映画『祝日』公開をきっかけに、各都道府県の映画館数について考えた!
インターンを始めてから初めてのラビットハウス配給邦画作品
ラビットハウス配給作品の映画『祝日』が2024年5月10日(金)に富山先行公開、5月17日(金)にシネマート新宿ほかで全国順次公開いたしました。
監督の伊林侑香さんは富山県富山市のご出身。『祝日』の撮影も全編富山県内で行われています。舞台となっている射水市には、私も数年前に訪れたことがあり、その美しさに感動したことを覚えています。
私にとって、この『祝日』がインターンを始めて最初のラビットハウス配給の邦画作品公開の機会でした。「富山先行公開」という取り組みや、SNSで富山県の方々が本作の応援投稿をして下さっている様子を目にして、「そうか、邦画ってこういうパワーも持つことができるんだ」と感じていました。
各都道府県間で映画館の数にとんでもない差がある現状
大学で映画の上映会を企画・開催した経験から、「映画館という場で同じ映画を観る時間を他者と共有できること」「映画を起点としてコミュニケーションが生まれること」はとても素敵なことだと感じ、映画に魅了されるようになったn子。
ある映画の評判をSNSで見て、「この映画は自分に刺さるかもしれない」と思って観に行ったり、映画を観終わった後に他の人の感想を観て同じように心動いている人を見つけたら嬉しくなったり。スクリーンと一対一で対峙している時間だけでなく、このようなスクリーンの外の広がりも映画鑑賞の魅力の一つであるなあと私は感じています。
……というような想いを何の疑いもなく抱いていたのですが、インターンを始めて以降、そもそもこうした機会はどこに住んでいる人も同じように得られるわけではないのだということを認識するようになりました。よほど大規模な映画でない限り、限られた都道府県でしか上映されていない。また、上映される場合も東京以外の都道府県では一ヶ月以上先の公開になることもある。今は配信によって映画が手軽に見やすくなっているとはいえ、「劇場公開中」というムーブメントに乗ることのできる人は全国の一部の人に限られてしまっている。
一般社団法人日本映画製作者連盟のホームページの日本映画産業統計には、映画にまつわる様々なデータが掲載されています。
例えば、2023年の映画公開本数は邦画と洋画を合わせて合計1232本なのだそうです。
掲載されているデータの中には、各都道府県のスクリーン数のデータもあります。スクリーン数の上位から順に見てみると、1位の東京都は413スクリーンあるのに対し、一番少ない高知県、鳥取県にあるのはわずか11スクリーンです。
1232本が公開されていた2023年、1年間を約52週として単純計算をすると毎週末20本以上が公開されているということになります。20本の公開作を413スクリーンでさばくことのできる東京都と、11スクリーンでさばくことを余儀なくされている高知県と鳥取県。こうして考えてみると両都県の状況の違いがより具体的に認識できるような気がします。
映画『祝日』公開をきっかけに考えたこと
千葉県出身で現在も東京で生活しているn子は、都道府県間で映画館の数に多少の差はあるのだろうなということは感じていましたが、ここまで大きな違いがあるということは認識できていませんでした。観たい映画を公開直後に映画館で鑑賞する、という体験が、現状では東京を筆頭とした都心部の特権的な体験になってしまっている。この問題を根本的に解決していくには、映画館の少ない都道府県に映画館を増やすための何らかの施策を打つ必要がありそうです。
映画『祝日』の公開の機会に立ち会ったのをきっかけに、これとは別のことも考えました(『祝日』公開にあたっては、主にSNS投稿のお手伝いをいたしました)。今回、富山先行公開のタイミングで本作監督と出演者が富山テレビ放送「ライブBBT」に生出演する機会があったり、FMとやま「ヨリミチトソラ」の収録が行われたりしました。また、富山県知事から応援もいただきました。
このような富山が情報の発信地となって映画公開を盛り上げていく、という様子を見て、東京で公開を迎えるのとはまた別の熱と温かさを感じました。
また、こうした「先行公開」という形は、全国公開日からかなり先になる公開日を待つ・東京のような都心が発信地となる情報を受け取るばかり、ということではない形で映画鑑賞する機会を得られることに繋がるのかなとも思いました。
今後は、このような観点にも注視して映画公開の動向を見ていきたいと思ったn子でした。
🐇🐇🐇