ど根性チューリップ
2歳の娘が、チューリップをぶち折った。
蕾が大きく膨らみ、明日にも咲きそうだった。
大事な人からいただいた苗だったので
本当はとっても悲しかったのだけれど、
娘はころんだ先にチューリップがあっただけで
わざとじゃないことは明らかだ。
足を少し擦りむいて、涙ぐむ娘に追い打ちはかけられない。
私は仕方なく折れたチューリップを切り取り、
水切りをして何とか花瓶で花を咲かせたのだった。
さて、そんな思い出のチューリップの色も忘れた5年後
突如、植えた覚えもない真っ赤なチューリップが咲いた。
毎年、春になると葉だけがひょろひょろと生えて
一向に花どころか茎も伸びず枯れていくものがあり
「チューリップに似ているけど何だろう?
探偵ナイトスクープに送って調べてもらおうか」
なんて冗談を言っていたまさにその場所である。
5年越しに咲いた花はわずか3cmくらいの大きさで
茎の長さも10cmほど。
チューリップと思えないくらい
小さな小さな花だったが思いっきり咲いていた。
その日はちょうど末っ子が幼稚園初登園の日で
私からすると7年ぶりに自分の時間を取り戻した日でもあった。
「乳幼児の子育て大変だったよね、お疲れ!」
と、私と同じく乳幼児に大変な目に合わされたチューリップにお祝いしてもらった気がした。
幼稚園より前にも人に預けることはできるし、
幼稚園に行く時間もそんなに長くないし
夏休みとかは元通りなんだけど
それでもやっぱり、誰にお願いしなくても
何の手続きもしなくても、
オートでフラットに自由時間が手に入るのは
とんでもない開放感なんだ。
子供が大好きで幼稚園のときは寂しさすら感じてる私すら
やっぱりこの開放感はたまらない。
ほんの数時間でも自分でコントロールできる時間があるのはめちゃくちゃ幸せ。
全国の、新入園児のお母様方、本当におめでとうございます!