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考える力があるのも考えものであると言う話、ソシオニクスから見る幸せの形③、ILI(INTp)
はじめに
ILI(INTp)はソシオニクスにおいて「批評家」とも呼ばれる、演繹的論理思考に長けた性格タイプである。
世間における彼らの個体数は少なく、希少なため、観察する機会も少なく、彼らについての私の理解の正確性については保証の限りではない。
つまり、今回語られるILI(INTp)の傾向と対策は、あくまで私の独断と偏見によるものであり、いっそ妄想の産物と捉えていただいて構わない。
それでは、彼らILI(INTp)にとっての幸せというものを好き勝手に考えてみようか。
⒈ILI(INTp)の特徴
ILI(INTp)の最大の特徴は、その主たる機能であるNi(内向的直観)による内面世界の充実と、Te(外向的思考)による外部世界の論理的理解、Ti(内向的思考)による整合性へのこだわり、それらのバランスにある。
一方で、Ne(外向的直観)はある種の制限を受け、本質への理解はあるが、そもそも周囲への対応が無頓着になる。
Fi(内向的感情)はILI(INTp)にとって弱点となる。
このことは、彼らにとって人間関係の操作や価値観の構築、物事の意味の実感を困難とする。
ILI(INTp)はこれらの問題をFe(外向的感情)の単純化した使用により、多くは人間関係と距離を置くことで、解決する。
また、ILI(INTp)はSe(外向的感覚)の暗示を受けやすく、つまり、周囲の押しに弱い。
そして、Si(内向的感覚)の偏りにより、潔癖症となる。
⒉世界の論理モデルを作成する
ILI(INTp)はその内面世界において想像力を発揮する。
彼らが内面において構築する世界のモデルの完成度は他の性格タイプのものを凌駕する。
そのモデル構築において、彼らのこだわりのポイントとなるのが、その構造における論理性と整合性である。
そして、ILI(INTp)は強力な時間感覚を持っていて、その内面世界において時間軸に沿ったシミュレーションを可能とする。
この彼らが作成する世界の論理モデルの完成度が、ILI(INTp)の自信や自己肯定感、幸福感に大きく関係する。
一方で、ILI(INTp)はFi(内向的感情)が弱く、内心において意味や価値を感じるのが苦手である。
このFiの弱さは彼らの自己肯定感や幸福感を低下させる要因ともなり、ともすれば虚無感に支配される。
そして、その欠乏感を埋めようと、人生において意味を追い求める。
⒊意味付けのコツ
ILI(INTp)はFi(内向的感情)の機能が弱く、自分にとっての意味、価値、そういったものを感覚的に定めるのが苦手である。
直観と感覚で意味を定められないのであれば、思考により論理的に規定するしかないが、その際には色々とコツがある。
そして、ILI(INTp)でも自己肯定感の高めの人物は、大体のところそういうコツをマスターしている。
ここでは、ILI(INTp)の関心対象を例に、そのコツについて簡単に触れてみる。
⒋内から外へ
ILI(INTp)の最大関心事は「自分とは何者であるか」になるわけだが、自分の内面世界をどれだけ覗いてもその意味は分からない。
人間は環境との関係性の中で存在しているので、自分と外部世界、つまり、宇宙をセットとして理解しないと結局のところ自身の意味付けは完成しない。
したがって、自分に意味を求めるなら、先に宇宙の構造をモデル化して、そこに意味を付与する必要がある。
宇宙は雑多な情報で溢れているが、情報は中心から周辺へ、抽象から具体へ、本質から現象へ、その方向性で意味付けするのが、モデル構築としては効率が良い。
本質は周辺情報において共有されているからにして、それ自体情報としての価値は高い。
宇宙に意味付けするならば、宇宙の本質の中心、その意味が最も重要となる。
⒌終わりから始まりへ
そして、時間軸で見るなら、始点より終点の意味がより重要となる。
人に例えれば、最初の一歩より目的そのものの方が意味が深い。
そして、スタートというものは概して選択肢が無数にあったりするものだが、ゴールは一つに定まる。
