閑話 眠り兎は眠れない①
みなさんこんにちは!
残業大好き系シナリオライター本野兎です。
今回は小説風閑話です。
ひょっとしたら本野の本当かもしれないし、戯言かもしれない咄です。
そんな本野兎の一日を軽くご覧あれ
本野兎は起きれない
朝日がカーテン越しに差し込む、枕元のスマートフォンのアラームは既に三十分以上持ち主の睡魔を打ち破れてはいない。
部屋と呼ぶには物置のようなその空間で(というより実際に倉庫を使っているのだが)眠り続けている奴こそが、本野兎その人である。
何故起こしてくれなかったんだと焦りながら心の中で愚痴りつつ、三十分ほどで全ての用意を終わらせて家を出る。これが本野兎の日常である。
午前八時三十分、学校に遅刻するポテンシャルとしては中々の時間に出た現世の空は青く澄んでいて、九時三十分にはギリギリ間に合うかななんて呑気なことを考えている。
本野兎は遅刻しない
ガタンゴトンと聞こえる列車の音、本野は特に参考書を開くわけでもなく、スマホを長時間触るわけでもない。
そもそもこの時間帯の急行電車は人がとても多い。スマホなんぞ取り出そうものなら腕に対してそれ相応の覚悟を持たなければならない。
故に、本野兎はこういった満員おしくらまんじゅう圧死寸前確定電車では音楽を聴いていることが多い。最近のマイブームはSummer Pockets RBの主題歌「アスタロア」やじん(自然の敵P)の最新作「Summering」などである。
音楽は精神の鎮痛剤のようだ。
たまにそう感じる。音楽を聴いていると頭が澄む様に感じるし、心の内で抱えているあれやこれやはどこかに行ってしまって、僕は一人、別の世界へと誘われている様だった。
よく、SNS上では「世界はつまらない」だとか「こんなの面白くない」なんて言っている人たちを見るけれど、案外世界は面白いらしい。
音楽や物語に秘められた力はそう思わせてくれるし、そう思っている。僕たちの感受性は案外捨てたもんじゃないらしい。
……そうかっこよく言えたらよかったのだが本野はただ「次の物語どうしようかなぁ」なんて漠然と考えているだけだった。
最寄駅に到着すると、そのまま通学路に行く。
この学校に転入してまだ三ヶ月ほどだが、長くもないその通学路はすでに慣れた風景だ。
遅刻ギリギリで僕は学校に着く、僕にとっての一日の始まりはどちらかといえばここからだ。
「おっす、おはよう」
「おはよう。ギリギリ間に合ったか」
そんな会話を教室にいたZakinuと交わす。
MUGnetについての会話、ひいてはそのメンバーと会った時
その時初めて僕の一日は始まるのだ。
眠り兎は眠れない、続く。