弱めなので、いまいち「田舎の商店街や漁港のおんぼろスピーカーで鳴ってても違和感がない」に聞こえちゃうのがちょっと勿体ないなぁ…とも。
詞については「見たことない魔物?どゆこと?オタクの暗喩??」というタイトル発表時の感想でしたが、蓋を開ければ彼女たちの今に即した応援ソング。「魔物のような困難にぶち当たっても逃げずに前へ進もう、僕はここにいる」と高らかに歌っています。「魔物=ミーグリで会うやばオタク」の線はまだ捨てきれてませんが。(そこら辺も踏まえて「アイドル」という先の見えない活動について魔物と比喩しているのでしょう、というマジレス)
振り付けも躍動感あっていいですね。ブルラズで初登場感、シーラカンスで優雅に漂ってからのコレ。最後のキメがわんちょい感あって「前に見た!」とはなりましたが可愛いのでOKです。
また自分では気付かなかったのですが冒頭のメロが「荒野の七人」オマージュではないか?との感想がちらほら。なるほど確かに。
3.接触と感情
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
意外と今までになかった感じの曲。
"今までは京子さんセンターでやってた曲をなのちゃんでやった"印象。
「走り出す瞬間」のシリアス楽曲から説教臭さを抜いて坂道楽曲のできる範囲でオサレを詰め込み、それが正しく舵を取れたみたいな。
上モノは結構ごちゃごちゃしてるけどリズムが一歩引いてるトラックが絶妙なバランスで成り立ってますね。すっとぼけた感じのシンセが好きです。
表題ではややキーが苦しそうだったなのちゃんソロが合っててめちゃくちゃ良い。そしてブリッジに京子さん置くと超強い。中継ぎに山本由伸使ってる的な。
詞はミーグリのこと言ってるんですかね。
4.骨組みだらけの夏休み
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
イッキサン曲。全まなふぃが待ち望んだふぃさんセンター。
初期乃木坂感?広末感?令和にこのモータウンを衒いなくやれるのは坂道の良いとこでもあるよね、きもちくしてくれてありがとう。
作曲は美メロに定評があるyou-me(成瀬英樹)さん。AKBアンチだった思春期でもBINGO!は良い曲だと思ってました。
普通ならサビ後半の「もうここには来られないね」で音域上げたがりだと思う(自分ならそうする)んですがあえてそれをしないのは夏休みのグダグダ感を表してるんですかね。
そして1番では大目に見てた男声コーラスが2番以降いい加減しんどいんですがこれはもう利権なんでしょうか…
5.君は逆立ちできるか?
(好き度:☆☆☆☆☆)
2期生楽曲。入りのリズムでヘイオヒ始まるかと思って一瞬身構えた。
この手のコミカルな楽曲で富田さんセンターというのは裏の裏、というか一周回った感じなんですかね。
ニャーニャー言うてますしセリフ多めでライブ披露で化けそう。猫だけに。
自分の所見としては「曲として成り立たせようとしてるその感じが逆にダサくなってない?」という感想。
それやるならA,Bメロでもっとトーキングメインで無秩序にして急にサビでがっつり歌い出してメロが引き立つみたいな構成どう?と素人意見。
詞は「僕ってMなのか」で閉口しましたが最後の小坂さんのニャンがかわいいので全部許された感じがあります。
音源でわーわー言うてても実際ライブでこれ観たら「かわいい~~~~」になってるのは容易に想像できます。オタクの悲しい性。
6.愛のひきこもり
(好き度:☆☆☆☆☆☆)
3期楽曲。みくにんセンターですね。後はまりぃだけ。
良バラード。イントロで時をかけるのかと思ってびっくりしました、転調のやり口がレトロなアイドルソングみありますね。過去曲で言うと沈黙した恋人の雰囲気にアデイショナルタイムのAメロを足したような。
歌唱メンバーが4人だと必然的にソロが目立ってて良いですね。
この曲もいいですがみくにんは伸びやかな歌声持ってるので溌溂かつキー高めのポップロック歌わせてほしいなぁと思ってます。
ちなみに作曲はロックバンド・100sとしても活動していた山口寛雄さん。この方の作品ではw-inds.の『TRIAL』が大好きです。
7.ガラス窓が汚れてる
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)
坂道クリエイトではお馴染みの杉山勝彦作曲案件。日向ではお久しぶり。
