あれから5年
何かさせなきゃ!もう2歳なんだから!
今から5年前、息子が2歳になって幼児期に入りいろんなことができるようになったり、おしゃべりも上手になってくると、「赤ちゃん時代は終わったのだ、これからは赤ちゃんとしてのお世話だけしてればいいわけじゃない、教育もしていかなきゃ!」と、新米ママの私は張り切っていました。微笑ましい、あの頃の頑張っていた私!(苦笑)これは前回の種の話よりずっと前のことです。
しかし、いざ何か習い事、と探してみてもこれといって息子に合ってるなと思えるものがありませんでした。若い頃にヨーロッパのおもちゃに携わる仕事をしていたせいで、幼児教育には若干の興味があったのでしょう、どうもカナダの一般的な教育志向には合点がいきませんでした。早ければ早い方が、多ければ多い方が、というような消費的な思想が根底にあるような気がしてなりません。そしてもちろん、プラスチックやカラフルな色に囲まれた環境。私の美的感覚に合いません。
あ、そうだ!あれだ。
と、おもちゃの仕事時代の記憶が蘇り、私は近くにシュタイナー学校がないか調べ始めました。シュタイナー教育、日本でもかなりマイナーですがここ最近は幼稚園などは増えてきているようですね。100年ほど前にドイツのタバコ工場でルドルフ・シュタイナーというオーストリア人の哲学者が始めた学校です。当時の私は、シュタイナー教育といえば木やウールといった自然素材の美しいおもちゃ、優しい色のぬらし絵、子供のファンタジーを大事にする教育、7歳まで文字を教えない、というくらいの浅い知識しかありませんでしたが、有機的な環境を求める気持ちが自然とシュタイナー学校へと繋がったのです。
そして、バンクーバーにもVancouver Waldorf Schoolがあるこが判明しました。英語では最初にシュタイナー学校ができた地名をとって「Waldorf」(ウォルドルフ)と言います。余談ですが、日本ではシュタイナー学校とかシュタイナー教育といいますが、シュタイナーの理念に基づいて作られる人形はなぜかウォルドルフ人形と呼ばれます。不思議ですね。
親子教室という出発地点
Vancouver Waldorf Schoolは2歳児から通える親子教室から高校12年生まである私立学校です。私は早速2歳の息子を週1回の親子教室に登録しました。そして、学校から連絡があって、先生と教室で面談をしました。
そこは私の理想の空間
一歩教室に足を踏み入れた瞬間、私も主人も「あ、これだ!」と心が踊りました。木や布、フェルトのおもちゃは手作りのものが多く、大人の私も思わず触りたくなるものばかり、そしてミツロウやパンなどの優しい香りが部屋の中に満ちていました。細かいことですが商業的なものはほとんどありませんでした。ろうそくを灯すのに使うマッチの箱も綺麗なぬらし絵の紙で包まれていてロゴマークや文字が見えないようにしてありました。そしてプラスチックを極力省く努力がされているのが分かりました。子供たちが使う食器ももちろん陶器です。その部屋に入るまで私は気づきませんでしたが、プラスチックがないというだけで、なんと心が落ち着くことでしょう!小さな子供だからこそ、本物に触れさせたいという私たちの希望にぴったりでした。
そして、この親子教室を担当するブランカ先生と初の面談をしました。ブランカ先生には結局2年間親子教室でお世話になることになりました。息子にとっても、私たち親にとっても、偉大な存在で本当に多くの素晴らしい教えを受けることができました。この写真は先生に許可を得て撮らせてもらった親子教室の室内の写真です。
子供騙しは通用しない、そう教えてくれる室内です。正直授業料は安くなく、家からもかなり遠かったのですが、私達は迷うことなく入学を決めました。そしてここから、日本語の親子教室を開催するさゆり先生とそこに通う日本人家庭の皆さんとも繋がっていくことになります。
全てはこの部屋から始まった。今でも大事な思い出です。そして、これからブランカ先生やさゆり先生から教わった素敵な教えも、少しずつ紹介していきたいと思っています。