ゴールがブレるとすれば、それは、目的意識が薄く、動機付けが曖昧なだけである。
そして、宇宙において無数の計算要素からあてもなく意味を探るよりも、結果に意味を求めて、そこから今に向かって筋道を逆算した方が理解は早い。
そこで優先順位の高い意味とは、宇宙の終わり、その意味、つまり、宇宙の目的を設定することにある。
宇宙の構造について十分に理解していれば、その終端のモデルはある程度絞って想定できる。
そのモデルにILI(INTp)自身が納得できる意味を付与する。
ここでILI(INTp)にとって重要なのは、理屈として整合性を取ることである。
つまり、この時点で証明や立証は必ずしも必要ない。
最終的に自ら定めた意味のその確認は、人生において他の形で行うことになる。
しかし、宇宙をどれだけ見つめてみても、理屈の上だけでも、そこに意味を見出すのは難しい。
⒍フラクタル構造
意味が断絶した環境において、理解の手助けになるのがフラクタル構造である。
宇宙はフラクタル構造に満ちていて、つまり類似性のカタマリである。
人間はその視点が人間の意識レベルから離れるほど、意味を認識しづらくなる。
全宇宙のようなマクロなレベルや、素粒子のようなミクロなレベルなどにおいてその傾向は顕著である。
宇宙の構造に意味を見出すなら、このフラクタル構造を利用するのが効率が良い。
宇宙の様々な階層、範囲、視点における構造を比較して、共通項を導き出し、意味はより分かりやすい視点から持ってくる。
なお、視点の階層は比較対象が多いほど、より厳密に本質へ迫れる。
宇宙と人間の意識の比較だけだとモデルの完成度は高くはならない。
究極的には人間の意識レベルでの意味付けが重要となるが、ここで問題になるのは、ILI(INTp)は意味に対して強い関心を持っているにもかかわらず、そもそもの意味付け、価値判断が苦手であるという点である。
ILI(INTp)が自分で意味を考えても効率が悪いことこの上ないので、この点は外部から吸収するのがよいだろう。
つまり、書物や実際の人間たちの営みを観察して、人々にとっての意味のパターンを学習する。
この時点では「人間にとっての意味とはこういうものだ」というのを体系的に理解しておけば問題はない。
そして、この意味の体系モデルが宇宙全体に意味付けする際の起点になり、その完成度を左右することになる。
なお、社会における人間行動、環境における生命の適応、人体内部の生体反応、そういったものもただ因果関係や構造だけ把握するのではなく、関係性を意味として捉える視点は全体として構造を比較する際に役に立つ。
⒎ILI(INTp)にとっての幸福
宇宙の中心的意味が定まることで、生命の意味、人間の意味、自分の意味、人生の意味、そういった諸々の本質的意味は芋づる式に定まる。
そして、本質的意味が定まることで、周辺への、全体的な意味付けは一気に加速する。
こうして、価値観が矛盾なく組み上がると、ILI(INTp)が人生を懸けて作り上げた世界の論理モデルは意味を伴った形で、ある意味で完成する。
ここまで来た時点で、ILI(INTp)の自己肯定感は高まっているはずだが、その意味の実感は薄いかもしれない。
彼らは生来的にその手の感覚が弱いので、実際に彼らの理解と実感が一致するには人生経験を重ねてFi(内向的感情)の成長を待たなければならない。
しかし、この理解と実感との一致は、ILI(INTp)にとって確かな幸福と呼べるだろう。
なお、ILI(INTp)は本質的に愛を求めているが、この段階に至って、ILI(INTp)は自らが愛されていることを確信して、また、愛というものはILI(INTp)自らが体現するものであるということに気付くことになる。
おわりに
今回の話は、ILI(INTp)にとっての幸福というものを考えたもので、それ以上の意味はない。というわけでもない。
論理的思考力に優れるILI(INTp)本人に対して論理を説くとは、「釈迦に説法」そのものであるが、倫理観を論理的に考えると言う点について、noteを見渡すと一部に需要の気配が感じられたので、今回はあえてこのような形となった。
大体の人については、「ENFPが何かテキトー言ってるよ」とネタとして楽しむか、それこそテキトーにスルーしてもらえれば幸いである。