結婚が立ち消えになった話【中編】
婚約破棄をした友達を数人知っている。
彼女たちが精神的に病んでいたことも知っている。
当事者になって思ったのは、彼女たちはすごいということだ。
婚約破棄から立ち直り、今では結婚しているのだ。
人って、どれくらいで立ち直るっけ。
***
彼と離れるまでに、私は本を読み漁り、なんと生まれて初めて母親に「彼」の話をした。
「結婚しようと思ってる人がいるんだけど。」と切り出したときの、母の嬉しそうな顔が忘れられない。
そのあと、わたしはすべて話して相談をした。ボロボロ泣いてしまった。
母の口から出た言葉は意外だった。
「〇〇ちゃんは、その人のこと好きなんだよね?だったらいいじゃない。」
・・・
・・・
好き・・??
相談所で会ったし、キスすらしてない。
好きかな?好きじゃないかも。でも結婚するにはいいと思ってる。
黙ってしまった私に母がかけた言葉は意外だった。
「好きじゃないと続かないよ。」
父と母は見合いで結婚した。
だから、そこに愛はないのかと思っていた。
だって仲良くないし。いつも喧嘩してるし。
わたしが生まれたことによって機能している仮面家族だと勝手に思っていたが実は違ったらしい。
ママは、パパのどんなところが好きだった?
絞り出した言葉は震えていた。
わたしの目からは、涙がぼろぼろ垂れていた。
母は、どうして父を選んだのか教えてくれた。
父が乗っていた車がかっこよかったこと、身長が自分より高かったこと、ドライブが好きなところ、ご馳走してくれるところ、、、
普通の若者の恋愛みたいだった。
母は一通り話すと苦笑いしながら「こんなくだらないことで決めちゃった。でもそれでも楽しかったし、好きだったよ。だから、○○ちゃんも、ちゃんと好きな人と結婚したほうがいいよ。」
そこまで聞いて、わたしの結婚は間違ってるのかなぁとぼんやり思った。
好きかどうかなんてキスもしないでわからないよ。
でも、喉から手が出るほど欲しかったものが目の前にある。
わたしの中の天秤はぐらぐらしていた。
彼と交際をやめるか、彼と籍を入れるか。
わたしは、涙でぼんやりする頭をフル回転させた。
半年も時間を使ってしまった彼と別れる?
無理。
子供に遺伝したら?
無理。
両方無理。無理。
結論はすぐには出なかったが、彼にはわたしが悩んでいることを知って欲しかった。
ない頭を使って、わたしはある一つの案を思いついた。
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