そして"いつかは間違いなく来ると思ってたけどこのタイミングか"な河田陽菜さんセンター楽曲。当アカウントでは本曲がベストソングです。
ひらがな時代を想起させるシリアス路線ですね。焦燥感のある曲調に無機質なピアノリフが耳に残ります。キー設定も全体曲としてはそれなりの難度で、楽曲に対してとしきょんすーじー筆頭に実力者がユニゾン歌唱の中で抗って闘っている感じ。
楽曲の雰囲気として、「ときめき草」でもし日向坂がデビューしていたら4thシングル表題とかでこの曲が来ても違和感ないかも知れません。
8th月星とも同じ系譜ではあって、「良質のカップリング」として評価されるポジションの現位置がベストかなと思うのでこれじゃなくアムアイが表題になった理由は納得。
それと本楽曲、MVと配信でけっこう音が違う気がします。全体的にベースがブリッブリで好き勝手暴れてるんですがMVで聴くとそれがちょっとスタンドプレーになってる気がするんですよね(それが良いという人もいるかもですが)。配信買ったのを聴くと全体的にベースの音が中心から横にずれてその枠内で暴れてる感じでスマートに聴けるというか。全体的にギターやストリングスなどの上モノがMV音源に比べ鳴ってるゾーン広い気がします。自分の気のせいですかね?MIX等は詳しくないので有識者教えて。
詞に関してはそもそも自分、大人に抗う的な「欅坂」路線が好きじゃないんですよね。ひらがな曲も詞に関しては準じて。反抗テーマで「学校」を思わせるワードが出てくるのはいい加減うんざりします。もう尾崎も尾崎に憧れる学生もおらんのよ。
MVもドラマ仕立てで面白いですね。
「ちゃっかりトラブル現場撮ってる京子さん」
「ミクティーが圧力掛けたとしか思えない丹生ちゃんとチャリ二人乗りシーンの謎長回し」
「スマホ見運転京子さんによりキャップ死亡→ゴミ捨て場へ」
「逃亡者金髪ウィッグこのちゃん」「アウトローでも画になる小坂さん」が自分的見所です。
あと余談ですがこの曲、サビがなんかデジャブだったんですが正体はこの曲のAメロでした
総合(☆☆☆☆☆☆)
全体的に粒揃い。7thでピークに駆け上がり、8thで急落し、9thでなんとか持ち直しを試み、今作10thでちゃんと立ったという感じ。なので星6寄りの7、という評価です。前述したとおり、前作わんちょいが色々と継ぎはぎの表題だったのを修正、改善してくれたという事に対し支持したい、という感情ですね。
また今作、「新体制までにやり残したことやったろがい」の気概を感じます。新世代センターなのちゃんもそうですし、なかなか陽の目が当たりにくい功労者であるまなふぃ期別センター、全体曲のセンター候補である河田さん登用もそう。楽曲的にも今作は過去のEPよりも幅が広く、「これだけ色々用意したからおひさまどれかは刺さるやろ」のバイキング形式な志で作られてる感はあります。勿論グループとしての枠を広げるため、というのもあるでしょうが。
そしてここからは当アカウントの妄想ですが、次作から4期生含めた選抜制導入、このシングルはそこに至るまでの準備期間かつ踏ん切りとなったような気がします。表題のファンシー感に対してやってることは実は相当重いのかと。
個人的にはメンバー卒業による22人体制の終わり、もっと個人的には自分のライフステージの変化などで「日向坂に対する関わり方」が変容しフラットな目線でグループを眺めるようになったので、当初は否定的だった4期投入も今では超肯定的でむしろこのマンネリ感を早く打ち破ってくれ、とすら思っています。
卵公演を終え、では次のステージは?となった時に明確なものが曖昧な今。それはキャパを増やした国立競技場での公演なのか。はたまた"ハッピーオーラ"への回帰なのか。運営、メンバー、ファン。それぞれが”日向坂らしさ”もしくは”日向坂に自分が求めるもの(と現実に提示されるもの)”に振り回されている気がします。
自分ごとで言うならば、「コロナ禍前に『青春の馬』でグループが掴みかけた”君への応援”」を強くこのグループへ希求しています。それが今の日向坂に合うのか、と言えばそれはまた別の問題ですが。
迫りくるグループの変容、そのタイムリミットに対して本作は「Am I ready?」と問いかけているのかもしれません。
それでは今回はこんな感じ。
今回初回盤買ったので近いうちに個人PV感想第二弾の記事も書きます~、
では、また次の記事で。
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